ビジネスシーンで革靴しか履けないという場合は、テクシーリュクス(アシックス商事)の出番です。この見た目で、完全防水。定価も1万7000円前後とゴアテックス製品の中では安価。しかし繰り返しますがこれからの季節は、蒸れが避けられません。そこで裏技をご紹介します。コロンブス社のヌメ革インソールと組み合わせます。左右入って1650円とお値段も安い。
かなり薄い製品なのでサイズ感もきつくなったりしません。これがあるのとないのとでは大違い。やや大げさですが紙オムツ並みに水分を吸います。タンニンという超絶に殺菌力のある茶渋を革に使用しているので、匂わないだけではなく、靴の中でたっぷり汗をかいても、一日終わって「ちょっと湿ってるかな」程度に強力。私もゴアテックス製品には自作のヌメ革インソールを入れていますが、3年ほどフルに使用して効果はまったく減っていません。
◆レベル3 完全カジュアル、アウトドアシーン
夏です。キャンプです。バーベキューです。いつも黒や茶色の靴を履いてるなら、いっそ派手にいきましょう。サロモン「スピードクロス6・ゴアテックス」なら実用的でやんちゃ感も皆無。
デザイナーのラルフローレン氏や川久保玲氏がプライベートで好んで履いているのがこちら。アウトドア用とはいってもファッションとしても世界的に流行しています。ぬかるみやオフロードを想定しているので底の返りはやや硬いですが、だからこそケガをしづらい。軽い登山でも問題ありません。靴紐を都度ほどいたり結ばなくても、ループに通ったコードで簡単にアジャストもできるのは便利です。世の中の靴は全部こうなればいいのにと、ひそかに思ってしまいます。アウトドアでは寒暖差も激しく、濡れたままの足では夜めちゃくちゃ寒いこともあるでしょう。これなら中に水も油も入ってきません。
土砂降りの雨の中でゴム長も悪くはないのですが、いかんせん動きづらく、歩きにくい。フットワークを軽くするならスニーカーが無敵です。なかでも防水加工の靴は技術レベルが高い工場でしか製造できないので、総じて長持ちします。雨用に、と使い古した靴を履くのはやめましょう。底も減っているので滑るなど危険でいいことがありません。快適さとおしゃれは、両立します。じめっとしたシーズンも快適な足元で軽く乗り越えましょう。
【シューフィッターこまつ】
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPは「全国どこでもシューフィッターこまつ」 靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」