当ファンドの指数は、「5年連続増配」という条件に基づいて投資対象を絞り込んでいます。ポートフォリオを構成する銘柄数は430銘柄程度です。「S&P500」は成長株(グロース)が中心ですが、当ファンドでは成長株と割安株(バリュー)が半々くらいにバランスよく配分されています。
――バリュー株とグロース株の両方の特徴があるということですが、そのパフォーマンスの特徴は、どのような時により明確にあらわれますか?
一般に金利が低下し、景気が拡大する局面ではグロース株が優位とされ、反対に、金利が上昇し、景気が減速する局面ではバリュー株が優位とされます。
現在は、米国の金利が高止まりし、景気が減速して後退する可能性が指摘される一方で米国の雇用がしっかりとし、賃金も上昇を続けているので、市場の大方の見方になっている景気後退が起こらず、現在の堅調な景気が継続するのではという意見もあり、方向感をつかみづらい相場となっています。
今後の市場見通しが不透明でよくわからない時には、当ETFのようにグロースとバリューをバランスよく持ったポートフォリオは有効だと思います。景気後退になった場合は、バリュー株を保有している関係で、基準価額が下落したとしても下値は抑えられますし、このまま「S&P500」が史上最高値を更新するような動きになっても、その動きについていくことができます。市場がどっちに動いても、それ相応の動きが期待できるという点で注目できるのではないでしょうか。
――組み合わせて愛称が良いファンド群など、具体的な使い方のアドバイスはありますか?
分散投資の考え方で、異なる動きをする組み合わせとしては、債券ファンドとの相性が良いといえます。たとえば、「iシェアーズ 米国総合債券ETF」(2256)は、米国の国債や投資適格社債など様々な債券に投資するETFです。米国の政策金利はこの2年間で大幅に引き上げられ年5%を超える高い水準になっています。今後は政策金利の引き下げも検討されていますが、金利低下は債券価格の上昇につながりますので、米国債券ファンドは投資タイミングとしても良い時期にあたります。
金利の上昇がグロース株にとって向かい風になって株式ETFが下落する場合、その分は債券ETFがプラスになって補うことができます。中長期に投資して資産形成をめざす場合には、市場の環境によって異なる動きをする商品の組み合わせが有効です。
――米国株ETFに米国債券ETFを組み合わせると、ともに米ドル資産ですから、円高局面に弱いのではないでしょうか?今現在は、日本が政策金利を引き上げる方向にあり、米国は反対に金利を引き下げるタイミングを待っている状況ですから、今後は円高になるとの見通しも聞きますが?
米国株ETFに米国債券ETFを組み合わせると、ともにドル建て資産であるため、ドル安は円資産からみるとマイナス要因になることは確かです。
ただ、日本に暮らす私たちは、お給料を日本円でもらい、たとえば、住宅を購入したとしても資産は日本円で保有することになります。日本円のリスクに偏った財産構成になりがちです。世界の基軸通貨である米ドルの資産を持つことで、将来、私たちの日常生活を支える様々な海外製品や資材の価値が対円で大幅に変わってしまうリスクをヘッジする効果もあると思います。
円高と円安の行方を見極めるのは非常に難しいところがありますから、ドル安への警戒がある場合は、一括で大きな資金を投資せずに、積立投資のように時間を分散して投資することも方法です。今後1年間ではなく、3年、5年という期間をかけて少しずつドル建て資産を積み立てていくということを考えれば、為替リスクについて過度に心配することもないと思います。
「iシェアーズ 米国連続増配株 ETF」は、米国株の配当の魅力と成長の魅力を両方一緒に手に入れることができる非常に魅力的なETFです。売買単位(10口)は、2,000円台ですので、積立投資でコツコツと資産を増やす投資でのご活用も検討しやすいと思います。新NISAの成長投資枠を使った投資も可能ですので、ぜひ、長期に投資をしていただく資産としてご検討ください。