そんな街に住む人たちが普段使いする、かつ、お洒落な店を、上原在住の酒好きなフードライター坂井あやのさんがご案内。
ナビゲートするのは……
フードライター・坂井あやのさん
小誌をはじめ、雑誌やwebメディアで食・酒・旅にまつわる記事を執筆。代々木上原在住歴は15年目で、隙あらば地元で飲み歩く日々。毎週月曜日は『スナック眞木』の代理ママとしてカウンターに立つ。大の酒好きで野球好きな一面も。

盆踊りを控えた駅前の商店街。高感度な大人が集う都会的な印象の一方で、
祭りや神輿で盛り上がる庶民的な下町風情が街に息づく
スーツ姿やブランドバッグで闊歩する人は少なく、ラフだけど品の良いファッションやライフスタイルを好む大人たちが集まる代々木上原。
駅から坂道を上ると、明治時代初期に木戸孝允が開発し、徳川家所有だった“徳川山”一帯に都内屈指の高級住宅地である大山町が広がる。
良いモノを知る審美眼に長けた住民が多い“上原”。そんな民度に呼応するように、飲食店も上質でセンスフルな店が街の隙間を埋めるように点在している。
ゆえに、ここ数年は新しくできた行列店や予約困難店をめがけて訪れる人たちが増え、週末は観光地化している現象も。
「わざわざ出かける街になりつつある上原ですが、住民たちは新店でも定番の店でもふらりと立ち寄れる“普段使いの良い店”を押さえている印象です」と坂井さん。
地元民に愛される隠れた名店と注目の新店をジグザグに巡る、ホッピングナイトをアテンドしてもらった。ローカル目線で街を歩けば、気取らないけど洒落ている上原の夜の素顔に出会えるはず。
【1軒目/18:00 START】人気イタリアンの入り口に誕生した角打ちでアペロスタート
『Quindi』

店主の塩原弘太さんがオススメを提案
ハシゴ酒のスタートは、日本各地のこだわり食材を使ったイタリア料理が評判の『Quindi』へ。

ワインはイタリア、日本の自然派が中心。¥3,000台〜の手頃なものから人気ワイナリーの希少なボトルまで多様に取りそろえる。「買い物ついでに1杯!」と立ち寄るご近所さんも
この8月から、入り口横の物販スペースにワインの角打ちが誕生したばかり。イタリアや日本のナチュラルワインをグラス¥880〜、ボトルは販売価格に+抜栓料¥1,500で提供する。
「立ち飲みで手頃に楽しめるから、待ち合わせやアペロで1杯やるのにピッタリ」と坂井さん。

『Otis』の生ハム(¥1,000)や、季節替わりの春巻き「鯵とズッキーニ」(¥550)など角打ちのアテも贅沢
ワインのアテには、レストランメニューの春巻きやニョッキ、東向島『Otis』のハムやサラミなどを用意。
次世代の定番メニュー

房ごとセミドライした「こもだ果樹園の干し葡萄」(¥2,060)や、泡酒に入れてもオススメな「ひらの園ドライいちご」(¥900)など、甘みと香りが凝縮された逸品にワインが進む
使い勝手抜群の感度の高いワイン角打ちが、上原飲みの新たな給水(酒)スポットになる予感大!

【2軒目/19:00】町蕎麦らしからぬ、美酒天国で愉しむ蕎麦前が最高!
『そば處大野屋 元代々木町店』

気軽な“町蕎麦”で入りやすい
次に訪れたのは、渋さ漂う昭和23年創業の老舗蕎麦店『そば處大野屋 元代々木町店』。
佇まいこそ“町の蕎麦屋”だが、実は“飲める蕎麦屋”として酒好きたちに知られる名店なのだ。

大野さんによる酒の解説も楽しい
店主の大野慎介さんは、テキーラマエストロ、ソムリエ、唎酒師でもあり、お酒への造詣が深い。

「鰹たたき土佐造り」(¥1,100)は時季ごと産地を選び藁焼きに。蕎麦だしたっぷりの風味豊かな「厚焼き玉子」(¥850)は必ず頼みたい名物。江丹別の蕎麦の実を粗挽きにした「そば
豆腐」(¥800)など、蕎麦前にもこだわりが随所に
坂井さんは「クラシックからナチュラルワインまで地下のセラーには大量のワインがストックされていて、テキーラは約70種をラインナップ。ほっと和む酒肴と美酒の百花繚乱に、小躍りしたくなる蕎麦前を満喫できます」と太鼓判を押す。
不動の人気メニュー

「鴨せいろ」¥1,300。
蕎麦は信州産石臼挽きの更科、指宿と土佐清水の本枯れ節と、2つの醤油をブレンドした濃いめのつゆに、青森県産鴨の滋味が合わさった奥深さが美味。

【3軒目/21:00】隠れ家感あふれる地下の“リトル高知”で、ご当地の食と酒を堪能
『上原の酒場 でばちか』

ビル地下にある無機質な扉が入り口
一見では分かりづらい、雑居ビルの上階や地下に地元民が好む良店が潜む代々木上原。
『でばちか』もそんな1軒で、駅前の『でばやし』の姉妹店として昨年11月にひっそりとオープン。

