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20代前半の女性・Aさんは、ガラガラの車両内で突然、「ここいいですか?」と、部屋着に近いラフな服装の中年男性に声をかけられ、返事をする間もなく隣の席に座られてしまったという。「時間は平日の21時台だったでしょうか、席につくなりその男性は、『どこか旅行に行った帰りですか?』『どこで降りるんですか?』『おいくつですか?』とか、めちゃくちゃ話しかけてきました。質問する→こちらの様子をじっと観察する→質問する…を繰り返してきて、終始ニヤついた表情で絡まれました。最初は適当にあいづちを打ってましたけど、さすがにキツくて途中からシカトしてたら、深いため息をついて『わざわざあなたの隣に座ったのにヒドいですね』みたいなことを言われました。こちらが受け答えしてくれることを期待できないと判断した途端、突然態度を豹変させ、ため息。そして暴言を吐いてきたような形です。暴言を吐いた後、中年男性は席を離れてどこかに移動していきました」(Aさん)
Aさんはこれまでにも、かなり空席の目立つ公共交通機関の中で、あえて隣に座って話しかけてきたりする不審な人物に遭遇した経験は何度かあったそうだ。そんななかでも、この男性はしつこさや去り際に暴言を吐くといった悪質さが群を抜いていたため、「いまだに思い出しては不快な気持ちになっています」とひどく傷ついたという。「ここ数年は護身などを目的として、女性が被害に遭った事件を注視するようにしています。そうした過去の事件に関する情報などを見ると、例の新幹線での自分は想像以上に危ない目に遭っていたことに改めて気づき、ゾッとしました」(Aさん)2006年には電車で隣に座った女性を脅し、トイレに連れ込んで強姦するといった手口を3回も繰り返した男性に、懲役18年が求刑されるという事件があった。この事件では、周りにいた乗客らは異変に気付いていたにも関わらず、男性からの報復を恐れて何も行動しなかったことも問題視された。こうしたトラブルは自由に座席を選べる自由席だからこそ起きるものだと思われがちだが、指定席でもまた、“逃げられない”という理由で別のトラブルが発生することがある。2年前、20代女性・mizukiさんは指定席に座っていたところ、とんでもないマナー違反の男性に遭遇し、座席を変えてもらうことにまで発展したという。
「夜の21時頃、愛知県でライブを見てから東京に帰ろうとしているときのことでした。40代後半くらいの中肉中背の男性が隣の席に座ってきて、晩酌をはじめました。身動きを取るたびに私の身体に相手の肘や手の甲が当たるうえ、咀嚼音がデカいクチャラーで、食べカスもボロボロと床にこぼしたりと、マナーの悪い乗客だなと思ってたんです。極めつけに、前座席のシート背面に土足のまま、足を突っ張るように立てかけて爆睡し始めたんです。『さすがにこれは、マナー終わりすぎでちょっと無理かも』と思い、車掌さんに頼んで席を変えてもらおうとしたんですが、私は窓側に座っていたため、通路への道を足で塞がれるかたちとなり、その場から離れることすらできませんでした。
そこで、車掌さんが来るまでなんとか待ってみたんですが、大きないびきをかくし、私のほうに何度もガックンガックン船漕ぎして寄っかかってくるしで、さすがに『やめてください』と、無理やり爆睡男性を起こして席を立ちました。結局、車掌さんを見つけて相談して、席を移してもらえることになりましたが、男性は酔って寝ぼけていたのか、起こされたときも『んあ?』みたいな感じの反応でした」(mizukiさん)この男性はジャケットを着ていて、外見はしっかりした印象だったため、まさかこんな蛮行に及ぶとは想像しづらい人物像だったという。わざわざ隣に座られたAさんのケースとは違って、“席ガチャ”に失敗したケースだとmizukiさんは話すが、車内でのストレスは相当なものだったようだ。
「この世には自分の常識からはるかに超えた振る舞いをする人がよくいるけど、今回は特に『ドギツいのが来たな…!』と思いました。『男性に注意したい……本音を言うとボコボコに殴りたい』という気持ちはありますが、『喧嘩になったら確実に自分が負ける相手に対してリスクを負えない』『自分が殴って捕まるかもしれないリスクと、今我慢するストレス、天秤にかけたら後者だな、と。こんな人のために罪に問われたくない』といった気持ちが交錯して、スカッとしないやるせない気持ちを抱えたまま、その日を過ごすことになりました。せっかくのライブ後の余韻も汚され、『自分がインフルエンサーだったらその拡散力で大炎上させていたのに!!』という怒りに震えました」(mizukiさん)4月19日のXのポストを発端に、今まで被害にあった女性たちがSNSなどで続々と声をあげているが、それに対して、男性ユーザーたちから心ない声が飛び交っている様子も目につく。この問題は一時のSNSでの注目で終わらせず、電車の痴漢問題のように、もっと社会全体でていねいに考えるべき案件ではないだろうか。取材・文/集英社オンライン編集部