よく勘違いされるが、U-21欧州選手権は予選開始時の年齢条件でつけられた名称であり、本大会開催時でU-23年代ということになる。つまり2025年大会の場合、2002年1月1日以降に生まれた選手が出場できる。そのため、ここでは同代表をU-23と明記する。
この大会を現地取材した。ここでは、世間的な注目は高かったが、今大会ではまだまだだったという選手や、まだあまり高く評価されていないものの、今後伸びてくるかもしれないという選手を中心に取り上げ、そのパフォーマンスを評価した。前編ではまずこの6人を紹介する。
1、イーサン・ヌワネリ(イン
グランド:アーセナル)
18歳ながら
飛び級で招集。5500万ユーロという
市場価値は今大会選手で最も高い。今季所属クラブのアーセナルでは、負傷で長期離脱したイン
グランド代表FWブカヨ・サカの穴を見事に埋める活躍を見せた。グループリーグ3戦目のドイツ戦でスタメン出場し、随所に切れ味鋭い動きで会場を沸かしていた。ただ密着マークを受けると、なかなか前を向くことができずに、ずるずる下がってしまうなど、絶対的な存在になるのはまだもう少し時間が必要か。
【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!Jリーガーが好きな女性タレントランキングTOP20を一挙紹介2、ルベン・ファン・ボンメル(オランダ:AZ)
元オランダ代表のレジェンドで、バイエルンやバルセロナで活躍したマルク・ファン・ボンメルの息子。192センチの長身に加え、優れたスキルと身のこなしをもつFWだ。オランダU-23代表では左ウイングでスタメン起用され、ビルドアップで手詰まりとなった時は、ファン・ボンメルへのロングボールを起点に相手守備を攻略するシーンが多かった。準々決勝の
ポルトガル戦では不用意なファウルで2枚のイエローカードをもらい、早い時間帯で退場。この経験を活かして、より成熟した選手へ成長してほしい。
3、パウル・ヴァナー(ドイツ:ハイデンハイム)
ドイツU-23代表のコーチで、バイエルンのコーチ時代にトーマス・ミュラーを発掘したヘルマン・ゲーランドが「彼ほどの資質を持っていたら、19歳の時点で、バイエルンで100試合出場もできたはず」と絶賛するほどのポテンシャルを持つ。19歳で選出されたのは大きな期待の表われではあるが、出場時間は限られた。ゲーランドが「その才能は試合を決定づけるために発揮されなければならない」と強調するように、さらにステップアップを果たすためには、いいプレー止まりを超えたパフォーマンスが求められている。
4、ジェームス・マカティ(イン
グランド:マン
チェスター・シティ)
アメリカでのクラブ・
ワールドカップではなく、スロバキアでのU-21欧州選手権を選んだ。シティのジョゼップ・グアルディオラ監督からも、その決断を受け入れてもらえたと報じられている。狭いスペースでも解決策を見出すそのスキルレベルとクリエイティブなプレーアイデアは素晴らしく、ポテンシャルは同年代の攻撃的MFの中でも極めて高い。今大会では準々決勝のスペイン戦で貴重な先制ゴールを決めるなど奮闘。試合の流れから消えてしまうことがまだ少なくない点を改善したい。
5、クリスティアン・モスケラ(スペイン:バレンシア)
今大会ベストCBの前評判通り、グループリーグでは安定したパフォーマンスでチームのベスト8進出に貢献。的確な戦術理解をベースに冷静な判断力と鋭い1対1の対応で守備陣を統率していた。ただ、準々決勝のイン
グランド戦では相手のハードプレスに苦戦し、ビルドアップからミスパスを連発するなど、らしくない姿を見せたのはマイナス点。自身のプレーだけではなく、チーム全体のオーガナイズを期待されていたし、それができるだけの選手ではあるはず。この経験を糧にA代表で存在感を発揮する選手へ成長してほしい。
6、ウィルフリード・ニョント(イタリア:リーズ)
22年6月に18歳でイタリア代表デビューを飾り、史上最年少ゴールを記録した俊英。類まれなスピードと俊敏な身のこなしを武器に、イタリア代表の将来を担う逸材の一人ではあるが、その後に順調なステップアップは果たせず、この2年間イタリア代表から遠ざかっている。今季は日本代表MF
田中碧とともにリーズで活躍し、プレミアリーグ昇格に貢献。イタリア代表復帰の可能性も近づいてきているだけに、世代別大会での爆発が期待されたが、4試合無得点で大会から去ることに。準々決勝のドイツ戦では2枚のイエローカードで退場処分となり、人目をはばからずに号泣。ベンチから多くの控え選手が駆け寄り必死で慰めていたところに、普段からみせる人間性の素晴らしさが垣間見られた。
取材・文●中野吉之伴