◆「ぜんぜん優等生じゃないんですよ」
――桜蔭中学校・高等学校から慶応義塾大学に進学し、卒業後は公務員に。経歴を見ると完全なる才女ですよね。
八ッ橋さい子(以下、八ッ橋):それ、よく言われますけど実際は2回も留年しているので、ぜんぜん優等生じゃないんですよ。もともと勉強も好きではないですし、公務員もなんとなくというか、仕方なく選んだ進路なので(笑)。
――特に就きたい仕事というわけではなかった?
八ッ橋:就職活動のやり方がよくわからなくて、気が付いたら採用がどこも終わっていたんです。公務員の仕事自体はやりがいもそれなりにあったのですが、最初から長く続けるつもりはありませんでした。
◆AVデビューは「ある映像作品」の衝撃で
――AVの世界にはその頃から興味を抱いていたのでしょうか。
八ッ橋:見たことはあったけれど、よくわからないものという印象でしたね。でも『劇場版テレクラキャノンボール2013』を見た時にものすごく衝撃を受けて、関連イベントにも足を運ぶようになったんです。そういった縁が重なって、結果的にカンパニー松尾監督のところでデビューさせてもらうことになりました。
――なぜAVデビューの道を選んだのですか?
八ッ橋:見たこともない世界に飛び込んでみたかったんですよ。それに、ぶっちゃけ自分のスタイルには自信がありました。彼氏だけにしか見せないのはもったいないと思っていたんです(笑)だから、デビューするにあたって抵抗感は全然なかったですね。ただ、葛藤はありました。親に反対されるであろう仕事だとは理解していたので。それでも、自分の中ではAVに出ることはハッキリと決まっていたんです。
◆適正AV、AV新法にフリーの立場から思うこと
――――現在、事務所に所属せずフリーで活動されていますね。
八ッ橋:まずデビューの時にフリーで活動を開始して、その後はしばらく事務所に所属していました。事務所を辞めた時、次のところに移籍するには少し間をあけたほうがいいと思って、再びフリーで活動を始めたらそのままにフリーが定着してしまったという感じですね。あえてフリーになりたかったわけではないんです(笑)。
――日刊SPA!でも取材した「AV新法改正『ナイスですね!』 演説イベント」にも、フリー女優として参加されていましたね。AV新法は作品ごとに契約書を求めたほか、撮影終了から4か月は作品を公表してはいけないことなどが定められました。2022年に施行されて変わったことはありましたか?
八ッ橋:正直な話をさせてもらうと、私の中ではそれよりも前に、適正AVができたことのほうが大きな変化のように感じました。
――適正AVは、AV人権倫理機構がルールを策定した出演者の人権に適正に配慮したAV作品ですね(3月末にAV人権倫理機構が解散したため、現在「適正AV」の名称は使われていない)。
八ッ橋:この適正AVという枠組みができたことで、大手メーカーではフリー女優の撮影をしないという自主規制ルールが生まれました。この時にフリー女優の活動が一気に苦しくなったんですよ。
◆このままだと「AVの面白さは失われてしまう」
――その頃は、どのような形で収入を得ていたのですか?