「同作でカービィと一緒に旅をするのがエフィリンというキャラクター。実は、このエフィリンはラスボスの片割れなんですよ。つまり『ロッシュ限界』にも、『近づきすぎず、一定の距離を保つ必要がある』という暗喩を感じてしまうんです」
楽曲だけでなくストーリーも、シリーズ最高傑作のひとつだと夢川氏は太鼓判を押す。
「謎の渦に吸い込まれたカービィが、広大な文明と自然が融合した『新世界』に迷い込む設定になっています。そこで出会った謎の生物エフィリンと共に、囚われてしまったワドルディ達を助ける旅をしてゆくのですが……ラスボスとエフィリンには非常に深い関係があって。その先はネタバレになるので、ゲームで楽しんでみてください!」
◆“
星のカービィを蘇らせた男”熊崎氏
カービィは長年普遍的な人気を保っているイメージがある。しかし、シリーズ存続に暗雲が立ち込めていた時期も存在する。それを乗り越えた立役者が前出の熊崎氏だ。
「2000年ごろから3作ほどボツが続き、新作がリリースされない期間は実に10年にも及びました。熊崎さんは『このままでは
星のカービィが終わってしまう』といった思いを抱き、『
星のカービィwii』(2011年発売)にディレクターとして参加し、心血を注いだんです。ちなみにこの作品については、任天堂社長(当時)の岩田聡さんが『10年分の思いを背負っています』と言及したほどですから、並々ならぬ制作陣の熱量がこもった1本と言えるでしょう」
=====
個人的には、とっつきやすいシンプルな操作性も人気に寄与している気もしてならない。さらに「吸い込んだ相手の能力をコピーする」アクションが、他国の食文化を独自解釈し、カレーやラーメンを国民食に昇華させた日本人の気質にマッチしていたのではないか……さすがに飛躍しすぎだろうか。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。