ドミセが1年未満で閉店に至った結果から自社PB商品「情熱価格」に問題がみえそうだが、意外と好調だ。
ドン・キホーテは2009年10月に取扱開始した情熱価格の立ち位置を2021年2月に「ピープルブランド」として全面刷新して以来、「『驚きのニュース』がない商品は、発売しない」を志として掲げ、競合他社で取扱実績の乏しいニッチ商品を拡大し顧客からの「ダメ出し」を活かした商品開発を積極的に打ち出すなど、価格訴求一辺倒からの脱却を図った。
取組みの一環として発売した国内家電大手では取扱いが難しいとされるチューナーレステレビのようなワリキリ家電や2023年には最長318文字を記録したPB商品名はSNSでの注目度も高く、同年6月期 のPB/OEM売上構成比は通期 17.3%(前期比+3.1%)に拡大するなど好調に推移している。同年11月にはカネ美食品との業務提携を活かし新PB商品「偏愛めし」を共同開発するなど、惣菜部門においても同様の取組みを本格化。2025年6月期の売上構成比25%という目標の実現に近付きつつある。
◆海外ドンキでも看板商品に
また、ドンキは2017年12月より中華圏・東南アジア圏を中心に日本商品特化型業態「DONDON DONKI」や情熱価格特化型業態「JONETZ」を展開しており、国外においても情熱価格はグループの看板として役割を担っている。
両業態では国内販路向け商品に加えて、前面に「日本の魅力発見 DISCOVER CHARMS OF JAPAN」「日本製 MADE IN JAPAN」「DESIGND IN JAPAN」を打ち出した海外販路向け商品や店内厨房製造による弁当・惣菜を情熱価格を冠し展開。あわせて、現地企業や現地銘店との協業により、国内販路同等のグレードの高い商品を展開するなど、既存日系流通企業や日本商品専門店との差別化に寄与している。
なかでも台湾各店では強烈なインパクトを与える画風を得意とする漫画家「漫☆画太郎」とのコラボによるスナック菓子、台湾1号店の西門店では台北市西門徒歩区街区発展促進会の西門動漫大使「林默娘」とのコラボによるポップコーンを販売するなど、地域法人単位にとどまらず店舗単位で独自商品を取扱っている。
◆訪日外国人には違和感ない組み合わせ?
これらの取組みもあり、筆者による現地在住者への取材では「2022年1月に台北西門町に1号店がオープンしたときに知った」「深夜営業や日本から輸入した商品、売れ筋ランキングや人気商品を宣伝する看板(POP)のイメージ」(新竹市在住)、「ドンキは行ったことないが高校時代(2017年ごろ)に知った。
「地元嘉義市にあるDAISO百貨(ダイソー)とイメージが似ている」(台南市在住)とドンキ非出店地域での認知度も一定数あり、夜貓族(夜型人間)が多い現地の生活様式との相性も相まって店舗網は一貫して拡大を続けている。
ドンキの海外業態「DONDON DONKI」は現地の高級商業施設や日式・日系百貨店(旧高雄大立伊勢丹・バンコクMBK東急百貨店跡など)の中核店舗として出店しており、
道玄坂通の施設イメージとも重なる点は多い。訪日
外国人観光客にとって
道玄坂通とドミセの組合せは決して違和感のない、普通の組合せだったのだ。
◆小型店も得意だが新業態は明暗も?
また、ドンキがドミセ同様に手掛ける狭小店舗に関しても、2001年6月のスモールフォーマット1号店「ピカソ伊勢佐木店」(299.499?)は開店当初より、ドンキが本来得意としてきた形態の店舗であり、圧縮陳列や商品構成の最適化により店舗フォーマットは年々洗練されたものとなっている。
ドンキは2015年10月には
エキナカ業態1号店「エキドンキ エキマルシェ大阪店」(399.9?)、2016年6月には空港内1号店「ソラドンキ羽田空港店」(107.2?)、 2021年5月には特定ジャンル特化型新業態1号店「お菓子ドンキ・お酒ドンキ」(169?)、2022年5月には
Z世代向け新業態1号店「キラキラドンキダイバーシティ東京プラザ店」(287.04?)を開店するなど、「◯◯ドンキ」として立地特性に応じた取扱商品や業態の細分化を進めている。