使い捨ての電子
タバコは、一定回数の吸引が終わると使えなくなって捨てられてしまいますが、搭載されている
リチウムイオン電池は充電すれば
再利用可能なことが知られています。電気工作系
YouTuberのクリス・ドエルさんが、「捨てられた電子
タバコのバッテリー500個を
再利用して家全体に電力を供給する」というプロジェクトに挑戦しました。
I Powered My House Using 500 Disposable vapes -
YouTube大量の使い捨て電子
タバコのゴミ。

ドエルさんはこれらの使い捨て
タバコに搭載されているバッテリーを使い、家全体に電力を供給するというプロジェクトに挑戦することにしました。

なお、このプロジェクトは非常に危険なため、視聴者は決してまねしないようにとドエルさんは警告しています。

これが使い捨て電子
タバコに搭載されている
リチウムイオン電池です。これは
スマートフォンや
ノートPCで使われているものと基本的には同じで、充電すれば
再利用可能ですが、使い捨て電子
タバコは一定回数の吸引が終わるとそのまま捨てられてしまいます。

イギリスではピーク時に1日100万個もの使い捨て電子
タバコが捨てられていたそうです。近年では資源の無駄遣いを批判する声が高まり、一部の国や地域で使い捨て電子
タバコの規制が始まっています。

これまでにドエルさんは、使い捨て電子
タバコのバッテリーを使って充電可能なパワーバンクや電動
自転車のバッテリーを作るプロジェクトに取り組んできました。しかし、家全体に電力を供給するとなると、さらに強力なバッテリーパックを作成する必要があります。

ドエルさんが作ろうとしているのは、約2500Whの容量を持つ大規模なバッテリーパックです。これがあれば作業場に数日分の電力を供給できるほか、家全体の電力を約8時間まかなうことが可能だとのこと。

小型の使い捨て電子
タバコに搭載されているバッテリーの平均容量は1.8Whであるため、小型の使い捨て電子
タバコのみを使う場合は約1400個必要になります。

しかし、より大きな使い捨て電子
タバコの場合、バッテリーの平均容量は5Whであるため、500個程度で済むとのこと。

使い捨て電子
タバコからバッテリーを取り出すのは簡単です。まずは底部を万力で挟んで剥がし、中身を引き出します。

そしてバッテリーからワイヤーを切断するか、はんだ付けを外すだけでOK。とはいえ、これを少なくとも数百回繰り返すのはかなり大変な作業です。なお、ドエルさんは空になった使い捨て電子
タバコのゴミを受け入れているショップから、捨てられた使い捨て電子
タバコを譲り受けたとのこと。

ここでドエルさんは、「使い捨て電子
タバコの中にはバッテリーが消耗しすぎて、バッテリーパックには使えないものが約半数含まれている」という問題に直面しました。

ほとんどの人はバッテリーが空になるまで吸い続けてから捨てますが、その後も内部の回路は依然としてバッテリーをゆっくりと消耗させ続けます。その結果、特に1年以上前に捨てられた電子
タバコでは、バッテリーが使い物にならないほど消耗しているというわけです。約半数のバッテリーに問題があるため、すべての使い捨て電子
タバコからバッテリーを取り出し、そのたびにバッテリーの消耗具合を調べるのは膨大な時間のロスにつながります。

しばらく考えたドエルさんは、「バッテリーが最低限必要な性能を保っている場合は、使い捨て電子
タバコに空気を流し込むと、たとえバッテリー切れでも点滅する」ということを発見。これにより、電子
タバコをこじ開ける前にバッテリーが使えるかどうかを判別できるようになりました。

ドエルさんは人間の肺と同じ空気圧を持つ空気入れを使用し、使い捨て電子
タバコの判別作業を行いました。基本的に大きなサイズの使い捨て電子
タバコほど、時間が経過してもバッテリー状態が良好な傾向がみられたとのこと。

使用可能なバッテリーを取り出したら、実際のバッテリー容量を測定します。最終的にこれらのバッテリーを並列に接続するため、同じ電圧レベルで充電できるバッテリーを用意するのが重要だとのこと。

