30年以上にわたり収監されているケネス・ユージーン・スミス(Kenneth Eugene Smith)
死刑囚の刑の執行は、今月25日に予定されている。
近年では主に薬物注射による
死刑執行が行われてきたが、アラバマ州はスミス
死刑囚の刑執行には窒素ガスを使うと発表している。
国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)のラビナ・シャムダサニ(Ravina Shamdasani)報道官はスイス・ジュネーブで記者会見を行い「われわれは、窒素ガスによる窒息という、これまで試されたことのない新たな方法で行われる、差し迫った
死刑執行に危機感を持っている」と述べた。
シャムダサニ氏は、窒素ガスという方法は知り得る限り世界でこれまで使われたことがなく、「国際人権法が定める拷問および他の残酷な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に当たる恐れがある」と指摘した。
同氏は、OHCHRは「アラバマ州当局にスミス
死刑囚の刑執行を中止し、他の
死刑囚に対しても、この方法での執行手続きを進めないよう求める」と述べた。
また、ミシシッピ、オクラホマ両州が最近同様の方法による
死刑執行を承認したことについても懸念を示した。
米国では窒素ガスが
死刑執行の方法として使われたことはないが、動物に使用されることはある。
シャムダサニ氏は、米国の獣医学会は窒素ガスにより大型動物を安楽死させる時は麻酔を使うよう推奨していると指摘。一方、アラバマ州は、窒素ガスによる
死刑執行前の麻酔については定めていない。
スミス
死刑囚は1988年に依頼を受け人を殺したとして有罪となり、
死刑を言い渡された。2022年に刑が施行されるはずだったが、所定の時間内に薬物投与のための処置をできなかったため、中止された。
シャムダサニ氏はまた、「
死刑は生きるという基本的な権利と矛盾する」として国連の
死刑に反対する姿勢を再度示した。
【翻訳編集】AFPBB News
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