お出掛けをしてまいりました。行き先は相撲です。基本的にはどこもおひとり様で行動している僕が、ほぼ唯一と言ってもいい連れ合い観戦をしているのが大相撲でして、好角家仲間と東京での本場所の観戦に繰り出し、優勝争いやらちゃんこやら寿司やらを楽しむのが恒例行事となっておりました。
しかし、昨今のインバウンド観光客の止まらない増加傾向、横綱・大の里誕生による大相撲人気のさらなる高まり、有料ファンクラブ制度で高ランク会員になれるほどではない経済的余裕、「行くならやっぱり千秋楽か十四日目がいいですなぁ」みたいな合議制による厳しめの条件への自縛…そういった諸所の要因が絡み合うことで九月場所はついにチケットを取り逃すという大失態に。
これには好角家の集いにおいても大いに猛省がなされ、「横綱・大の里を見ずに年が越せるか!」というリベンジ的な意気込みと、大相撲ロンドン公演を見守ったことで「こういうのも見てみたい」という気分になったことから、本場所への固執みたいなものを一度解き放って、巡業に繰り出そうということになったのです。
目指すは首都圏のなかでも巡業感を味わえる遠隔地としておなじみの町田市。大相撲町田場所と題して行なわれる冬巡業に繰り出しまして、遠征気分など味わいつつ令和七年の大相撲を締めくくろうじゃないかと、そんな話です。まぁ、チケットを買った時点ではこの冬巡業を横綱・大の里が欠場することになるとは思っていなかったわけですが…!
↓ということでやってまいりました大相撲町田場所!
↓暴力団だけは絶対に入れないという強い意気込みを見せる運営サイド!
↓場内は大変な人混みで前に進むのも難しいほど!
↓場外のキッチンカーも大人気でした!
買い物に来ているお相撲さんが何人いるか数えてみよう!
牛串ステーキやタピオカがお相撲さんからも人気のようでした!
東京に住んでいるがゆえの穴場というか、巡業に来るのは初めてだったもので何もかもが新鮮な気持ちです。ロビーにギュッと詰まった人混み大渋滞であったり、焼鳥&シウマイの黄金コンビではなくローカルメロンパンや地元ブリュワリーのクラフトビールが並ぶ売店であったり、その地域ならではの運営を大いに楽しみます。国技館での観戦は快適で満足いくものですが、確かに少しばかり慣れを覚える部分もありましたので、同じ相撲でも河岸を変えるというのはいいものだなと思ったり。
場内に踏み入れば、そこもまた新鮮な世界です。どこにでもありそうな体育館のなかに簡易的な構造の土俵が築かれ、その周囲にはビニールシートとテープでマスが仕切られています。前方のほうには一応「溜席」扱いのマスもあったりして、座席まわりは国技館さながらの雰囲気に。柵が据え付けてある国技館と違って、テープで仕切ってるだけなんだからどのマスをどのくらいの広さにするかなんて現場の自由な感じもするのですが、座っているだけで腰が痛くなるマスのあの狭さをしっかり再現してくるあたりも、相撲らしいなと僕もニッコリ。
しかし、「どうだ狭いだろう」「相撲気分が出ただろう」「足腰が弱い人は相撲観戦には耐えられないのだ」だけでは終わらないあたりが相撲界隈の懐の深さ。何と、このマスひとつひとつに相撲柄の座布団が置いてあり、どうぞご使用くださいということのようなのです。「この座布団はもしかして最終的に持ち帰っていいヤツなのか…?」と、いいホテルに泊まったときの「このふかふかのスリッパは持って帰っていいヤツなのか…?」と迷うあの感じで戸惑いつつも、観戦後にはありがたく持ち帰らせていただきました。チケット代に最初から含まれているのだとしても、いいお土産になりました。
↓大相撲町田場所は満員御礼です!
↓座席には相撲柄のクッションが用意されていました!
↓どうしてもつらい人には1000円で座椅子を貸してくれるとのありがたい提案!
そのようななかで行なわれる行事も、また新鮮なものばかり。超絶朝に弱いのと会場が遠いので僕は間に合いませんでしたが、午前中には取組ではなく「稽古」を観覧できるということで、伝統の申し合いやぶつかり稽古などを堪能できますし、髪結や綱締めの実演やら、あの有名な初っ切りや相撲甚句やらでも観衆を楽しませてくれます。何百年も揉まれた末に選りすぐられてきたコンテンツ群だけあって、観衆からの受けも大層よろしく、場内は本場所にも劣らぬ大盛り上がりです。
観衆との距離感も大変近く、もともとユルユルの傾向がある相撲界隈がさらに一段タガを外した感じとなっており、何なら花道(と称した体育館の通路)で待っている力士に話し掛けたりサインを求めたりお土産渡したりしてもワンチャン通るんじゃないかくらいのリラックスしたムード。これはふれ合い重視のマニア層などからすれば本場所以上に垂涎の舞台なのかもしれないなと思いました。歴戦の好角家女子みたいなオーラの方がたくさん集っていたりして、もしかしたら巡業ツアーとかしているのかなとか思ったりしましたよね。
↓髪結いの実演では正代がモデルとして登場!
