人口が800万人を超える
アメリカのニューヨーク市では、2025年1月から中央ビジネス地区通行料プログラム(CBDTP)という渋滞料金が導入され、特定区域に乗り入れる乗用車に料金を課しています。そんなニューヨーク市では、渋滞料金の導入に伴って
大気汚染が著しく改善されたことが判明しました。
A first look into congestion pricing in the United States: PM2.5 impacts after six months of New York City cordon pricing | npj Clean Air
https://www.nature.com/articles/s44407-025-00037-2

Congestion pricing improved air quality in
NYC and suburbs | Cornell Chronicle
https://news.cornell.edu/stories/2025/12/congestion-pricing-improved-air-quality-nyc-and-suburbs
In New York City, Congestion Pricing Leads to Marked Drop in Pollution - Yale E360
https://e360.yale.edu/digest/new-york-congestion-pricing-pollution
ニューヨーク市では2025年1月から、日中に
マンハッタン60丁目から中心部へ乗り入れるほとんどの車両を対象として、9ドル(約1400円)の渋滞料金を支払う仕組みが導入されました。これに伴って長年の課題だった渋滞が大きく改善されたほか、初年度には約5億ドル(約780億円)の収入も見込まれています。
「渋滞料金」が導入されたニューヨークでは車が減って渋滞が緩和された上に交通改善のための収入も増加したという報告 -
GIGAZINE
当局によると、渋滞料金導入から6カ月で対象区域内の交通量は11%、事故件数は14%、過度のクラクションやその他の騒音に関する苦情も45%減少したとのことです。
今回、
アメリカのコーネル大学の研究チームは、自動車から排出される微小粒子状物質(PM2.5)が渋滞料金によってどのように変化したのかを調査しました。PM2.5はぜん息や
心臓病を悪化させ、肺がんや
心臓発作のリスクを高める可能性がある
大気汚染物質です。
研究では、ニューヨーク都市圏にある42カ所の大気質
モニターが518日間にわたって行った、合計1万7758回にわたる観測データが用いられました。分析では気象条件や基準となる
大気汚染レベル、近隣住民の人口動態を組み込んだ予測
モデルを使用し、各観測所における渋滞料金の効果を推定しました。
その結果、
マンハッタンの一部地域における1日の最大PM2.5濃度が、渋滞料金の導入から6カ月で平均22%も減少したことがわかりました。ニューヨーク市でみられた
大気汚染の改善は、ストックホルムや
ロンドンといったその他の渋滞料金を導入した都市よりも大きく、その影響は大都市圏全体に広がったと報告されています。この理由については、ニューヨーク市の人口がこれらの都市よりも多いため、渋滞料金による影響が大きかったのではないかと考えられています。

論文の筆頭著者であるコーネル大学のティモシー・フレイザー助教は、「都市圏全体で大気質が改善したことは本当に喜ばしい結果です。これは、渋滞料金制度が単に交通経路を変化させ、
大気汚染を郊外へ移動させただけではないことを示しています。むしろ人々は、公共交通機関を利用したり配達を夜間にスケジュールしたりして、よりクリーンな交通手段を選択するようになっている可能性が高いのです。これにより交通量が減り、多くの車が道路を走っているときに発生するスモッグの悪化を抑えることができます」と述べました。