民泊仲介サービスの
Airbnbを通じて宿泊を行い、宿泊先で
一酸化炭素中毒になり死亡するという事件が相次いで発生していることを受け、NBCのジャーナリストであるベン・ゴギン氏らが問題提起を行いました。
Airbnb's silent killer: Carbon monoxide linked to 19 deaths in 10 years
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/airbnb-carbon-monoxide-poisonings-detectors-rcna105634
NBCによると、2013年からの10年間で少なくとも19件の
一酸化炭素中毒死が発生していて、民泊所有者に警報器の設置を促すことを怠った責任が
Airbnbにあるとの訴訟が少なくとも3件発生しているとのことです。
Airbnbに宿泊した人物が
一酸化炭素中毒で死亡したという事態が初めて報告されたのは2013年のことです。この事故は、友人の結婚式のために台北を訪れた韓国系カナダ人のエリザベス・ユン・チョン氏が
一酸化炭素中毒で死亡したというもの。当該施設では、所有者が警報器の設置を怠っていた上に、ベランダを囲っていて十分な換気ができない状態になっていました。
2014年2月、
Airbnbは事故を受けて「一酸化炭素検知器が設置されていることを確認するよう民泊所有者に義務づける」と約束しましたが、2023年になっても一酸化炭素検知器の設置は義務化されていません。
一酸化炭素検知器の設置は、国によっては法律で義務づけていますが、一方で民泊所有者に委ねられている国もあります。
Airbnbは一酸化炭素の懸念に対処するため、2014年には一酸化炭素検知器を民泊所有者それぞれに1台無料で提供し始めています。しかし、この取り組みは成功しているとは言えず、2023年時点で700万件ある施設のうち2.3%ほどしかカバーできていないそうです。
このほか、
Airbnbはユーザー向けに一酸化炭素検知器があるかないかを表示する試みも行っていて、「キッチン」「Wi-Fi」「テレビ」と同じような形で、「一酸化炭素検知器」が民泊に存在するかどうかを表示し、さらに検知器がない民泊に泊まろうとするユーザーに対して確認メールやリマインドメールを送って注意喚起しています。
Airbnbは一連の事件に対して「
Airbnbでの事故は例外的でまれなものであり、懸念が報告された場合には対処しています」と報告。
一方、被害者遺族の一部は「最初に死亡事故が報告されてから10年がたつのにまだ死者が出ているのを見ると、正直なところ、何か対策が取られたのだろうか疑問に思う」とのコメントを発するなど、十分な対策が取られていないとする見方もあります。
調査団体のInjury Preventionが行った2018年の調査によると、アメリカだけに絞っても、
Airbnbで提供されている民泊の57.5%しか一酸化炭素検知器を設置していない状況にあるとのこと。
全米一酸化炭素啓発協会の創設者であるシャロン・マクナブ氏は、
Airbnbが以前新型コロナウイルス感染症に関する大々的な措置を取ったことを指摘し、「なぜ一酸化炭素についても同じことをしないのか」と提言。「一酸化炭素警報器はすべてのホテルと
Airbnbで義務化されるべきです」と述べ、
Airbnbが対応しない間は安全のため携帯用一酸化炭素検知器を携帯するよう勧めました。