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セクシー女優の肩書きを消すことなく、俳優として母として生きる川上さん。彼女の
インタビューから、業界を退きながらも活躍し続ける一人の女性の“生き方”が見えてくるかもしれない。
◆引退の理由は「脱ぐことに意味を持たせたかったから」
――引退した理由は何だったのでしょうか。
川上なな実(以下、川上):ひと言でいうと、俳優業へのステップのためです。現役でいることの障壁が高くなったと感じたことが大きいですね。
――その当時、すでに一般作品の映画にも数多く出演していましたよね。両立していくことは選択肢になかったのでしょうか。
川上:デビューして10年近く経っていたので、出演作品数が200本くらいになっていました。正直、撮影現場でも動きが流れ作業になってしまっている自覚があったんです。
引退を決めた頃には、脱ぐことがゴールになっている作品づくりに興味が持てなくなっていました。裸=リビドーに訴えるためだけのものではなく、お芝居を通じて脱ぐことに意味を持たせたいと思うようになったんです。
◆産後ボケがひどすぎて人としゃべれなくなった
――新たなステージに踏み出すための引退だったわけですね。2023年1月に出産をされてからは、育児に専念していたそうですが。
川上:はい。ここ1年は、本当に育児のみの生活でした。私、産後ボケがひどすぎて、子どもを産んでからは全然人としゃべれなくなっちゃったんですよ。言葉が出なくなったりテンパったりで、すごく大変だったんです。
――マミーブレインという症状らしいですね。物忘れが激しくなったり、集中力が低下したりするようです。
川上:でも最近、ちょうど俳優業が動き始めたところなんですよね。先月も映画の撮影に参加してきました。そのお陰で、今はもうマミーブレインからは抜けられています。
子どもが3か月くらいの頃に、搾乳をしながらちょっとだけ撮影に参加した時も思ったんですけど、改めて自分はやっぱり外で活動したい人、家でじっとしていられない人なんだと実感しています。
◆子供を産んだことが自信につながっている
――久しぶりの撮影現場で、演技の面で何か変化は感じましたか?
川上:良い意味で力が抜けたように思います。普段の自分と役の自分とのスイッチングが上手になりました。以前は寝る間も惜しんで役作りに集中していましたけど、今は「どうせ現場に行けば絶対にデキる! だから今は寝よう!」といった風に切り替えられています。
――川上さんには、役作りにストイックというイメージが強かったので意外ですね。
川上:今は役作りに全振りで頑張る時間がない分だけ、意識的に「現場で集中!」みたいなやり方になっているんです。この前も、楽屋でグっと役に入り込んでから出ていったら「話しかけられないオーラが出てた」なんて言われたんですよ(笑)。
他にも「すごく撮影映えをしていた」と言われました。これはストイックすぎない今の自分を認められたようで嬉しかったです。きっと私は子どもを産んだことが、自分の自信にも繫がっているのでしょうね。気づいたら自然に自分のことを好きになっていました。