イギリスの経済紙・Financial Timesが、
ロシア当局が政府職員に対して
iPhoneや
iPadなどのAppleデバイスの使用禁止を命じたと報じています。
ロシアの貿易省はすべての 「業務用途」での
iPhoneの使用を禁止し、
ロシアの電気通信・マスメディア省を含む他の機関でも同様の指令がすでに施行されているか、あるいは近いうちに施行される予定だとのことです。
Thousands of Russian officials to give up
iPhones over US spying fears | Financial Times
https://www.ft.com/content/6567e7f2-c5fb-4da4-bd95-bf7ceef54038Russia bans state officials from using Apple devices over US spying concerns
https://www.engadget.com/russia-bans-state-officials-from-using-apple-devices-over-us-spying-concerns-183732151.html
2022年2月に
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、世界中の企業が
ロシアへの製品出荷やサービスの提供を中止しました。Appleも
ロシアに対する制裁に参加した1社で、
iPhoneや
iPadの
ロシアへの輸出がストップしました。
Appleが
ロシアでの製品販売を停止、
ロシアメディアのニュースアプリ配信停止やマップの交通情報無効化も - GIGAZINE
ロシア連邦保安庁(FSB)は6月初め、「Appleデバイスを用いた
アメリカ諜報機関によるスパイ活動」を摘発したと主張しています。FSBによると、NATO諸国の外交使節団が使用しているものを含む数千台の
iPhoneが監視ソフトウェアに「感染」していたとのこと。さらにFSBは、Appleが
アメリカの情報機関と密接に協力し、諜報員に「使い勝手のいいコントロールツール」を提供していたと、根拠なしに主張しています。Appleはこの疑惑を否定し、「Apple製品にバックドアを組み込むために政府と協力したことはないし、今後もあり得ません」と述べています。
「Appleが
ロシアをスパイする目的で
アメリカ政府に協力した」と
ロシア連邦保安庁が主張、「Apple製デバイスはスパイウェア天国」 - GIGAZINE
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/2/1/216be_88_bcf27c668a515a3d123fadc99069bb3d.jpg)
この事件をきっかけに、FSBは役人や職員が
iPhoneや
iPadなどのApple製デバイスを使用することを禁止しました。
ロシアの貿易省は7月17日から「仕事目的での
iPhoneの使用を禁止する」と発表しており、さらにデジタル開発省など他の省庁もこれに追随するとのこと。
政府機関に近い関係者によれば、財務省やエネルギー省などでも
iPhoneや
iPadへのアクセスがすでに禁止されているか、あるいは禁止されようとしているとのこと。しかし、
ロシアでもAppleデバイスは普及しているため、仕事目的で別の携帯電話やタブレットPCを持ち歩く必要が出てきたと不満を述べている役人もいるそうです。
ロシアの安全保障専門家であるアンドレイ・ソルダトフ氏は「FSBは
アメリカ人がAppleデバイスを使って盗聴できると本気で信じています。ただし、大統領周辺や他の当局者は、単に
iPhoneが好きという理由だけで制限に反対していたため、これまで制限されることはありませんでした」と述べています。
ロシアのサイバーセキュリティ専門家であるアレクセイ・ルカツキー氏は、FSBは公用のモバイルデバイスをSailfish OSからフォークした
ロシア製OS「Aurora」を搭載したデバイスに切り替えることを検討していると指摘しています。これまではAurora搭載のデバイスではメールの使用に制限があったため、当局者の誰も使おうとはしなかったとのこと。しかし、もしAppleデバイスの使用が禁止されたとしたら、役人たちは嫌でもAurora搭載デバイスに切り替える可能性があります。
ルカツキー氏は「以前からFSBに認定されていないデバイスでの業務メールのやり取りには制限がありましたが、ほとんどの役人は従いませんでした。しかし、今なら何人が従うでしょうか?」と述べています。