ロシアの検閲当局である連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(Roskomnadzor)が、オンライン百科事典のWikipediaに対して「信頼性の低い社会的に重要な情報」を削除するように要求しました。Roskomnadzorは、Wikipediaの運営側が削除命令に従わない場合、最高400万ルーブル(約590万円)の罰金を科すと警告しています。
Роскомнадзор - Википедия должна удалить материалы с недостоверной общественно значимой информацией
https://rkn.gov.ru/news/rsoc/news74248.htm
Russia threatens Wikipedia with fines over “false information” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/04/russia-threatens-wikipedia-with-fines-over-false-information/
2022年3月上旬に、プーチン大統領がフェイクニュースの流布を禁止する法律に署名しました。これは「
ロシア軍に関するフェイクニュースとみなされる情報」の発信者に最大で禁錮15年の刑事罰を科すというもので、外国人も対象となるため、海外メディアの活動に大きな影響を与えました。さらにRoskomnadzorは、ウクライナ侵攻を「侵略」「戦争」と表現することも禁止し、「ウクライナの緊急事態」「特別軍事作戦」と呼ぶように命じました。
こうした言論統制の中でRoskomnadzorは、
ロシアでアクセス可能な海外産プラットフォームの1つであるWikipediaに対して、「
ロシア人に対する絶え間ない情報攻撃の新しい動線となっています。Wikipediaの記事の著者は、率直に言って誤った情報でインターネットの利用者に誤情報を故意に提供しています。一部記事では、一方的に反
ロシア的な解釈が促進されています」と指摘し、記事を削除するように要求しました。
さらに、Roskomnadzorは「この要求に応じて違法な情報を削除しないインターネットリソースの所有者は、行政責任を迫られます。法人に対しては最大400万ルーブルの罰金が科されます」と述べました。
RoskomnadzorはYouTubeの親会社であるGoogleに対しても「違法とされる動画をYouTubeから削除しなかった」として、最大で年間収益の20%を罰金として科すことを警告しています。
ロシアがGoogleに年間収益の最大20%を罰金として科すと警告、「違法なYouTube動画を削除しなかった」として - GIGAZINE
なお、2022年3月には、
ロシア語版Wikipediaの編集者がフェイクニュースを取り締まる法律に違反したとして、ベラルーシで逮捕されています。
ロシア語版ウィキペディアのトップ編集者が逮捕される - GIGAZINE