技術の進歩によって
スマートフォンの性能も大きく進化していますが、それに伴って
スマートフォンの価格は上がっており、ハイエンドクラスになると数十万円の高級品となっています。そのため、
スマートフォンを盗んで転売する犯罪者が後を絶たず、
スマートフォンメーカーも位置情報で探し出したり遠隔でロックをかけて使えなくしたりと、盗難対策を練っています。実際に盗まれたiPhoneがどういうルートをたどって転売されるのかを、海外
メディアFinancial Timesが解説しています。
Inside China’s ‘stolen iPhone building’
https://www.ft.com/content/752f84ac-329d-4e10-ae46-7a1c27319498
How Stolen iPhones Travel From Western Streets to Chinese Markets - MacRumors
https://www.macrumors.com/2025/05/21/stolen-iphones-western-streets-chinese-markets/
中国広東省・深圳の電気街である華強北(ファンチャンベイ)にあるフェイヤンタイムズビルは、一見すると普通の電子機器
市場の一角にすぎませんが、その4階では中古iPhoneが数多く販売されています。この中には、消費者が正式に下取りに出した端末も含まれますが、盗まれた
スマートフォンが紛れ込んでいるとされ、「盗難iPhoneのビル」としてオンライン掲示板などでたびたび話題になっています。
ロンドンで私物のiPhone 15 Proを盗まれたある起業家は、位置情報を追跡した結果、自身のiPhoneが香港の九龍を経由し、深圳の華強北エリアに移動していたことを確認しました。これは、欧米で盗まれた
スマートフォンがアジアに運ばれ、最終的に中国の電子機器
市場へと流入しているルートが存在することを示しています。
このルートの出発点は欧米の都市で、犯人は街中でターゲットを見つけて
スマートフォンをひったくります。盗まれた
スマートフォンは地元の闇
市場や修理業者を経由し、最終的に香港へと送られます。香港は自由貿易都市であり、輸出入税がなく、通関手続きも簡単であるため、中継地として非常に都合が良いというわけです。香港の観塘(クントン)地区にある31階建てのビルには多くの業者が入っており、
WhatsAppやWeChatなどを通じて「
iCloudロックあり」「IDあり」などと記載されたiPhoneが取引されています。
ここで小売業者は入札に参加し、獲得した端末を手荷物で深圳に持ち込んだり、専門業者や密輸業者を利用して輸送したりします。フェイヤンタイムズビルの上階では、こうして運ばれた端末がさまざまな状態で展示されており、バイヤーたちがまとめて購入していきます。SIMロックのある
アメリカモデルは輸入関税が安いため、パキスタンやリビアなどの業者に人気があるとのこと。たとえ通信機能は使えなくても、
カメラやWi-Fi、ゲームなどの用途で使用されているようです。

端末がパスコードでロックされていたり、
iCloudで遠隔ロックされていたりする場合は転売が難しくなりますが、その場合は部品として分解されて販売されます。フェイヤンビルの2階には部品専門の業者が軒を連ねており、スクリーンや基板、チップなどを買い取っています。部品一つひとつに需要があるため、
スマートフォン全体としては使用不能でも、分解して販売することで一定の利益が得られる仕組みになっているそうです。
一部の盗難被害者からは、端末をロックしたままにしておくと何者かから「
iCloudロックを外してほしい」と依頼されたり脅迫されたりするケースも報告されています。犯罪者側は必ずしもロックを強制的に解除する手段を持っているわけではありませんが、端末を販売したり部品化したりすることで利益を得るルートが確立されているとのこと。欧米の街頭で盗まれた
スマートフォンが香港を経由して深圳の
市場で売られ、世界各地へ再流通していくという国際的な供給ルートは確実に存在しており、フェイヤンタイムズビルは、その終着点の一つとして機能していると言えます。

香港
警察はFinancial Timesに対して「実際の状況に即して、必要に応じて法律に従い、適切な措置を講じます」とコメントしました。