ホームでのボリビア戦は比較的、低リスクで様々な実験が可能なはずだったが、結局、今までの「おさらい」に終始した。
確かに4日前のガーナ戦からスタメンは7人入れ替わったが、すべてお馴染みの顔ぶれで、逆に2戦連続での早川友基の起用や後半開始から
堂安律、また早いタイミングで
上田綺世、
中村敬斗を次々に送り込む采配は、親善試合にしては異常なまでの勝利への固執ぶりだった。
メディアが主導して代表監督100試合到達を喧伝した影響があったのかもしれないし、反面「ファンに勝利を届ける」のが最大のサービスだと考える
森保一監督の真摯な姿勢の表われと見て取ることもできる。
率直に日本が史上最強だとしても、まだ個の総和だけでは世界の頂点には届かない。そこで不可欠なのが連動したアグレッシブな守備で、その浸透度合いは重要な武器だ。実際、ボリビア戦の序盤で明暗を分けたのも前がかりな強度の高い守備で、開始直後に南野拓実のプレスバックから
鎌田大地のスルーパスを導き、
小川航基の決定機を築くと、さっそく2分後には先制に成功し主導権を握った。
ボリビア代表の
オスカル・ビジェガス監督も「ブラジル戦を見て、日本が強度の高い守備をしてくるのは分かっていたけれど、対応し切れずダメージを被った」と振り返っている。また森保監督も「相手が対策を練ってきても、ハイプレッシャーには行く」と強調した。改めてブラジルやボリビアなどの南米勢との対戦では、スペースを与えない果敢な守備は文化的な相違とも映った。
だが勝負の世界は残酷なもので、「最強」と賞賛され期待値が沸点に達した途端に瓦解したケースは枚挙に暇がない。20世紀には、1954年のハンガリーも1974年のイタリアも、肝心のワールドカップで無敗神話が脆くも途切れた。
ピークがある以上、常に代謝を図り、成長し続けない限りどこかで下り坂が訪れる。そういう意味では、勝ち続けることこそ本当に怖いのかもしれない。ワールドカップ本番でピークを作るには、大会期間中でも輝きを増していくようなシンデレラボーイがひとりでもふたりでも欲しいところだ。
ボリビア戦後の森保監督は「主導権を握って勝つのも大切だが、どんな内容でも勝つ。また誰が出ても勝つ。誰と組んでも機能する。その点で良いチャレンジをしてくれた」と振り返った。しかし裏返せば、すでに機能することが立証済みの組み合わせしか送り出していないという見方もできる。
指揮官は「メンバーはぎりぎりまで固まらない」と語るが、代表歴の少ない若手で唯一ピッチに立った後藤啓介に与えられたのは、わずかに10分間弱。シンデレラボーイ誕生の希望を繋ぐには、所属のシント=トロイデンでの実績(現在4ゴール)を少なくても倍増するしかなさそうだ。
つまり現実的には、フォーメーションは3バック一択でコアメンバーも固まりつつある。もちろん、この時期なので当然なのだが、気になるのは
鎌田大地のボランチ固定傾向だ。
確かに鎌田は相手の潰しどころも心得て、汚れ役も厭わず、DFからアタッカーへの的確な繋ぎ役もこなす。だが、やはり最も特長を発揮できるのはアタッキングゾーンだ。後天的に身につけた守備はファウルになりがちだし、後方からでもボールを守ることより、効果的に動かすことを優先する習慣が身についている。
それは全身でボールをプロテクトすることを最優先する
佐野海舟や
遠藤航らとは異質で、華麗な反面リスクを抱え、時折危ういシーンに直面する。ボリビア戦では苦笑で済まされても、ワールドカップ本番では致命傷になりかねない。
逆に鎌田の冷静さは、この夜の先制ゴールでも証明された通り、ある程度リスクを許容され、勝負できる局面(場所)でこそ活きてくるはずだ。ましてボランチは人材難ではない。展開次第でのポジション変更ならともかく、くれぐれも鎌田の主戦場はシャドーであるべきだと思う。
文●加部究(スポーツライター)
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