交渉には、ジョアン・ラポルタ会長、デコSD(スポーツディレクター)、代理人のジョルジュ・メンデスに加えて、両親も参加した。ラミネはバルサでの公式戦で通算106試合に出場し、25得点を記録しているが、現在17歳だ。ともに早期に契約を締結することに最後まで懐疑的だったが、バルサには合意を急ぐ理由があった。
バルサが必要に迫られてヤマルの契約を交わしたのは今回が初めてではない。くしくもその時もパリ・サンジェルマン(PSG)の影が背後から迫っていた。
2023年7月19日、
シャビ・エルナンデス監督率いるチームが米国遠征へ向けて出発する直前、ヤマルは年俸約160万ユーロで契約を結んだ。当時の年齢は16歳。
未成年者には3シーズンを超える契約が許可されていなかったため、その中には3年を迎える2026年7月に自動的に3年延長され、さらにヤマルが18歳となる今年の7月13日付で年俸を500万ユーロに引き上げるという2つの条項が盛り込まれた。
当時、クラブ内には、PSGに売却すれば「そのお金で多くの債務を返済できる」と主張する声もあったが、シャビもラポルタもラ・マシア産の
宝石を手放す考えは毛頭なかった。
【画像】真野恵里菜、平愛梨、高梨臨…新旧日本代表を支える”タレント&モデルの美人妻たち” それから約2年が経過。ラミネは世界トップレベルの選手としての地位を確立し、バロンドールの候補にも名を連ねるまでになった。「もちろんヤマルは契約を延長する。間もなく決まるだろう。彼はバロンドールを獲得する。間違いなくね」と、先週バルセロナを訪れたメンデスは、ラポルタとの昼食会後に語った。テーマはもちろんヤマルの新契約だった。
当初は、メンデスのバルセロナ出張は、彼のスケジュールにもラポルタのスケジュールにもなかった。
バルサが懸念を抱いたのは、ラミネがバカンス中にブラジルへの旅行を計画しているとの報を受けた時だった。滞在中に、幼少期の憧れの
アイドルである
ネイマールとも会う予定だという。
「もし
ネイマールの父親と代理人のアンドレ・クリーが共闘してうちとの契約を解除し、PSGに移籍するよう説得したらどうするんだ?」と誰彼となくラポルタの耳元で囁いた。この2人は、今から8年前に
ネイマールのPSGへの電撃移籍を仕掛けた張本人だ。
メンデスの周囲にも同様の声が上がっていた。「ジョルジュ、バルセロナに来い。ラミネの件を片付けよう」と、ラポルタは提案。数日後、メンデスはバルセロナ入りした。双方ともピッチ上でのチームリーダーとしての地位は給与体系にも反映されるべきというヤマルの希望を把握していた。
話し合いの結果、今年7月13日付で有効となるアップ額は500万ユーロから約1500万ユーロへとほぼ3倍増となった。さらにその大半がクリア条件が容易な出来高を含めると、手にする給与額は2000万ユーロ近くに達する。
このヤマルの契約延長は、スポーツ部門の関係者が「今夏の最優先事項だ」と警鐘を鳴らしていた重要案件だった。無事に解決できたわけだが、同時にクラブ内で明確に共有されていることがある。それは特別待遇を用意するのはあくまでラミネ1人である点だ。
これはリオネル・メッシがエースとして君臨していた時代の経験が教訓として生きている。当時は10番を神格化する余り、他の選手にも破格の給与を支払っていた。「バルサのサイドバックが(マン
チェスター)シティのFWより多くの給与を手にすることは2度とあってはならない」と前出のスポーツ部門の関係者は強調する。
一方、“バロンドール級”の契約を勝ち取ったヤマルは、祝賀パーティーについては当面お預けを食らっている。それが両親の要望でもあった。なぜなら今は
未成年者だからだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
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