日本を代表する大企業でも同じことが行われている場合がありえます。この企業では新卒の総合職を雇う際、書類選考や適性検査、筆記試験、数回の面接の合計得点で女性のほうが男性よりも高い傾向が毎年あるようです。ところが、女性の内定者はほぼ毎年3割前後に落ち込みます。そこには、何かの操作があるのではないかと私は見ています。
厳正な試験のプロセスをつくり、それにエントリーさせ、採点をしていながら、いざ内定を決める時には偏見や差別意識により操作をしているならば、欧米社会で認められるのは難しいように思います。女性の管理職、役員を増やしたいならば、新卒時で男女比をともに5割にすべきでしょう。今回の事例の女性からは、こういう古い感覚のままの日本企業の問題点を感じます。この学習塾には「今は2024年だよ! 花を渡している場合じゃない!」と言いたいですね。
<取材・文/吉田典史>
【奥山由実子(おくやまゆみこ)】
東京、浅草出身。最大手企業研修専門会社で、企画、営業、マネージメントを担当。1993年アメリカ、ニューヨークにて人事コンサルティング会社を設立。約2800にのぼる在米日本企業に対して人事・組織コンサルティングのプロジェクトを提言。制度改定、理念浸透を実施。2007年、2社目を設立し売却後、2017年、株式会社カルチャリアを設立。加速する日本のグローバル化と、その中で求められる働き方改革に使命を感じ、画期的なワークスタイル改革を軸にした新事業を展開している。
X(旧ツイッター):@yumiokuyama
【吉田典史】
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数