(※RSK山陽放送が、2025年1月1日~12月10日まで配信した14,652本の記事のうち、15番目に読まれた記事を、一部加筆・修正して再掲しています)
飲んだ「アルコール」の行方は?
ビールや日本酒などに含まれる「アルコール」は、一般的に酒類の主成分であるエチルアルコール(エタノール)を指します。
アルコールが体内に入ると、胃や腸で吸収され、血流に乗って「肝臓」に運ばれます。そして肝臓内の酵素で分解されて、尿や汗として体外へと排出されます。
この分解に掛かる時間が、いわゆる「アルコールが体内から抜ける時間」にあたるということです。【画像②】では、分かりやすく図で解説しています。
消化器内科医であり、日本肝臓学会認定肝臓専門医資格を持つ、岡山市立市民病院の狩山和也副院長【画像③】に、詳しく解説してもらいました。
アルコール分解には何時間必要なの 男性は?女性は?
ー年齢を重ね如実に疲れを実感している40代の私…20代の頃と比べ確実にお酒には弱くなりました。
性別・年齢など個人差はあると思いますが、一般的に「アルコールを分解するにはどのくらい時間が必要」なのでしょうか?
(岡山市立市民病院 狩山和也副院長)
「お酒の種類にもよりますが、例えばビールの生中(約450ミリリットル:店によっては350~500ミリリットルとばらつきあり)を1杯飲んだケースで考えます」
「生中1杯にはアルコール(エタノール)が約23グラム含まれています。肝臓がアルコール処理に要する時間は 個人差はあるものの、一般的に...
・男性は1時間あたり『8グラムから10グラム』
・女性は1時間当たり『6グラムから8グラム』
とされています」
約23グラム(生中1杯)のアルコールを肝臓が代謝・分解するには男性だと『最低でも3時間以上』、女性だと『4時間以上』が必要です」
*アルコールの分解に必要な時間はあくまでも一般的な目安です。
*体調や個人差などで変わります。
生中1杯で終わるケースは少なく…「生中3杯」飲んだら?
ー飲み会ではビールを2~3杯飲んでしまいます。その場合はどれくらい時間が必要ですか?
(岡山市立市民病院 狩山和也副院長)
「『とりあえず生』という言葉の通り、酒席の場では複数杯のお酒を飲むケースがほとんどかと思います」
「仮に『生中を3杯飲んだ』場合、アルコール(エタノール)約70グラムの摂取にあたります。これを体外に排出するには、男性だと『9時間程度』、女性だと『12時間程度』必要になります」
「上記の条件で、深夜0時まで宴会を楽しんで就寝したとしても、運転ができるのは男性だと『午前9時以降』、女性だと『正午以降』になります」
「飲む量が増えれば増えるほど、体から排出される時間はより必要になります」
*アルコールの分解に必要な時間はあくまでも一般的な目安です。
*体調や個人差などで変わります。
運転前に「アルコール入りのチョコレート」は大丈夫?
ーその一方で、「アルコール入りのチョコレート」は運転前に食べてもいいのでしょうか?
(岡山市立市民病院 狩山和也副院長)
「市販されている多くのアルコール入りチョコレートでは、楽しむ程度なら大丈夫ですが、中にはアルコールが多く含まれているチョコレートもあります」
「極稀なケースになりますが、アルコール入りチョコレートを『食べ過ぎる』とアルコール検知器が反応したり、気が付かないうちに体調不良になったりする場合も考えられるます」
「ですから、運転前にはなるべく食べることを控えた方が良いかもしれません」
飲んでないのに…「蒸しパンを食べて飲酒検知」病気が潜んでいる可能性
ー過去に、バス運転手が飲酒をしていないのにも関わらず、運転前の飲酒検査でアルコールが検知され、直前に「蒸しパン」を食べていたという事例がありました。
運転前に「蒸しパン」を食べるのも避けた方がよいのでしょうか?
(岡山市立市民病院 狩山和也副院長)
「極めて稀ですが、蒸しパンの糖質を腸管で分解する際に、アルコール(エタノール)を生成する人がいます。生成されたエタノールが血中をめぐることで、呼気に含まれ、アルコール検知に該当したことが考えられます」
「この場合、『アルコール関連肝疾患』に似たような病態を示す場合があります。自分の腸がアルコールを作るという非常にまれな疾患で自動醸造症候群(ABS)という病気です」
「全くお酒を飲んでないのに、アルコール検知に該当したときは、専門医に相談・受診する必要があります」
『運転の何時間前まで』に飲み会は終えるべき?
ー運転を控えた前夜の飲み会 果たして何時に終えるのが理想なのでしょうか?
(岡山市立市民病院 狩山和也副院長)
「性別・個人差があるので一概には言えませんが、日本酒換算3合程度(エタノール60グラムに相当)飲酒するのであれば、女性なら午後10時くらいまで、男性でも12時前には飲酒は切り上げるべきです」
「運転の10時間前までに、酒席は終えることが勧められます」
ー安全運転を心がけるためにも
今年の大型連休中をはじめ、昔も今も「酒気帯びによる交通事故」のニュースを我々はよく目にし、時には原稿を書かねばならない時もあります。
今回、狩山先生への取材を受けて、運転をする際には日ごろからの体調管理、運転前にはアルコールチェッカーで確認するなど、ぜひ皆さんには安全運転に努めていただきたいと思います。