スマスロやラッキートリガーのおかげで、全般的に稼働率が上がり利益も増加。それに伴い、しっかりと還元しているお店もあり、特にライバル店が密集している地域などは、出玉でお客さんの取り合いをしているところもあるそうだ。
「やっぱりスマスロのおかげで稼働は上がったし、
パチンコのラッキートリガーも予想に反して動いているので利益も増えています。よっぽどアコギなお店か倒産間際のお店以外は、それなりに還元していると思いますよ。それこそ、競合店とバチバチにやり合っている地域なんか、利益率6%くらいで営業していると思いますよ。ただ、最近は荒い機械ばかりなので、それがお客さんには伝わりにくいんですよね」
◆高齢のお客さんにも回収するとバレるように
パチンコ人口が減り続ける中、今でも残っているお客さんはいわゆる「ヘビーユーザー」。その分、やはり目が肥えているとA氏は言う。
「最近は、高齢のお客さんでも意外と回転率を気にしているんですよね。最初の1万円くらいまでは回転数を数えていたりするし。さすがにボーダーラインや期待値とかまでは意識してないだろうけど、体感的に『あっちの店より回る』、『昨日より回らない』くらいは感じていると思います。だから、あからさまに回収するとバレてしまうんですよ」
◆月初は回収する
パチンコ店が多いワケ
他の業種同様、
パチンコ店も利益の目標金額を設定している。当然、回収一辺倒な営業をしていたら、お客さんが離れ、ゆくゆくは目標を達成できなくなるので、回収日と還元日を織り交ぜながらトータルで目標金額を目指していくのが基本だ。
「月初はちょっと慎重になるお店が多いんですよね。初手から目標に届かない日が続いて、中旬、下旬で回収しようと思ったら不測の事態が起こってノルマを達成できず……なんてことがあったら困るので。だから、例えば1が付く日が強いお店でGWの5月1日に稼働が高くなるお店は、そこで回収して5月の余力を作っておくなんてところがあるかもしれません」
◆桜の開花が出玉率に影響する!?
また、世情によっては、どんなに努力しても稼働が上がらないこともある。そんな時、日本人としてあるまじき考えをしてしまうことも……。
「あと、基本的に花見シーズンは土日でも稼働が上がりません。特に今年は桜の開花が遅れたじゃないですか。それで予定が狂って想定以上に売上が落ちたお店は、GW入りの4月下旬に回収する可能性もあります。おそらく、桜が満開の時に『早く散ってくれないかな〜』なんて考えていたと思いますよ(笑)。他にも、オリンピックやサッカーのワールドカップが開催されると稼働が落ちるので、日本人としてはもちろん勝って欲しいけど……お店の売上を考えると『そろそろ負けてくれてもいいかな』って、心の底から応援できないホール関係者は多いでしょうね(笑)」
◆お店選びの重要性は今でも変わらない
もちろん、今回の話がすべての
パチンコ店において当てはまるワケではなく、いまだに「大型連休はガッツリ回収!!」なんてお店もあるだろう。昔から、
パチンコで勝つには「台選びよりも店選びが重要」とよく言われてきたが、その点は今でも変わっていないようだ。
「薄利で営業したほうが結果的には儲かりますから」と語るA氏。ただ、昨今の機械は薄利で使っていても、それがお客さんに伝わりづらい荒いゲーム性ばかりなのが玉に瑕。とはいえ、稼働が上がり利益が増えた時に、しっかりとお客さんに還元しているお店が少しでも増えてくれることを、一ファンとしては切に願うところである。
取材・文/サ行桜井
【サ行桜井】
パチンコ雑誌『
パチンコ必勝ガイド』『
パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主に
パチンコや競輪の記事を執筆している。