本作は、11月21日の公開以降、邦画実写映画として40週ぶりに観客動員数・興収ともに初登場1位を記録する絶好調のスタートを切った。昭和、平成、令和と時代を映し出してきた山田監督が、変化する<東京>を舞台に、人生に疲れたタクシー運転手と、終活に向かうマダムの「たった1日の旅」を描くヒューマンドラマだ。
公開から約10日が経過し、周囲からの反響について問われた木村は、普段の作品以上に連絡が届いていることを明かした。「久しぶりの方からも連絡をいただき、『家内と一緒に拝見しました』といった声を多くもらっている」と報告。特に木村の心を動かしたのは、観客からの言葉の「質」だった。木村は「『ありがとう』という言葉をいただくのがとても嬉しい。本来なら、作品を作らせていただいた僕らが『見てくれてありがとう』と声を大にして言うべきなのに、見てくださった方が僕らに向けて『ありがとう』と言ってくださる。その言葉の往来が尽きない印象がある」と、本作特有の現象について語った。
なぜ観客は製作者に「ありがとう」と伝えたくなるのか。その理由を紐解く中で、木村はステージ背景に掲出された、観客から寄せられた数々の感想パネルに目を留めた。無数のメッセージの中から、木村が「このメッセージが、すごい素敵だな」とピックアップしたのは、「にわか雨のように泣く、素敵な映画だった」という一文だった。
木村はこの表現について、「予期せぬ、すごく目の前で起きたストーリーや時間によって、あたかも反射のように涙が流れる、感情が動く」と分析した。意図的に泣かせようとするのではなく、自然現象の「にわか雨」のように感情が溢れ出る体験こそが、山田作品の真骨頂であると示唆した。
▲ 木村(写真左)は「にわか雨のように泣く」という賛辞(写真右上のメッセージ)に感銘を受けていた
さらに木村が「そういう作品を残し続けてくれた監督が、今回もメガホンを取ってくれている。全てOKというものを監督の物差しで作ってくださっている」と熱意を持って語ると、隣に座っていた山田監督は「いや、僕は何もしてませんよ」と謙遜した。すかさず木村が「やってますよ。いやいやいや」と突っ込みを入れる一幕も見られた。
この監督の謙虚な言葉に会場から笑いが起きたことにも触れ、「今まで監督が提示してくれた作品や思い出の延長線上に、今回の『TOKYOタクシー』がある。そこに皆さんがタッチしてくださっているからこその『ありがとう』なのだと、今思いました」と、観客からの感謝の正体を、監督への敬意と共に解釈してみせた。イベントの最後、木村は「今後この作品が、皆さんの傍らにずっと携えていただくような作品にしていただけたら」とメッセージを送った。名匠と豪華キャストが織りなす『TOKYOタクシー』は、観客の心に「にわか雨」のような涙と、晴れやかな感動をもたらし続けているようだ。
▲ (左から)蒼井優、倍賞千恵子、
木村拓哉、山田洋次監督
▲映画『TOKYOタクシー』本予告
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