これが測定に使うセルテスターですが、使い捨て電子
タバコのバッテリーは小さく、サイズもバラバラです。

そこでドエルさんは、3Dプリントした柔らかいバネを銅デープで包んで導電性のクッションを作成。

これをセルに詰め込むことで、小さくてサイズがバラバラな使い捨て電子
タバコのバッテリーをセットできるようになりました。

こうしてドエルさんは、容量ごとにバッテリーを分類しました。なお、すべてのバッテリーを分類し終えるまでに、撮影開始から約2カ月かかったとのことです。

ドエルさんはJLCPCBというファブリケーションメーカーに依頼し、バッテリーをまとめるモジュールを製造してもらいました。

バッテリーを9個並列につないだモジュールを作成し、さらにこのモジュールを並列にグループ化します。

こうして作った大容量のバッテリーパックを今度は直列につなぎ、途中で折り返して合計電圧を約50Vに到達させる計画です。

ドエルさんは友人のマックスさんに協力を仰ぎ、バッテリーパックの構築に取り組みました。

各バッテリーは銅製のバーで接続され、さらにショートを防ぐためのヒューズがはんだ付けされています。

約50個のバッテリーモジュールが構築されました。

バッテリーモジュールを並列につなぐため、3Dプリントしたホルダーとアルミニウム製の棒を接続し、離れないようにします。

再び銅製のバーを用いた接続とヒューズのはんだ付けを行っていきます。

こうして約14個のバッテリーパックが完成しました。

バッテリーパックを直列につなぐ方法には、それぞれのプラス極とマイナス極の両方にクリップ付きのワイヤーを追加し、クリップ同士を接続するという方式が採用されました。

セルの上下には絶縁テープを貼ります。

アルミニウム製のフレームにバッテリーパックを固定。

クリップでバッテリーパックを直列に接続していきます。

バッテリーパックを半分ずつ接続した段階で電圧を測定すると、それぞれ約25Vの電圧があることが確認できました。

さらにこれらの2つのモジュールを直接につなぎます。この際、ドエルさんはショートに備えるため、ヒューズを追加しています。

また、バッテリー状態を監視するためのBattery Management Controller(BMC)も搭載。

最後に、巨大な200アンペアのコネクタを追加しました。

完成したバッテリーパックの電圧は想定通り約50Vを記録しました。

まずはバッテリーパックを使い、作業場に電力を供給してみることにします。約240Vの電圧出力を実現するため、電圧を変換するインバーターを設置します。

ドエルさんの家は電力網から電力を得て、それを作業場にも供給しています。そのため、作業場を家から切り離して、バッテリーパックとインバーターで電力を供給することが可能です。

また、理論的には家を電力網から切り離し、インバーターからの電力を作業場だけでなく家に供給することもできるとのこと。

インバーターの設置や接続が完了しました。

まずは家と作業場の電力接続をオフにし、インバーターの回路をオンにします。

暗くなった作業場でインバーターのパネルを確認すると、約50Vの電力が入力され、出力が229Vに達していることが確認できます。

この状態でインバーターからの電力供給をオン。

すると、作業場の電気がつきました。

現在、作業場の電気はすべて、使い捨て電子
タバコ500個のバッテリーから作られたバッテリーパックによって供給されています。

オシロスコープや換気扇も問題なく動作しています。

次にドエルさんは、家を電力網から切り離し、インバーターから電力を供給する実験に挑むことに。

家の電力のメインスイッチをオフ。

作業場に戻り、家への電力供給をオンにします。

家に戻ってみると、
電子レンジや照明が使えるようになっていました。

お湯を沸かすことも、換気扇を動かすことも可能でした。

ドエルさんは、「質問に答えましょう。『何百万個も捨てられている使い捨て電子
タバコのバッテリーだけを使って、家全体に電力を供給できるのでしょうか?』はい、もちろんできます」と述べました。

使い捨て電子
タバコを用いて作ったバッテリーパックを使えば、動画の編集だって可能だとドエル氏はアピールしました。