◆機内食事業から始まり、レストラン・ホテル事業へ
ロイヤルHDは1951年に創業した現・福岡空港内の機内食及び喫茶店事業をルーツとします。2年後の53年に福岡市内でフランス料理店を開店し、59年にはファミリー向けのレストランとして「ロイヤル」をオープンしました。そして1971年から郊外型ファミレスとして「
ロイヤルホスト」業態を始め、やや高価格帯ながらも品質にこだわったファミレスとして、その地位を確立しました。73年には高速PA内のハイウェイレストラン事業にも参入します。
1983年には東証一部に上場し、95年には大和ハウス工業などと共に5社が出資する形でホテル事業(ロイネットホテル)にも参入しました。2004年には同ホテル事業の一部を継承し、現在では「リッチモンドホテル」として運営されています。その後、2006年には丸紅系として運営されていた「てんや」事業を買収し、2013年から同業態の海外展開を始めました。
◆“ほとんどが直営”の
ロイヤルホスト直近2023年12月期の売上高は1,389億円であり、各事業の構成は以下の通りとなっています。
外食事業:
ロイヤルホスト、てんやなど(売上高619億円)
コントラクト事業:高速SA、空港内レストランなど(売上高435億円)
ホテル事業:リッチモンドホテル及びホテル内レストラン(売上高295億円)
食品事業:「ロイヤルデリ」などの家庭向け冷食(売上高118億円)
ちなみに外食事業に関しては、
ロイヤルホストの222店舗中ほとんどが直営で、てんやは182店舗中34店舗が国内FC、32店舗が海外FCです。リッチモンドホテルは同期末時点で47拠点展開し、一泊一人1万〜1.5万円と“中の上”のビジネスホテルとして知られています。
◆リスクが分散されず、業績は大幅に悪化…
リスク分散になるはずの多角経営も、事業の特徴からコロナ禍では全事業の業績が悪化しました。2019年12月期から23年12月期までの業績は次の通りです。
【ロイヤルホールディングス株式会社(2019年12月期〜23年12月期)】
売上高:1,406億円→843億円→840億円→1,040億円→1,389億円
営業利益:46.5億円→▲192.7億円→▲73.7億円→21.9億円→60.7億円
売上高(外食事業):626億円→463億円→451億円→535億円→619億円
売上高(ホテル事業):303億円→140億円→167億円→232億円→295億円
自己資本比率:49.6%→19.7%→31.0%→35.8%→38.0%
20年12月期に至っては全社40%、ホテル事業単体で54%の減収となりました。外食事業については必需性の低いレストラン業態、てんや業態が悪化の要因です。とはいえ「てんや」に至っては天丼並盛を税込500円から540円にした18年1月の値上げ以降、業績悪化が続き、外食事業全体ではコロナ禍以前より軟調に推移していました。ホテル事業は言うまでもなく出張や旅行客、インバウンド減少の影響を受けた形です。
利益面では20年12月期の275億円の最終赤字が財務を圧迫し、期末時点の自己資本比率は50%から20%へと大幅に悪化しました。しかし翌21年には資本業務提携により総合商社・双日から100億円の出資を受け、その後も追加増資を受けたことで自己資本比率は持ち直しています。後述の通り、双日との提携は今後の新規事業開拓にも関わってきます。