「さおりはさ、子どものころから、二番じゃ絶対に嫌なタイプだったんだ」
和也は温かいココアを2杯用意し、私の前に1杯置きながらこう切り出しました。
「
小学生のころから俺にもライバル心燃やしまくってて、兄妹で何しても『ねえ、お兄ちゃんよりどっちがすごい?』って親に聞いてて、自分のほうが褒められないとヘソ曲げちゃうんだよな」
「でも、さおりちゃん、すごく仕事もできるし、美人だし、十分すごいじゃない?」
私がそう言うと、和也は顔をしかめて、首を振りました。
自分が「唯一である」ことにこだわる義妹
「さおりが欲しいのは、自分だけがもっともすごいという状況。さおりも合格したけど、みつきより1年かかったし、みつきのほうが勉強に費やせる時間も短い中での合格だった。それが許せなかったんだろうね」
その話を聞いて、私はさおりちゃんの中に、私には全く見えない、大きな壁があるように感じました。その壁は、彼女の自己肯定感の低さによって築かれ、常に誰かと比較することでしか、その存在を保てないのかもしれません。
「しばらく会わないほうがいいのかな」
私は義実家とは比較的よい関係を築いていたと思います。長期休暇はいつも帰省して、さおりちゃんとも顔を合わせていました。でも、この状況で彼女と顔を突き合わせるのはあまりよくないようにも感じていました。
義実家との間にあるもの
「しばらくは実家に顔出すのをやめて、落ち着いたらまた会えばいいよ」
和也は、しばらく実家に行くのを控えよう、と提案してくれました。私の心と家族の平穏を守るための、和也なりの最善の策でした。
「俺たちが無理に会いに行って、さおりがまた何か言い出したら親も心配するし。まずは、この波が静まるのを待ってみよう」
和也の言葉は、私をかばう優しさで溢れていましたが、大好きな義実家との距離がこんな小さなことで開いてしまうなんて、本当に寂しかったです。さおりちゃんの中にある見えない壁は、家族の距離にまで影響してしまうのでしょうか。
あとがき:家族の団欒を遮断する見えない壁
さおりが求めているのは「一番」ではなく、「劣っているという事実への拒絶」でした。
みつきと和也はさおりとしばらく距離をとり、家族の平穏を保つことを優先することに。トラブルが起きた時の親族づきあいの調整はなかなか難しいものですが、もっとも身近な存在である和也が見方でいてくれるのが心強いですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)