【動画】AIで激変するタクシー新時代!ライドシェア挫折から買収へ「newmo」の挑戦ライドシェア「newmo」が目指す、タクシーの“配車革命”

今年、万博に沸いた大阪の街では、新たなビジネスが展開されようとしていた。
電気自動車「テスラ」の
モデル3に乗り込んだのは、
外国人観光客。これは、一般の人の自家用車で客を運ぶ
ライドシェアというサービスで、客は
アプリで予約をして行き先を指定。料金は利用する前に確定する。

テスラを運転している青柳直樹さん(46)は、スマホのゲームを手がける「グリー」の取締役や「
メルカリ」日本事業のトップを務めた経験もあり、IT業界でよく知られた人物だ。
青柳さんは、2024年1月、
ライドシェアビジネスを手がける「newmo(ニューモ)」を起業。その理由を、「タクシーが足りない、ドライバーのなり手不足があることを実感した」と話す。
2024年4月、日本版
ライドシェアは「タクシーの補完」として、時間帯やエリアを限定して解禁された。その後は万博の開催期間中だけ、大阪府全域で時間制限のない運行を許可。青柳さんは、万博が
ライドシェア全面解禁への転機になると期待し、先手を打って運転手の募集を仕掛けた。
「1万人以上の方が応募してくれた。大阪府でタクシー乗務員の方の人数は、2万人前後。1万人というと、かなり潜在的な“移動の足の担い手”がいる」。
ところが万博終了後、再び常時運行は不可能となり、
ライドシェアの普及は不発。青柳さんが万博前に集めた1000人の運転手も200人ほどに。

「悔しさ、残念さはもちろんある。やりたいのは
ライドシェアという手法より、地方における“移動の足”不足の解消。それが違う形でできれば、チャレンジをして挫折もしたが、良かったのではないかと。そう思えるところに会社もビジネスも導いていきたい」。
日本版
ライドシェアで挫折を味わった青柳さん、諦めていなかった。

大阪市。2月に閉店したパチンコ店の立体
駐車場に、新しい白のワゴンタクシー60台と年季の入った黒いセダンタクシー70台がずらりと並んでいた。
「タクシーもやれることがある。新しいタクシー会社をつくって盛り上げていく。タクシーの
デジタル化は着手されてこなかったが、絶対に必須」。
青柳さんは、既存のタクシー業界で革命を起こそうとしていた。
日本版
ライドシェアは、運行の安全性などを確保するため、運営主体をタクシー会社に限定している。そこでnewmoは、「未来都」(大阪府守口市 1960年創業 従業員数1043人)をはじめとした大阪のタクシー会社3社を買収し、勝負に出た。
ライドシェアの全面解禁はかなわかったが、青柳さんはタクシー業界の変革で、新たな商機を見いだそうとしている。

「シフト表など、どんどん
デジタル化していきたい」(青柳さん)。
早速、今まで管理者が行っていた運転手の本人確認やアルコール検査などを自動化するシステムを自社開発。newmoは、社内に50人のITエンジニアを抱えているため、システムの開発はお手のものだ。
タクシー業界の
デジタル化に懸ける青柳さんが中でも注目しているのが、配車業務の効率化。未来都の配車センターでは、1日1000件を超える電話を3、4人のオペレーターで切り盛りしている。タクシーは
アプリでも呼べる時代だが、未来都では、今も予約の半数が電話。大口の顧客や高齢者は特に電話予約が多いという。

宮脇 剛さん(55)は配車歴27年のベテランで、「一回つながらないというイメージが付くと、お客さんが離れてしまう。よその会社がつながると、ずっとその会社になってしまう」と実情を話す。
かゆいところに手が届く配車技術で、大切な客をつなぎ止めてきた宮脇さん。この日も、客の名前を聞いただけで配車先を入力し、わずか30秒で車の手配が完了した。
しかし、このスピード感でも、全ての電話は取りきれないという。タクシーは余っているのに、1日に約3割の電話予約を逃していた。

newmoの本社(東京・港区)で青柳さんが話していたのは、AIで業務の効率化を進めているITエンジニアの海野弘成さん(37)。
海野さんは京都大学を卒業後、IT業界で2つの会社を起業。2024年2月、newmoに入社した。
海野さんらは、電話予約に自動で対応するAI電話配車システム「maido!」を6カ月かけて開発。予約の取りこぼしがある配車センターを、AIで効率化しようとチャレンジしていた。AIなら、複数の電話に同時に対応できる。
6月6日、未来都の配車センター。この日は試験的に、「maido!」が一部の客の電話に対応するが、海野さんが予想しなかった難題が次々と降りかかり―――。

全国2000以上の「交通空白」AIで“地域の足”は守れるか

人口約4万9000人のベッドタウン、福岡・那珂川市。
市営のコミュニティーバス「かわせみバス」は、病院や市役所、学校などを結ぶ地域の足となっていたが、9月いっぱいで廃止に。高齢者には死活問題だが、大型二種免許を持つ運転手の不足が、一番の理由だという。
9つの路線があった「かわせみバス」の利用者は、年間で延べ26万人。バスを運営してきた市も、対策を考えていた。
そこで白羽の矢が立ったのが、タクシー大手「第一交通」。那珂川営業所の原田正年所長(64)は、「交通空白地帯をカバーしていく。その使命感が大きい」と話す。

第一交通は、「かわせみバス」の名前を継いだ9台の乗り合いタクシーを運行。バスのような定時運行をせず、お客の予約状況に応じてAIがさまざまな判断を下し、臨機応変に運行する。
「AIが自動で車両を割り振りする。先に乗ったお客さんが“当初の降車予定時間を10分以上遅れない”条件で相乗りをさせる」(原田さん)。

こちらは、AI乗り合いタクシーの運行画面。9台の車両に対して、お客が乗り降りするポイントは237カ所。組み合わせは無限にありそうだが、AIが最も効率の良い運行方法を選択する。


9月20日。那珂川市 別所地区の公民館で、住民向けに新しい乗り合いタクシーの説明会が開かれた。
運行開始は10日後で、予約は基本オンライン。那珂川市 都市計画課の岩橋慶信さん(40)がLINEを使った予約方法を説明すると、住民からは「年を重ねるとLINEが難しくなる」「高齢者を切って捨てるやり方」と反発の声が上がる。「地域の足を守るためにはこれしかない」と必死で訴える岩橋さん。
「反発もあると思っている。実際に使ってもらえれば、良さが伝わる。そこをアピールしていきたい」。

住民説明会の4日後。岩橋さんはバスの路線に近い地区の区長を集めて、新しい乗り合いタクシーを体験してもらうことに。AI配車は“地域の足”を救えるか? 新サービス立ち上げの奮闘を追った。
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