1歩1歩階段を上がるなか、2022年1月に
ベルギー1部オーステンデヘ移籍。そして2023年7月からイン
グランド2部コベントリーでプレーしている。
海外での4シーズン目を終えた28歳の胸中に迫った(第1回/全6回)。
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延長後半アディショナルタイム3分――コベントリーは痛恨の失点。今季のプレミアリーグ昇格プレーオフ準決勝で敗退となった。一方、自分たちを破ったサンダーランドは、決勝のシェフィールド・ユナイテッド戦も制し、世界最高峰のリーグへの扉を開いた。
フランク・
ランパード監督から厚い信頼を寄せられ、準決勝の第1戦も第2戦もフル出場した坂元は、こう思ったという。
「今までも、決勝と言いますか、大きなものが懸かった試合は何度か経験していて、それを直前で逃してきました。率直に、あの失点をした時は『また届かないか』って気持ちがまず1番でしたね。第1戦、第2戦を通して僕らが主導権を握っていましたし、僕らのやりたいサッカーができていたので、もちろん自信はありました。PKになっても勝てる自信がありました。そう思っていたなかでの失点だったので、がっかり以外のものはないです。
高校の選手権決勝やルヴァンカップ決勝で敗れて、
ベルギーでもこれを負けたら2部降格の試合で負けたりしているので。もちろん、それ以上に掴んできた大きな結果もありますが、やっぱり僕の中ではそういう直前で逃した試合のイメージはすごく大きく残っています。『またそれが加わった』って言い方はあれですけど...またそういう経験の中での感情でした」
【レア画像】超名門本拠地の普段は見られない場所も!ピッチ上とは違う表情…サムライ戦士のスタジアム入りショット!イヤホンはワイヤレス派?コード派? もっとも、プレーオフでの自身のパフォーマンスには、ある手応えを感じている。
「2試合を通して良かったと思いますし、チャンスも作れていました。あと1歩でゴールも、ゴールに繋がるプレーもあったので、個人のプレーとしては良かったと思うんですけど...本当勝つのが全てなので。最悪、僕が出なくても勝てばいいし、自分のパフォーマンスよりもチームの結果を優先したい試合だったので、それが叶わず悔しい思いの方が強いです」
骨盤骨折の大怪我から復帰して臨んだ今季の全体を振り返ると、公式戦48試合で4ゴール6アシスト。基本的には先発として1シーズンを完走した。
「昨シーズンに大きな怪我をして、シーズンの最後に抜けて、半年近く実戦から離れてからのスタートだったので、最初はコンディションが思うように上がりきらなかったです。自分的には動けている感覚だったんですけど、中々違いを作れずに苦しみました。そのなかで徐々にコンディションを戻して、少しずつ良いパフォーマンスができるようになって、2月、3月辺りからは、コンディションは100%に近い状況で、内容もある程度納得のいく試合ができました。
なので、終盤は納得のいくプレーができましたが、シーズンを通してではまだまだ物足りないです。終盤のパフォーマンスを1年間通してできれば、もっともっと上に行けると思いますし、チームの勝利に貢献できると思うので、そこが次の課題です」
途中出場が続いた時期もあったが、決して悲観的にはならず。むしろ、“ある意味チャンス”と捉えるだけのタフさが坂元にはある。
「コベントリーに来るまでは、スタメン落ちの経験はあまりなくて、基本的にはずっと試合に出続けてきましたが、焦りや
モチベーションの低下は全くなかったです。サッカー選手としての本質は、ベンチに下がったり、ベンチから外れた時にどういう姿勢を見せるかです。サブで
モチベーションが下がって、そのまま移籍したり、使われなくなる選手もたくさんいます。ただ僕は、スタメンから外れても戻って来られる自信がありました。
練習で試合に出たい気持ちを監督に見せたり、率先してサブ組をまとめて、このチームを強くする姿勢を見せることが自分にできることだと思っていました。6試合ぐらいベンチが続いた時もあったのかな。そういう時はそこを意識して常にやって、監督からも評価してもらいましたし、結果的にスタメンに戻って、また試合に出続けることができました。
僕としてはすごく貴重な経験というか、すごく僕が経験したかった...もちろんスタメンを外れることは良いことではないですけど、サッカー選手としての経験値を上げるために必要だと思っていた部分を経験できたので、自分にとって大きなプラスになりました」
先発落ちさえもポジティブに――。
ランパード監督も認める28歳のメンタリティの強さ、欧州で躍動する理由が垣間見えた。
取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)