3月29日に行なわれたベトナム戦に引き分け、日本は7勝1分2敗の勝点22で全日程を終えた。最終節でオーストラリアを下したサウジアラビアに、勝点1差で及ばず2位に終わった。
森保一監督率いる日本は、オマーンとの開幕節を0対1で落とし、第3節のサウジアラビア戦もアウェイで敗れた。3戦で1勝2敗という序盤の躓きが衝撃だったからか、最後までハラハラさせられた。アウェイのオーストラリア戦で予選突破を決めたものの、ベトナムとの最終戦で引き分けに終わるという結末が、序盤戦のもたつきを思い起こさせたからかもしれない。
ヴァイド・ハリルホジッチ監督が指揮した前回の最終予選も、黒星スタートだった。その後は大きな波乱もなく、順調に勝点を積み上げていく。予選突破はホームのオーストラリア戦で、浅野拓磨と井手口陽介のゴールが印象的だった。
ところが、通算成績は今回より良くない。6勝2分2敗の勝点20なのだ。サウジアラビアに敗れた直後は解任想像が沸き起こり、勝ってもなお厳しい指摘を受ける森保監督だが、数字上は前回を上回っているのだ。
最終予選を経て、チームも進化した。冨安健洋、酒井宏樹、大迫勇也といった選手は、開幕時点では絶対に欠かせない存在だった。それはつまり、彼らのバックアップ層が不安を感じさせていたことを意味する。
しかし、CBでは谷口彰悟と板倉滉が横一線の競争から抜け出した。右SBでは山根視来が台頭してきた。4−3−3への適応度で判断すると、酒井を上回るところさえある。ベトナム戦の失点に絡んでしまったところは、反省点にあげられるが。
DFラインについては、各ポジションにふたりずつ候補者がいる。CBは吉田麻也、冨安、谷口、板倉の4人だ。左SBは長友佑都と中山雄太である。GKは権田修一と川島永嗣に、谷晃生を加えた3人が濃厚か。第3GKはシュミット・ダニエルも候補だが、カタールW杯以後を見据えて谷を推す。所属クラブで高いパフォーマンスを発揮していくことが大前提となるものの、GKを含めた守備のブロックについては、ここから先のサプライズはない気がする。
中盤は遠藤航、守田英正、田中碧のトリオが“鉄板”だ。4−2−3−1をオプションにするなら、彼ら3人のうち2人を起用すればいい。どの組合せでも、高いレベルで機能する。彼ら3人がコンディション万全でW杯本大会を迎えることは、何よりも重要なポイントと言ってもいい。
悩みは4人目のMFだ。4−3−3へのフィット感で判断すると、ベトナム戦で国際Aマッチデビューを飾った旗手怜央が浮上する。守田と田中は川崎フロンターレ在籍時のチームメイトで、三笘薫や山根視来も川崎Fでともにプレーした。吉田や遠藤ら、東京五輪のチームメイトも多い。日本代表ではまだ実績を残していないが、スムーズにフィットするだろう。セルティックでインサイドハーフを任されているのもプラス材料にあげられ、ウイングや左SBに適応する彼のユーティリティ性も、W杯ではチームの助けになる。
ここまでコアメンバーでとしてチームを支えてきた原口元気と柴崎岳は、メンバー入りのボーダーライン上にいると言っていい。ロシアW杯で主力を担った彼らは、ピッチ外でもチームに好影響をもたらす。2大会連続のメンバー入りを果たすには、4−3−3で何ができるのかを示す必要があるだろう。
4−3−3の両ウイングは右が伊東純也と久保建英、左が南野拓実と三笘薫だ。右サイドには堂安律もいるが、4−2−3−1の併用を考えると、トップ下での起用実績がある久保が堂安をリードする。4−3−3で当てはまるポジションを見つけにくい鎌田大地は、やや厳しい立場だ。
CFは大迫勇也に当確印がつく。2人目、3人目は、まだ定まっていない。
オーストラリア戦では浅野拓磨が、ベトナム戦では上田綺世がCFに入った。浅野はスピードを生かして相手守備陣の背後を取りつつ、ポストプレーもこなしていった。上田は4−3−3の前半は周囲と連携しきれなかったが、4−2−3−1となった後半はコンビネーションが生かされ、自らシュートを打ちながらチャンスメイクもした。
とはいえ、浅野も上田も大迫と並び立つほどのインパクトではない。最終予選に招集されてきた古橋亨悟や前田大然に加え、所属クラブで好調な選手をテストマッチで試しながら、絞り込んでいくことになるだろう。W杯本大会でFWに充てる枠は、「3」または「4」が濃厚だ。つまり、大迫にプラスして2人、または3人になる。
メンバーの絞り込みについては、対戦相手を考慮したものにもなるはずだ。現地時間4月1日にカタール・ドーハで行なわれた組合せ抽選を受けて、どんな武器を用意すべきなのかを整理していくのだ。