共同オーナーの中島 良(左)さんと田邉翔太(右)さんは同郷の幼なじみ。気さくな人柄で心地良い時間を過ごせる。若い客層の本店とは異なり、大人がふらっと入れる地元密着型の酒場
高知出身の店主ふたりが提案する、ご当地の食材や名物をつまみに飲める。

左の「ザーサイと新生姜のナムル」(¥650)はごま油の香りに酒が進む。右は高知名物「ちくきゅう」¥580。
次世代の定番メニュー

少しおなかにたまるものが欲しい時やお酒のアテにピッタリな「ネギトロバゲット」¥600。
たっぷりのったネギトロに、バルサミコをアレンジしたソースがマッチ。

上から時計回りに「土佐茶ジンジャー割り」¥600、「文旦サワー」「スイカサワー」ともに¥720
深夜2時までの営業で、遅めのスタートや〆にも通えるありがたい存在。
「本店よりも客の年齢層が高めで、落ち着いて飲めるカウンターが居心地良し。料理はふたりでちょうど良いポーション」
ハシゴ酒の途中にももってこいだ。

【4軒目/23:00】名物マスターを慕って集まる地元民憩いの場で、寝酒のシェリー酒に浸る至福
『ニューウェルファンカフェ』

深夜まで賑わうカウンター。「スペイン人みたいに明るくて面白い、橋本さんに会いに来るファンも多数。この店に来ると元気がもらえます」
1998年創業で、建て替えによる2年間の休業を経て同じ場所にカムバックしたスペインバル『ニューウェルファンカフェ』。

「たまごアンチョビ」¥390、ドライシェリーはグラス¥880〜
「本格的なスペイン料理を味わえ、¥270〜のピンチョスや1人前から注文可のパエリアが嬉しい。深夜の“小腹減った”に最適」と坂井さん。
不動の人気メニュー

通称“チャルメラ”で親しまれている「スープパスタ」(¥1,320)は、〆に頼む定番の逸品。
生姜たっぷりのスープにエビ、アサリ、鶏肉などさまざまな具材やトッピングを選べる。

本場仕込みのヴェネンシアドールに歓喜!
シェリーは110種をそろえ、50回の渡西を経験する店主の橋本秀昭さんは「シェリーはぐっすり眠れて二日酔い知らず。寝酒にピッタリだよ」と語る。
ハシゴ酒の〆に駆け込むべし!

◆住民が夜な夜な集まる地元の“愛されバー”へ……
1.【LO27:00】上質な音楽に心委ねる
『CALLAS』

ウッディで洒脱な空間
アルテックのスピーカーや真空管のアンプから流れる、レコードを聴きながら寛げるカフェバー『CALLAS』。

2階はチャージ料1時間¥500で、ヴィンテージスピーカーで持ち込みレコードを鑑賞することも可能
店主はバイオリン職人で、工房のある2階では不定期でDJやライブイベントも開催。
音楽やアート好きたちが集う地元民の秘密基地として親しまれている。

丸11日かけて作る「カラス
スパイスチキン
カレー」(¥1,300)は、数種類の
スパイスの辛みと旨みが絶妙。カルダモン香る「カラスレモンサワー」(¥950)と一緒に
深夜3時まで良質な音と酒に浸れる1軒。

2.【LO26:00】テキーラの奥深さ知る
『PERROS PERRAS』

モダンな空間は犬との入店もOK。料理担当のマスさんは沖縄出身
オーガニックのテキーラやメスカルが充実するメキシカンバー『PERROS PERRAS』。

お好みの飲み方で楽しむテキーラは13種類用意。香りや味わいを楽しむテキーラに開眼する客も多い。ブランコ¥1,200、レポサド¥1,300〜、アネホ¥1,400〜
ブランコ、レポサド、アネホといった熟成期間の異なるテキーラをグラスでじっくり堪能したり、アップスタイルで味わったりと、テキーラの奥深い楽しみ方を提案してくれる。

メキシコの祭壇をイメージしたムーディな装飾
23時まで提供している絶品タコスも大人気。

3.【LO27:00】上原の深奥に佇む隠れ家
『Mujina Bar』

隠れ家感溢れる空間。カウンターの他、奥行きのある店内にはテーブル席やソファ席もありグループでも利用できる
20年目を迎える重鎮的なバー『Mujina Bar』。
住宅地の細い路地にあるビルの地階へ下りると、スピークイージーのような怪しげな空間が出現。

間接照明に浮かぶボトルが格好良いバックカウンター
「“南アフリカにあるホテルのバー”がテーマ。さまざまな国のディテールを詰め込んだ」と店主の矢澤大輔さん。

常連客に評判の「ラムコーヒー割り」¥1,200。
ミルキーな口当たりで飲み過ぎた夜の〆の1杯にも最適
ムーディながら気取らない雰囲気が心地良し。
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