キムチは朝鮮半島の代表的な発酵食品であり、白菜などの野菜を塩や唐辛子、魚介の塩辛などで漬け込んだものです。日本でもご飯のお供として人気の高い
キムチが、免疫システムをブーストする可能性があるとの研究結果が報告されました。
Single-cell RNA sequencing reveals that kimchi dietary intervention modulates human antigen-presenting and C
D4⁺ T cells | npj Science of Food
https://www.nature.com/articles/s41538-025-00593-7

Kimchi may boost immune function, recent study shows
https://theconversation.com/kimchi-may-boost-immune-function-recent-study-shows-270747
韓国の伝統的な発酵食品である
キムチは、
乳酸菌による乳酸発酵が行われることで酸味やうま味が生み出されるだけでなく、有機酸やペプチドといった多様な
生理活性代謝産物も生成されます。発酵に関連する微生物や代謝産物は、抗酸化作用や抗
肥満作用、免疫調節作用を発揮するとされていますが、
キムチが免疫システムにもたらす具体的な影響はよくわかっていません。
そこで
韓国の研究チームは、13人の
肥満の
成人被験者を2週間にわたり追跡する研究を行いました。被験者はラン
ダムで3つのグループに分けられ、1つのグループには環境中の微生物によって自然発酵させた
キムチパウダー、もう1つのグループには厳選された細菌培養キットを用いて発酵させた
キムチパウダー、残る1つのグループにはプラセボのパウダーが、それぞれ毎日与えられました。なお、被験者に与えられたパウダーの量は、生
キムチ30gを食べるのとほぼ同等だったとのこと。
研究チームは実験の前後に被験者から血液サンプルを採取し、個々の免疫細胞の活動を調べる技術を用いて分析を行いました。これにより、免疫システムに関わるそれぞれの細胞がどのように反応したのかを知ることができます。

実験の結果、
キムチパウダーを摂取した被験者では、病原体を取り込んで抗原として提示する抗原提示細胞の活性が高まっていることがわかりました。抗原提示細胞の指示を受けることで、体内のヘルパーT細胞は特定の病原体に対する反応を開始します。
さらに
キムチパウダーは、抗原提示細胞がヘルパーT細胞に信号を送るのを助ける特定の
遺伝子の活性を高めたほか、ヘルパーT細胞が免疫反応を引き起こす対象へより迅速に反応するようにする
遺伝子の活性も高めることが確認されました。ヘルパーT細胞は免疫反応を調整する役割を担っているため、これらの変化によって他の免疫細胞の働きも支援できるとのこと。
一方、
キムチパウダーが活性化したのは抗原提示細胞やヘルパーT細胞のみで、他の免疫細胞にはほとんど変化がみられませんでした。免疫システムは過剰反応を起こしても健康を害するため、今回の結果は
キムチが過度の炎症を引き起こすことなく、免疫システムを効果的にブーストすることを示唆しています。
なお、
キムチパウダーはいずれの種類でも効果がみられましたが、細菌培養キットを用いて作られた
キムチの方がわずかに強い効果を呈したとのことです。

今回の研究結果は、
キムチがウイルスへの防御や
ワクチンへの反応、炎症の調節などに潜在的な利点をもたらす可能性を示唆しています。一方で、研究が小規模なものである点や、
感染症や炎症を抑えるといった健康効果を実際に検証したものではない点には注意が必要です。