オープンワールドRPG「原神」は月間アクティブプレイヤーが6000万人以上という大人気ゲームで、基本無料でプレイできます。「原神」はキャラクターや武器を無料アイテムまたは課金による「ガチャ」でゲットする方式ですが、中には「非公式のプライベートサーバー」を使ってほとんどのコンテンツを無料で利用するユーザーもおり、それに対して運営会社がデジタルミレニアム
著作権法(DMCA)違反で訴えを起こしたことが報じられています。
Genshin Impact: Major Private Server Dev Faces DMCA Subpoenas * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/genshin-impact-major-private-server-dev-faces-dmca-subpoenas-231010/
「原神」の開発元として知られるmiHoYoの子会社であるCognosphereは、2022年12月初頭にシナリオや新しく実装されるキャラクターについてのリークを繰り返していた「Ubatcha」というアカウントに対してDMCA召喚状を申請しました。2023年1月には続けて4件のDMCA召喚状をロサンゼルスの法律事務所から提出しており、いずれも「原神」のコンテンツをリークするDiscordチャンネルを対象としています。その他にも積極的にDMCA召喚状により削除請求や個人情報の開示請求を行うなど、オンラインの
著作権違反に対して攻撃的な姿勢を示しています。
2023年10月6日には新たに、Cognosphereはカリフォルニア州の地方裁判所に3件のDMCA召喚状を申請しました。各申請書は「Cognosphereの
著作権が第三者によって侵害されているので、サービスプロバイダーは侵害の容疑者の個人情報を引き渡す必要がある」と主張しています。
そのうち1つは、GitHubでcasksteven氏が公開している「Sweaty-Launcher」というソフトウェアを対象としています。「Sweaty-Launcher」は「原神」ユーザーがプライベートサーバーにアクセスできるソフトウェアです。しかし、DMCA召喚状の中で問題としているのは「Sweaty-Launcher」そのものではなく、ソフトウェアの「readme」セクションに「原神」のアートワークが含まれている点であり、「原神のアートワークを削除またはアクセス不能にするための迅速な措置を要求しています」とDMCA召喚状に記載されています。
また、Cognosphereは続けて「www.casks.me」というプライベートサーバーに関連したドメインを管理していた会社を対象としてDMCA召喚状を申請していますが、ここでも78万以上の閲覧数を獲得しているプライベートサーバーではなく、「原神」ゲーム内のスクリーンショット4枚を問題ある侵害としています。以下の画像はTorrentFreakが削除されたサイトのアーカイブからサルベージしたコピーで、
著作権侵害を回避するためにモザイクがかけられていますが、「www.casks.me」サイト内の説明に「原神」ログイン画面のスクリーンショットが含まれていることがわかります。
さらにCognosphereはGoogleに対しても「YouTubeのムービー8本に侵害の疑いがある」としてDMCA召喚状を申請しています。YouTubeに送られた申請書とDMCA通知には「『原神』のゲームプレイおよびオーディオビジュアル要素の権利は、Cognosphereが所有しています」と記載されていますが、侵害コンテンツに関する詳細には言及しておらず、8本のムービーがどのような侵害をしていたかは不明です。
TorrentFreakは「ゲーム内の画像を保護するために、なぜこれほど特別に多額の費用を費やしているのかは疑問です」と述べた上で、「元の画像と同一のコピーではないことは明らかな画像に対しても訴えを起こしており、Cognosphereはどのような基準で開示請求や削除要求をしているのか分かりません。これまでの傾向として、プライベートサーバーやリークなどを行うユーザーをターゲットとして、それ自体ではなく画像関連で訴えを起こしているようです」とまとめています。