令和のキャッツ・アイと呼ばれた2人組のひとりであるAさんが涙ぐんで言う。彼女に当時の心境を聞いてみた。
◆ホストにハマったきっかけ
Aさんはそもそもホストクラブに興味はなかったという。その世界に初めて足を踏み入れたのは20歳の頃だった。
「親友の行きつけのボーイズバーがあって、そこの子がホストデビューするとのことで。私は、あくまで親友の付き添いで行ったんです。ただ、結局は満卓で入れなくて。歌舞伎町の道端でキャッチに誘われて別の店に入ったんですが……なぜか私のほうがホストにハマってしまったんですね(笑)」
そこで出会ったホストは同世代のイケメン。“有名ホスト”に分類される知名度と売上があったそうで「ミーハーだったから、純粋にスゴいって思っちゃった」と指名することに。
「お店に行った数日後に彼と店外デートしました。居酒屋で飲んで、彼の家に泊まりました。有名な彼が私にこんな時間を使ってくれたから『お店に行かなきゃ!』って使命感にかられて(笑)、誘われてもいないけど店まで飲みに行って。
その日から、店まで飲みに行ったら彼から『今日も家くるよね?』みたいに言われて一緒に帰るという同棲生活がスタートしました」
◆「とうとう自分もここまできちゃったか」と恐怖心
ホストクラブに通う以前、18歳の頃から夜の店で働いていたAさんは、金銭的に困ることもなく店に通っていたそうだ。
「毎日お店に行っても1回3万〜4万円前後だったから、私の収入的にはぜんぜん問題ありませんでした。
手持ちの現金が足りず、初めて“売掛”をしたのは……ものすごく店が暇な日があって。ヘルプが全員私の席に着いちゃったんです。盛り上げて単価を上げるために、みんなでゲームしたりしていたら会計が16万円になりました。私は15万円しかもっていなかったので1万円の売掛をしました。そこからですね」
そのとき、Aさんは「とうとう自分もここまできちゃったか」と初めて恐怖心を覚えたという。
「今までは毎日の稼ぎの中で遊んでいたのに、その範囲を超えてしまったことがすごく怖かった。ここでヤメておけばよかったんですけどね」
◆犯罪に手を染めてから“いつか捕まるんじゃないか?”
売掛はクセになってしまい、額はどんどん上がっていく。こうして歌舞伎町にどっぷりとハマっていった。そして担当のホストが何人か変わりゆく中で、“令和のキャッツアイ”として共に逮捕されたBさんに出会う。
「共犯者のBは歌舞伎町では有名な子だったんですが、彼女と話しているうちに、窃盗で結構な額を手に入れていることを知ったんです。ホストは脱税してるから、盗んでも警察に通報されることはない、みたいな。それで当時は好奇心でやってしまったんです。
合鍵をもっているホストの家に行ってみると、紙袋に1200万円もの現金が置かれていて。 それをBから『半分ずつね』って、600万円を渡されて」
こんなに簡単に大金が手に入るなんて……Aさんは驚いた。しかし、犯罪に手を染めてから“いつか捕まるんじゃないか?”という不安に苛まれるようになった。
「警察に捕まる夢を見るようになって。お酒に酔っているとき以外は、ずっと捕まることを考えていて、精神的に苦しかったです。ただ、1回やってしまったら、もう引き返せないというか、何回やっても同じというか。やり続ける(盗み続ける)という選択肢しかありませんでした」