◆旅行の最終日に
タクシーを使うことに
「当時の
インドタクシーの主流は、軽自動車サイズのアンバサダーって車種。全体的に丸みを帯びたデザインで、初めて見た時はクラシックカーかと思いました」
現地では節約のために
タクシーの利用は控えていたとのこと。しかし、物価の安さも手伝って思った以上にお金が残ったため、最後に滞在した
インド東部の大都市コルカタでは、空港に向かうのに
タクシーに使うことにしたそうだ。
島田さんは現地のバックパッカー向け安宿街として有名なサダルストリートに滞在していたが、ここは旅行者の間で料金をふっかけてくる
タクシーが多いことで有名なエリア。今なら
タクシー配車アプリでの決済でそうしたトラブルもほぼなくなっているが、当時はそんな便利な代物がない時代。そのため、少し離れた場所まで移動して
タクシーを捕まえることに。
◆料金メーターに穴が開いていた…
とはいえ、空港までの距離を考えるとチェックインの締切までギリギリの状況。そのため、選んでいる余裕がなく、近くに停まっていた
タクシーに近付いたそうだ。
「ボラれないようにメーターを使ってほしいと頼みましたが、『壊れてるから無理だ』って指差して言うんです。メーターらしきモノはあるんですけど、モニター部分に穴が開いてて、確かに壊れてる(笑)。結局、そこから料金交渉になったのですが、時間がないので途中で諦め500ルピー(約900円)。当時の相場よりも高い金額でボラれたぁ、って内心メチャクチャ悔しがってたのを思い出します。よくよく考えると、20?の距離でこの料金だから日本の感覚で言えば全然良心的なんですけどね」
ところが、運転手はなぜか料金を前払いで要求。
インドでも
タクシーは基本的に後払いなので冷静に考えればおかしいが、「まあ、
インドだしな」となぜか納得してしまった島田さん。すると、渡した500ルピーを握りしめて運転手が向かったのはガソリンスタンド。なんと給油を始めたのだ。
◆助手席に運転手の友達が乗ってきて…
「急いでほしいと伝えるも『でも、ガソリンがないと行けないぞ』ってなぜかドヤ顔で言ってくるんですよ。ここで貴重な時間を10分近くロスするわけですが、給油中にドライバーのおっちゃんの携帯が鳴り、再び走り始めてもながら運転。すると、住宅街みたいなところに入り始めて、小さな路地の入口で停まったと思ったら、助手席に
インド映画『ムトゥ踊るマハラジャ』の主人公(※ラジニカーント)みたいな濃い顔をした
インド人オヤジが乗り込んできたんです」
ちなみに彼は運転手の友達。アルシュと名乗り、満面の笑みで握手を求められたので応じたが、この時空港のチェックイン締め切りまで残り45分。日本では考えられないカオスすぎる状況に半分諦めかけてたものの
タクシーはここから猛スピードで空港へと向かう。
「運転しながら『邪魔だ!どけー』って言わんばかりにクラクションを連発。
インド名物の野良牛もそこら辺にいたんですけど、聖なる動物扱いのはずなのに牛相手にも容赦ありませんでした(笑)」
◆到着後にもう一度運賃を請求?
そんな荒々しい運転とは裏腹に、時折笑い声を上げながら楽し気に話をする運転席と助手席の
インド人オヤジ2人組。空港の少し手前でアルシュは車を降りたが、満面の笑みで「Have a nice trip!(よい旅を!)」と言ってまた握手を求めてきたそうだ。