【筆頭はベリンガム】
かれこれ約15年にわたって世界のサッカーシーンをけん引したクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスルア)とリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)がヨーロッパの舞台から去ってしまった現在、今後10年のサッカーシーンの先頭を走るのは誰なのか。
これは、世界中のサッカーファンが議論する話題だが、その最有力候補と評されているのが、パリ・サンジェルマンのキリアン・エムバペ(24歳)とマンチェスター・シティのアーリング・ハーランド(23歳)のふたり。そして、レアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオール(23歳)も、そのふたりに割って入ろうとしているのが現状だ。
では、彼ら3人を追う第2集団にはどんな選手がいるのか。
いつの時代もスーパースターは、サッカーの醍醐味であるゴールに絡むアタッカーだった。そこで今回は、独断と偏見を交え、その可能性を秘めた次世代のスター候補アタッカーを10人に絞ってピックアップしてみたい。
まず、エムバペやハーランドとすぐにでも肩を並べそうな勢いで急成長を遂げているのが、レアル・マドリードのジュード・ベリンガム(20歳)だ。
今夏にドルトムントから加入したベリンガムの移籍金は、当時10代としては破格の1億300万ユーロ(約164億円)。ボーナスを含めると最大1億3390万ユーロ(約213億円)とされている。これだけでも驚きだが、現在のベリンガムは移籍当時とは比較にならないほど、別格の存在になっていることに末恐ろしさを覚える。
世界最高峰のビッグクラブと評される、あのレアル・マドリードで加入後に即フィットするだけでなく、名将カルロ・アンチェロッティにアタッカーとしての無限大の可能性を見出されたことで、あっという間にブレイクスルー。
ラ・リーガで10試合10得点、チャンピオンズリーグ(CL)でも3戦連続ゴールを決めるなど、ボックス・トゥ・ボックスのMFから一気にグレードを上げ、プレイメーカー兼ストライカーとしてチームの中心となっている。
そのエレガントさは、かつて同クラブで5番を背負っていたジネディーヌ・ジダンを想起させ、しかし自陣に戻ってのハードな守備は相変わらず。まさに現代サッカーに必要なすべてを兼ね備えた、ニュータイプのアタッカーだ。ベリンガムが次世代を担うかどうかは、もはや問答無用だろう。
【市場価値の高い4人のアタッカー】
ベリンガムと同じイングランド代表の中軸を担うアーセナルのブカヨ・サカ(22歳)も、移籍マーケットが高く評価するスター候補生だ。その市場価値は、エムバペ、ハーランド、ヴィニシウス、ベリンガムに次ぐ1億2000万ユーロ(約191億円)と、移籍市場屈指の人気銘柄だ(『Transfermarkt』による推定市場価格。以下同)。
とりわけ昨シーズンはキャリア初のシーズン二桁ゴールを記録し、アシストも量産してアーセナルの躍進の中心を担い、今シーズンもその勢いは続いてすでにリーグ戦4ゴール。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、今後もCLの舞台を経験してさらなる飛躍を遂げることは確実と思われる。
国際舞台での実績十分なバイエルンのジャマル・ムシアラ(20歳)も、市場価値1億1000万ユーロ(約175億円)の逸材だ。すでにビッグクラブのバイエルンの主軸に定着して3シーズンを迎えるが、二桁得点二桁アシストを記録した昨シーズンはそのポテンシャルが一気に開花した印象を受ける。
これまでCLで1度、ブンデスリーガでは4度の優勝を経験するなど、勝者のメンタリティーも備わっており、バイエルンを出てさらにステップアップ移籍をしそうな注目のドイツ人アタッカーと言える。
上田綺世がプレーするフェイエノールトでゴール量産中のメキシコ代表FWサンティアゴ・ヒメネス(22歳)は、まだ世界的には知られていないものの、近い将来一気に名を広める可能性の高いストライカーだ。
昨年の秋に600万ユーロだった市場価格も、シーズン15得点をマークしたことで急上昇。さらに今シーズンはエールディビジ10試合で13ゴールを量産中で、現在は4000万ユーロ(約64億円)にまでジャンプアップした。
メキシコ人には珍しい182cmの大型ストライカーは、得意のヘディングをはじめとする多彩なフィニッシュワークが魅力。昨シーズンのヨーロッパリーグでレッドカードを受けたことで今シーズンのCLでは2試合の出場停止だったが、明けてからはいきなり第3節(ラツィオ戦)で2得点を決めるなど、一気にその名を広めるはずだ。
ピッチ外の話題も豊富なナポリの怪人アタッカー、ヴィクター・オシムヘン(24歳)も今後のステップアップが注目されるナイジェリア代表FWだ。
リール時代からその市場価値は上昇を始め、セリエA優勝と得点王に輝いた昨シーズンを経て、現在はサカと並ぶ1億2000万ユーロ(約191億円)に。どんな体勢からでもゴールを奪える脅威の身体能力と決定力は、今後もヨーロッパのクラブシーンでトップ集団を走ることになるだろう。
【
三笘薫と
久保建英も市場価値が急上昇】
まだ実績十分とはいえないが、ポテンシャル、将来性という点で注目すべき若きアタッカーを挙げるなら、今夏にフランスのレンヌからマンチェスター・シティに引き抜かれたベルギー代表のジェレミー・ドク(21歳)、同じく夏にモンペリエからRCランスに移籍したエリー・ワヒ(20歳)、そしてバルセロナの至宝ラミン・ヤマル(16歳)になる。
10代でブレイクしたドクは、その後に伸び悩んだ時期もあったが、昨シーズンから復調し、現在はプレミアリーグで予想以上の充実ぶり。ブレイクの予感も漂わせる。自慢はスピード豊かなキレキレのドリブル突破で、フィニッシュや周囲とのコンビネーションプレーを磨けば、大化けする可能性は十分にある。
リーグ・アンの舞台で脚光を浴びているワヒは、一昨シーズンから成長を見せ始めると、昨シーズンに19ゴールを記録してCLに出場するRCランスに移籍。すでにCLでも2ゴールを挙げるなど、ポテンシャルの高さは無限大で、ゴールのみならずチャンスメイク能力を兼備する点も魅力的だ。
バルセロナのヤマルは、シャビ・エルナンデス監督が見出した超逸材。サイドでボールを持てば、変幻自在のテクニックとスピードで相手DFを切り裂き、次の一手を素早く判断できる才能の持ち主。
すでに市場もその将来性を高く評価し、ドクの6000万ユーロ(約95億円)には及ばずとも、4000万ユーロ(約64億円)のワヒを超え、すでに5000万ユーロ(約80億円)の市場価値を誇っている。
そして市場価格の急上昇ぶりという点では、ふたりの日本代表アタッカーの存在を忘れてはいけない。ブライトンの三笘薫(26歳)とレアル・ソシエダの久保建英(22歳)だ。
三笘の昨年9月時点の市場価格はわずか300万ユーロ(約5億円)だったが、現在では5000万ユーロ(約80億円)にジャンプアップ。とりわけカタールW杯後の活躍ぶりは説明するまでもないが、すでにここに挙げたタレントたちと肩を並べる領域に足を踏み入れている。
一方の久保も、昨年9月に900万ユーロ(約13億円)だった市場価格が急上昇し始めると、現在は三笘と同じ5000万ユーロ(約80億円)まで到達。今シーズンのゴール量産ぶりと、CLでの充実ぶりからすると、今後もさらに評価を高めることは間違いないだろう。
いまやエムバペ、ハーランド、ヴィニシウスを追いかける第2集団の10人に加えるべき、注目のスター候補と言っても過言ではない。ますますふたりの今後が楽しみだ。