↓見事な大銀杏が完成しました!
↓練り上げられたネタで場内を笑いに包んだ相撲甚句!
↓ファンサも充実で退場時には投げ接吻もいただきました!
↓ドリフがパイでやるコントを塩でやった初切の熱演!
↓頭まで白くなるほど塩をぶちまけられました!

コレ、お客さんのほうにもカゴひとつぶんくらい塩飛ばすんですね!
何の注意もなくそれが始まる「塩ならぶちまけてもいいだろう感」が相撲らしくてよかったです!
イルカショーとかも「前方のお客様は水に濡れます」みたいな無粋なこと、言わなくてもいい気がしてきました!
その後は、ロンドン公演でも現地を沸かせた横綱の綱締め実演や櫓太鼓の打ち分けなどを拝見します。目の前で綱を締めた横綱がすぐさまその姿で土俵入りなどしてくれるのもまた新鮮で楽しい体験です。相撲以外の部分でこれだけ楽しませていただいたうえで、さらに40名に迫る幕内力士衆による相撲が堪能できるというのですから、これはたまりません。なんならコンパクトにギュッといいところが濃縮されているぶん、本場所より巡業が好きという人もいるのかな、なんて思ったほど。
まぁ、巡業ですので、ある程度の忖度というか、あうんの呼吸というか、意地悪とか打算とかリスクはナシの方向性というか、「強く当たってあとは流れで」といった申し合いを感じる取組がほとんどではありますが、それはそれで魅せる面の技量を感じたりするところもあって楽しいもの。上位勢の取組では荒々しい決着なんかもしっかり繰り出されたりして、少ない番数のなかで相撲らしい体験をたくさん得られるように考えられているのかななんて思いました。コンテンツは多く、終わりは15時と大変気楽な時間で、足腰に優しい観戦はなかなかいいパッケージだなと思いましたよね。
↓九州場所で優勝した安青錦に心でお祝いのメッセージを送りました!
↓横綱・豊昇龍の強さはしっかりと示されていました!
観戦中印象的だったのは地元の方々の熱気でした。町田からであれば国技館で観戦することも特に距離的な障壁はないわけですが、それはそれこれはこれとして、この町田場所というのを大変大切にされているのだなと感じました。運営側のご挨拶として実行委員会の副会長さんが立たれた際には、周辺にいた地元の兄さんが「この大切な町田場所に副会長が来るとは何たることか」「会長が来ないでどうするものか」「会長と市長がセットで来るべき」なんて息巻いているのを、僕などは「市長は来ないのでは?」なんて思いながら見守っていたのですが、副会長さんは急用で会長さんが来られなかったことを平謝りでしたし、普通に市長さんもご挨拶に立たれたりして、まさに地域を挙げてのお祭りなんだなと認識を改めることに。
市長さんの挨拶も「かのニ・ニ六事件が起きた1936年…」から大相撲町田場所の歴史を紐解く壮大な歴史絵巻のようなお話で、地域の人々が抱くこの行事への熱い思いというものが伝わってくるようでした。言うなれば町田オリンピックのような、誉れであり、楽しみであり、この日を特別なものとして大切にしている、そういう出来事なのだろうなと受け止めました。そういう思いもまた巡業なればこそのもの。本場所は本場所として、今後は巡業も大いに楽しんでいこうじゃないかと、好角家の仲間内でも大いに盛り上がり、連れ合い一同大満足の一日となりました。
まぁひとつ心残りがあるとすれば、「初場所もチケット取れなかったし、また巡業行きますかね!」なんて盛り上がっている仲間たちを前に、「あー、僕は自分の分はイス席で取れたんで初場所行きます」と告白できなかったことですが、まぁ相撲仲間なので細かいことは気にしないでしょう。仲間たちより一足先に横綱・大の里を見ることになるんだろうな、などと思いつつ2026年も大相撲を楽しんでいければいいなと思うお出掛けでした。忘年会としても機能する、いい日にできたと思います!「忘年会と称したスポーツ観戦」、マーケティングとしてもアリなんじゃないですかね!
↓町田市の皆さん、ありがとうございました!
何かの観戦会で忘年会するのはお酒も控えめで済んでいいなと思いました!
スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム
フモフモ編集長
さまざまなジャンルのスポーツを"お茶の間"目線で語る人気のコラム