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「アフレコ中、辛くて涙が止まらず…」梶 裕貴がそれでも“声優でよかった”と思える理由
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声優デビューから20年。数えきれないほどのキャラクターたちに命を吹き込むかたわら、ラジオ、舞台、バラエティと、活躍の場を広げてきた。
声を生業とするプロゆえの楽しさや葛藤など、日々どんな思いで仕事と向き合っているのか?彼の本心に迫った!
梶さんのインタビューを、今日と30日(日)の2回に渡ってお届け!
■梶さんがアツく語った、「声優」という仕事にかける思いとは
思い出の地・目黒で語る、梶 裕貴の声優論
インタビューの直前、撮影場所である『SHE meguro』のスタッフが、撮影終わりの梶さんにノンアルコール・カクテルと冷たい水を用意してくれた。
「すごく美味しい!ありがとうございます!お水まですみません」
もてなしへの率直な感謝が、取材中ずっと言葉と表情に表されていた。
後ろを歩く人にドアを押さえてあげるなど、大人の手本といえる気遣いと礼儀正しさ。全般、初心を忘れない人の所作にも感じられたが、ちょうど目黒は梶さんにとって新人時代の思い出の街だった。
「目黒には『それいけ!アンパンマン』や『忍たま乱太郎』など国民的アニメのアフレコをする老舗スタジオがあって、新人の頃からオーディションなどでよく来ていました。その頃は目黒駅に行くだけで緊張していましたね。
まだプライベートで来たことはないですが、年齢やキャリアを重ねた今、改めて大人の目黒が気になります」
普段は和食全般が好きで、よく杯を交わすのは声優の下野 紘さんだという。
また、声優界の食通を聞いてみると、「岡本信彦くん。鮨やお肉料理を中心に色んなお店を教えてくれます」と回答。
梶さん自身も焼肉が好きで、また鮨にも目がない。お勧めの店は?と聞くと、「『SATOブリアン』と『鮨 しゅん輔』。阿佐ヶ谷は名店2軒が近くにあるのがすごい」と知識も豊富。
そんなグルメな梶さんも、昨年11月に第一子が誕生してからは「外食は基本ないです」と言う。
「今は一にも二にも子育て。仕事が終わると、すぐ家に帰ります。毎日子どもをお風呂に入れていますね。
妻も僕と同じ仕事をしていて、仕事をしたくてもできない期間があっただろうなと思うと、自分にできることを全力でやらないと、と思うんです。
それに、この時期の可愛いらしさはきっと今しかないので、なるべくそばにいたいですね。大変だけど、本当に可愛いんですよ。
最近は家でのごはんばかりですけど、もう少し落ち着いたら家族で外食に行きたいですし、さらにもっと落ち着いたら、また夫婦で今日みたいなお店に行きたいですね」
「声優という職業は、どんな経験も自分の力になる」
声優デビューから20年。
活動は多岐にわたり、「自覚はまったくないのですが、ラジオやバラエティのお仕事もあるからか、寝言で『さあ!というわけで〜』とMCとして軽快にトークを回していることがあるらしいです(笑)」と、夢でも仕事を楽しんでいるとか。
そして、今年は梶さんにとって節目の年。2013年から主演を務めるアニメ『進撃の巨人』が今秋に最終回を迎えるのだ。取材(3月中旬)の時点で、アフレコも残すところあと1回となっていた。
「声優人生の半分を占める作品であり、自分にとって欠かせない作品。絶対に終わりはくるはずなのに、どこかで一生この役をやりながら生きていくんだろうと思っていたところがあって。
終わってしまう現実に直面した今、役を全うできる喜びと、終わってしまう寂しさ、その両方に気持ちが支配されています。作品の内容的に終わらせてあげなきゃという思いもあって……複雑な心境です」
『進撃の巨人』のハードな内容は、演者にとっても負荷が大きかったのでは?
「戦争もひとつのテーマにある作品ですし、エレンが戦いの中で背負う意味合いは重いので、だからこそ、僕は彼の一番の理解者でありたいと思っています。
僕自身も戦わないといけないし、お芝居以外でも彼を守ってあげなきゃ……というか。
キャラクターに寄り添うことができる立場として、自分はどうやって彼と一緒に歩んでいくのか。どの役でもそうですけど、エレンは特にそこが難しくて大切でした。
アフレコが始まった時には漫画もまだまだ序盤。先の展開が分からず、まさか数年後にエレンがこうして変貌することになるとは僕自身も想像していなかったので、最初に彼の姿やその雰囲気を見た時には現実味がありませんでしたね。
10年間、ともに歩んできたからこそ演じられた役だと思います」
「声優でよかった」梶さんが心からそう思える理由とは?
続けて、「なんでもないような景色、温度とか匂いとか、そのすべてをちゃんと感じて楽しむことが大事」と、力強く話す梶さん。
エレンのような難しい役柄なら、なおさら気づきの積み重ねが必要だったかもしれない。
10年間もひとりの人間に声で命を吹き込んできた中で、印象に残っている言葉とは?
「今回の完結編で言えば、エレンがある人を殺めてしまう時に出てきた懺悔の台詞ですね。
争いというのは、“仲間とその他大勢”に分断されてしまうものですが、その他大勢にもひとりひとりの人生があるわけで。それに改めて気づいて、『ごめんなさい』と涙ながらに言うんです。
彼の気持ちが痛いほどわかって本当に辛くなりました。声優の場合、泣くシーンは泣いているように聞こえさえすれば問題ない。
でも、今回は本当に涙が止まらなくなってしまいました。アフレコを中断してしまうくらい彼の気持ちと一緒になってしまって。
演技としても、声優人生においての経験としてもすごくショッキングでしたね。そんなの初めてでしたから。役と一体化した喜びもあれば、彼はそうしてしまったんだなという辛さもあって……忘れられないです」
その境地は、天職を見つけ、真摯に向き合ってきた人だけが辿り着けるはず。
最後に、「声優でよかった」と率直に言う梶さんに醍醐味を聞いた。
「アフレコでのお芝居には様々な制約があります。でも自分にとっては、それがむしろ自由に感じられるんですよね。“声だけで表現する”というその縛りが難しくもあり、同時にたまらなく楽しい」
帰りがけに、店の外の桜の木に蕾を見つけていた梶さん。
敏感な感受性と誠実さもまた、その声にのって視聴者の心を打っているのかもしれない。【後編】 4/30に公開!
■梶 裕貴さんも唸った、目黒で“ハシゴ”が叶う一軒家の魅力
■プロフィール
梶 裕貴 1985年生まれ、東京都生まれ。中学の頃から声優を目指し、2004年に活動開始。『進撃の巨人』、『七つの大罪』、『僕のヒーローアカデミア』、『鬼滅の刃』、『ジョジョの奇妙な冒険』等、多くのヒットアニメにて主演を務める。『「進撃の巨人」The Final Season完結編(後編)』がNHK総合にて今秋放送予定。今、外食を目当てに行ってみたい街は神楽坂。
▶このほか:【未公開カットあり】話題の俳優・鈴鹿央士が語った「東京に染まったな」と思う瞬間とは◆
東京カレンダー最新号では、梶 裕貴さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
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