森保一監督は古橋を、かつての本拠地ノエビアスタジアムで開催されたガーナ戦では温存した。それだけキリンカップ決勝戦で使いたいという意志を示されて、古橋は「期待していただけることはうれしいですし、しっかり準備して結果を残せるように頑張りたいです」と奮い立っている。
一方でワールドカップのメンバーに入るためのサバイバルレースは激烈な状態になっている。浅野拓磨はパラグアイ戦で、前田大然はガーナ戦でゴールを挙げ、ライバルたちは実績を残した。古橋もゴールがほしいはずだが、本人はそれより大切なことがあると語る。
「個人的なことで言えばFWなので、ものすごくゴールがほしいですけど、でもやっぱりチームが勝つこと、チームのためにプレーしながら自分の良さを出してゴールが取れたらと思います」
だからと言ってゴールを挙げるための努力は欠かしていない。ピンポイントで合わせるのが得意な古橋にとってパサーは重要な問題となる。
代表活動ではクラブと違って一緒に練習する時間は少ないが、「(パスの)出し手のタイミングで動き続ける」「クセを勉強してそのクセを知って動き出す」のを繰り返す。そして自分の動き出しを「見てくれている感覚はある」と言う。
特に最近、練習が終わったあと一緒に走っているのは田中碧とコミュニケーションをとっている。
「練習終わりはみんな(すぐ)上がる人が多くて、僕もシュート練習じゃなくて1人で走ることが多かったんですけど、最近は田中選手が一緒に走ってくれることが多いんで、走りながら話してます」
田中も「シュートの仕方を教えてもらってます。シュートがうまいので打ち方、クロスへの合わせ方を吸収しています」と明かした。
チュニジアはチリを圧倒して決勝戦に上がってきた難敵。だがこの相互作用が日本代表チームに好影響をもたらすはずだ。
【文:森雅史/日本蹴球合同会社 撮影:岸本勉/PICSPORT】