ミツバチに人工的な栄養食を与えたところ、最大15倍の繁殖力を獲得したという研究結果が報告されました。ミツバチの不足から来る
食糧難に対処できる可能性があります。
Scientists found the missing nutrients bees need - Colonies grew 15-fold | ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2025/08/250822073807.htm

ミツバチをはじめとする
花粉を媒介する昆虫は、世界の作物の70%以上の生産に貢献しています。ところが、栄養不足、気候変動、ダニの寄生、ウイルス性疾患などが重なり、ミツバチが繁栄するために必要な花の多様性が失われた結果、ミツバチの発育が悪くなっているそうです。
アメリカだけでも過去10年間の商業用ミツバチのコロニー損失率は年間40〜50%に達しているとのこと。養
蜂家は人工
花粉をミツバチに与えて成長を促していますが、十分な栄養を与え切れていませんでした。
オックス
フォード大学が主導した結果では、植物に含まれる
花粉のうち、成長に不可欠な必須化合物が判明し、この化合物を与えることでミツバチが爆発的な成長を遂げたことが伝えられています。

研究以前、
花粉に含まれる化合物「ステロール」のうち、ミツバチの健康に不可欠なものがどれかは不明でした。この疑問を解明するため、研究者らはサナギおよび成虫から採取した組織サンプルのステロール組成を化学的に評価し、主要成分を占める6つのステロールを特定。脂質含有量が高く食品安全性も実証済みという酵母「Yarrowia lipolytica」をCRISPR-Cas9
遺伝子編集技術で
遺伝子操作し、ミツバチが必要とする6種類のステロールを正確な比率で生成させることに成功しました。
これらの化合物を含む酵母(ステロール強化酵母)を乾燥して粉末状にし、ミツバチのコロニーに与える実験を3カ月続けたところ、ステロール強化酵母を与えられたコロニーは普通のコロニーと比較し、サナギ段階まで育った幼虫を最大15倍多く育成したことが分かりました。

研究者らは「ミツバチが利用するステロールの大半は、商業規模で収穫可能な量で自然界に存在せず、
花粉の代替となる栄養的に完全な飼料を製造することはこれまで不可能でした」「我々の
サプリメントは、限られた
花粉をめぐる競争を軽減することで、野生ミツバチに利益をもたらす可能性があります」と述べました。
コロニーの健康状態と受粉効率への長期的な影響を評価するには、さらなる大規模な野外試験が必要とされています。