著作権侵害に関する追跡調査を行うMUSOが、2023年のあらゆるコンテンツにおける
著作権侵害の統計データを公開しました。データには、コンテンツのカテゴリごとの
海賊版サイト利用者数や、カテゴリ別のアクセス数上位地域などが示されています。
The MUSO Film & TV Piracy Report Q1 2023
https://www.muso.com/piracy-by-industry-report-2023
The U.S. Tops the Manga Piracy Chart, While Iran Leads in Music Piracy * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/the-u-s-tops-the-manga-piracy-chart-while-iran-leads-in-music-piracy-240112/
MUSOは2024年1月に「ビデオコンテンツの
著作権侵害 データと分析の力を利用して数十億ドルの機会を獲得する」という
海賊版の映像コンテンツに焦点を当てたレポートを公開しました。このレポートによると、2023年の
海賊版映像コンテンツのアクセス数は前年比で約10%増の1410億件以上でした。また、
海賊版サイトの訪問者が多く増加傾向にある国としてカナダやスウェーデン、近年の増加率がかなり高くなっている「
海賊版成長市場」としてインドを挙げています。
映画や
テレビ番組の
海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 -
GIGAZINEMUSOが2024年2月に新たに公開した「2023年業界別
著作権侵害レポート」では、映画、
テレビ番組、
ソフトウェア、出版コンテンツを含む幅広い
海賊版サイトに関する集計値と測定値がまとめられています。なお、
海賊版サイトには、
海賊版コンテンツをダウンロードできるサイトと、ストリーミングで直接
海賊版コンテンツを視聴・閲覧できるサイトの両方が含まれています。
「2023年業界別
著作権侵害レポート」によると、2023年の
海賊版サイトへのアクセス数は、前年比6.7%増の約2290億件とのこと。そのうち最もアクセス数が多かったカテゴリは「
テレビ番組」で前年比4.2%増の1039億件、「出版」が前年比7.4%増の633億件、「映画」が前年比6.5%増の296億件と、いずれのカテゴリでも前年比で増加傾向にあることがわかります。音楽と
ソフトウェアの
海賊版は他カテゴリよりも絶対数は小さいものの、増加率としては最も高く、音楽は前年比13.4%、
ソフトウェアは前年比14.1%と大きく増加したことが指摘されています。
MUSOによると、近年は映画よりも出版カテゴリー、とりわけ
海賊版マンガのトラフィックが急激に増加していることを問題視しているそうです。レポートの中でMUSOは「アメコミや日本のコミックが世界的に流行している影響で、近年は出版物の
著作権侵害が大きく増加しています。2020年には映画の
著作権侵害を追い越し、
テレビ番組に次ぐ2番目に大きな
海賊版媒体となりました」と述べています。
海賊版市場の45.4%と大多数を占める
テレビ番組のトラフィックソースを国別に見ると、アメリカが全体の13.83%と2位のロシアに大きく差を付けて最大となっています。
海賊版テレビ番組のアクセス数は3位がイギリス、4位がカナダ、5位が
海賊版成長市場とされるインド。
テレビ番組で人気なのはTHE LAST OF USで、その他もドラマが大多数を占めていますが、一部はアニメも含まれています。
また、MUSOによると、
テレビ番組の
海賊版はストリーミングサイトが96.3%を占めており、トレントサイトやダウンロードポータルはほとんど消滅しているそうです。
Netflixは2024年2月に提出した年次報告書の中で、「
Netflixがサービスを開始した当初は、ユーザー側にある程度の技術的知識が必要で、コンテンツがダウンロードされるまで長時間かかる
海賊版のトレントサイトよりも、ストリーミング形式が便利である点で、
Netflixに優位性がありました。しかし、ほとんどの
海賊版サイトがストリーミング形式に対応したため、
Netflixの大きな優位性が奪われています」と語りました。
Netflixが「無料で提供される
海賊版サイトへの対抗は難しくなっている」と発言 -
GIGAZINEアメリカは人口の多さとインターネットの普及率の高さにより、
海賊版サイトのトラフィックが各カテゴリで高くなっています。一方で、
海賊版映画の国別アクセス割合はアメリカが6.28%で2位となっており、1位のインドは30.56%と圧倒的な割合になっています。MUSOによると、インドのトラフィックは2023年上半期に爆発的に上昇し、下半期に急激に減少しましたが、その原因は明らかになっていないとのこと。
また、音楽カテゴリではイランが11.8%でインドやアメリカよりも高い割合を占めています。その他、
ソフトウェアのほとんどはロシアからのアクセスで、アメリカと中国が僅差で次点となっています。