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東京商工リサーチ
2023年度のフィットネスクラブの倒産は、2月までに28件に達し、すでに年度最多だった2022年度の16件を上回り、過去最多を更新した。現在のペースで推移すると、2023年度は30件を超える可能性が高い。 倒産増加の背景は、競争激化による「販売不振」だ。2023年度の28件のうち、販売不振が20件(構成比71.4%)と圧倒的に多い。さらに、28件すべて資本金1億円未満(個人企業含む)で、小規模事業者の行き詰まりが目立つ。ただ、負債は1億円以上が7件(前年同期2件)と3倍増し、ブームに乗った無謀な先行投資が負担になった構図が浮かび上がる。 これを裏付けるように、形態別では破産27件(構成比96.4%)、特別清算1件(同3.5%)とすべてが消滅型の倒産だった。いったん顧客離れが進むとフィットネスクラブの事業再生は難しい現実を突きつけている。 フィットネスクラブは、高価格帯で設備やトレーナーなどが充実したクラブと、一部のトレーニングマシーンを設置した安価なクラブに二極化している。老若男女を問わず健康志向の高まりで市場は拡大するが、急速に全国展開する「ChocoZAP(チョコザップ)」やグローバル展開する有力クラブの大手企業と、地場企業の間で価格、設備などを前面に出した顧客獲得競争が激化している。 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年のフィットネスクラブの利用者(延べ2億1,679万人、前年比3.0%増)は増加したが、事業所数(1,497カ所、同0.2%減)は減少している。テナント代や光熱費、トレーナー(人件費)などのコスト上昇と、広告や設備への先行投資などのバランスで採算が取れないフィットネスクラブの淘汰は今後も続きそうだ。