(出典:
最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況 ―令和6年1月~12月―)
さらに後見人には報酬が発生し、毎月1万~数万円の支払いが続きます。
裁判所の許可が必要なため、「資産を守る」ことはできても、「柔軟に活用する」ことは極めて困難です。「家を売って介護費用に充てたい」と思っても、思うように動かせない現実があります。
家族信託というもう一つの選択
親が元気なうちに、財産の管理や処分を信頼できる家族に託しておく…… それが「家族信託(民事信託)」です。
契約を結んでおけば、親が判断できなくなっても、受託者(子どもなど)が代わりに売却や管理を行うことができます。家族信託は、成年後見制度よりも柔軟に「活用」を継続できる仕組みであり、売却益を介護費用に充てる、賃貸経営を維持するなど、生活に沿った判断が可能です。
ただし、制度の機能よりも大切なのは、その名が示すとおり「誰を信頼し、託すのか」という点です。信頼できる家族がいれば家族信託が有効ですが、「家族には任せにくい」「公平性を保ちたい」という場合は、成年後見制度が合う場合もあります。
相続は手続き上の問題にとどまらない
相続や財産管理の本質は、法律でも制度だけではありません。相続は「心の問題」です。自分の人生で本当に心や財産をオープンにできる相手は誰か、その問いに向き合わなければどんな制度も意味をなしません。
何もしなければ、財産も家族の関係も、ゆっくりと凍っていきます。しかし、今動けば未来は変えられるかもしれません。「誰に託し、どう生きたいか」を考えること…… それが、家族を守る最初の一歩です。
出典
厚生労働省 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン) ~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~
法務局 いざという時のために知って安心 成年後見制度 成年後見登記制度
最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況 -令和6年1月~12月-
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士