「賢者タイム」では眠気を起こす物質が脳内から分泌 男女で差
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「ピロートークを楽しみたいのに、恋人がすぐに寝てしまう。できるならもう一回、したいのに……」
「さっきまであんなに情熱的に求めてくれたのに、終わったら背を向けて寝るってあり得ない! もしかして、からだ目当て?」
「セックスのあとの、いわゆる“賢者タイム”にも男女で差があります」と語るのは、『女医が導く いちばんやさしいセックス』を上梓した医師の富永喜代氏。
「こと“性”に関して、男性と女性はお互いを意外なほど知りません。たとえば、男性は女性が濡れていると感じていると思い込みがちですが、濡れているからといって感じているとは限りません。
思い込みや勘違いをそのままにしておくと、やがて心もからだもすれ違ってしまう。ですから、まずは“知る”ことが大切です」と続ける富永氏に、賢者タイムの謎について解説してもらった。
◆賢者タイムは相手への愛情不足によるものではない
――なぜ、相手のことを嫌いになったわけではないのに、賢者タイムが訪れるのでしょうか?
富永喜代(以下、富永):オルガズムに至るまでの性反応は、「(1)興奮期→(2)高原期→(3)オルガズム期→(4)消退期」の4つの段階に分かれているとされていますが、賢者タイムとは、この消退期に起こるものです。
もともと賢者タイムという言葉はネットスラングなので、厳密な医学的定義はないのですが、「性交や自慰行為でオルガズムに達したあとに見られる、急激に性欲が減退している状態」(『新語時事用語辞典』)と説明されています。
セックスやマスターベーションでオルガズムを得ると、脳内には愛情ホルモンのオキシトシンや快楽を生むドーパミン、鎮痛・鎮静作用を生むβ‐エンドルフィンなど、さまざまな脳内ホルモンが分泌されます。またセロトニンという睡眠・覚醒のリズムを整える物質も分泌され、自然で質の良い睡眠に導きます。
◆男性のメカニズムを知ることで心に余裕も
富永:特に男性が射精をした後は、プロラクチンというドーパミンの興奮作用を抑制し、眠気を起こす物質が脳内から分泌されます。これが賢者タイムの正体です。
興奮状態から落ち着き、ぼーっとしてしまうのは、なにも女性への愛情がなくなったからではありません。
もちろん、賢者タイムを理由に女性を雑に扱っていいとはなりませんが、女性もこうした男性のメカニズムを知っていれば、セックスのあと、思わず寝落ちしてしまったパートナーの横顔を見て「仕方ないなあ……」と苦笑いできる心の余裕も生まれてくるのではないでしょうか。
◆女性も64%が賢者タイムを経験
――賢者タイムは、男性特有のものなのでしょうか?
富永:賢者タイムは、性欲同様に個人差が大きいものです。そのためには、まずは平均を知り、その上で自分やパートナーはどのようなタイプなのかを知ることが大切です。
アダルトグッズを手がける株式会社TENGAの調査によれば、男性は96%の人が、そして女性も64%の人が賢者タイムを経験しています。男女ともにセックスのあとよりマスターベーションのあとのほうが賢者タイムになりやすいことは共通していますが、その平均時間は男性が約25分、女性は約6分と男女で大きく差があります。
特に男性は、賢者タイムが「1分以内」という人もいれば、射精後は6時間以上もぐったりしている(!)という人もいるなど、個々のバラつきが女性以上に大きいのが特徴です。
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