グルメエックス株式会社 共同創業者の野間口兼一さんに、宅麺.comが全国の人気ラーメン店から信頼され、競合サービスが撤退するなかでも生き残ってこられた理由について話を聞いた。
◆有名ラーメン店で売られていた「
お土産ラーメン」が原体験に
2010年にサービスを開始した「宅麺.com」だが、その頃は今のような
フードデリバリーが主流ではなかった。
並んでまで食べたい“旨いラーメン”にありつくためには、店舗まで足を運ぶのが一般的だったわけだ。
このような状況下で、なぜラーメン通販ビジネスを始めたのか。野間口さんは「中高の同級生で共同創業者の井上 琢磨の原体験が由来になっている」と話す。
「その当時、有名なラーメンの行列店では『
お土産ラーメン』という商品が販売されていました。それを井上が買って帰り、家族に食べさせたところ、妻や母がものすごく喜んでくれたみたいで。
それが、『
メディアで取り上げられる人気店のラーメンを食べたいけど、食べれない人たちがいる』ことに気づくきっかけになりました。そうした方たちに向けて、美味しいラーメンを自宅でも食べられるようにしたいという思いから、サービスを立ち上げることになったんです」(野間口さん、以下同)
野間口さん自身も、カフェやそば屋、町中華といった飲食店を3店舗経営していた経験があり、事業の拡大を考える上では「ネットと掛け合わせたサービスを何かできないか」と模索していたという。
このような背景からお互いが意気投合し、「宅麺.com」を共同創業する流れにつながったのである。
◆塩をまかれ、怒鳴られながらも営業活動を続けた
しかし、立ち上げ当初はサービスサイトもなければ、ラーメン店とのコネもない状態だったため、“どぶ板営業”して一から開拓していく必要があった。
その時代は、ラーメンを凍らせること自体がタブー視されており、営業先の店主に「ラーメンを凍らせて販売させてください」と伝えても、ほとんどが門前払いされるという辛い状況だったそうだ。
「最初は塩をまかれたり怒鳴られたりと、まともに向き合ってもらえませんでした。それでも諦めずにコツコツと営業をしていくうちに僕たちの熱意が伝わってきて、宅麺.comに参画してくれるラーメン店が少しずつ増えていきました」
一番最初にOKが出たラーメン店は武蔵境に店舗を構える「麺や純氣」(現在は契約終了)。
スープや麺、具材を冷凍させる方法は何も確立されていなかった状況でも、最適な冷凍の仕方を試行錯誤していきながら、店主とともに仕様を決めていったという。
そして転換点になったのは、新宿のつけ麺で有名な「風雲児」やとんこつラーメンの「一風堂」が宅麺.comで商品を販売し始めたタイミングだった。
「一風堂が宅麺.comで買えるようになったことが、ラーメン業界で結構話題になり、『一風堂がやるくらいなら安心できる』と、他のラーメン店も後追いするように宅麺.comのパートナー店舗に加盟するようになりました」