訴訟を起こしたのは
台湾人の信奇(シンチー)さんと
マカオ籍の阿古(アグー)さん=2人とも愛称=。2人は2019年10月、中正区戸政事務所に婚姻届を提出しに行った。だが、戸政事務所は
マカオで
同性婚が認められていないことや阿古さんの独身証明書の有効期限が切れていたことを根拠に婚姻届を受理しなかった。阿古さんは2017年に
台湾へ移住。信奇さんと共に暮らし、2人でケーキ屋を営んでいる。
台湾では2019年5月、
同性婚を認める特別法が施行された。だが、
台湾人が同性の外国人と結婚する場合は、相手の外国人が
同性婚を認める国・地域の出身者でなければならないとの規定が設けられている。
判決は中華民国の国際私法の反致条項を根拠に、
台湾に居住する阿古さんには中華民国の国内法を適用すべきだと指摘。特別法が
同性婚を認めている上に、裁判所の審理期間に阿古さんから有効期限内の独身証明書が提出されたとして、原告が19年10月に提出した婚姻届を受理するよう戸政事務所に命じた。判決に不服がある場合は上訴できる。
阿古さんは判決後の記者会見で、今回の勝訴は2人の人生において非常に重要だと話し、今回の判決によってより多くの国際同性カップルが結婚できるようになればと期待を寄せた。
国際同性カップルの結婚を巡っては、今年3月、
台湾におけるLGBT社会運動の先駆者的存在である祁家威さんがマレーシア籍の男性との結婚を受理するよう求めていた訴訟でも、国際同性カップルの結婚の権利を認める判決が出されていた。
司法院は今年1月、
台湾の国際私法に関する現行法規の中心である「渉外民事法律適用法」第46条の改正案を決定した。改正案は現在、行政院院会(閣議)での承認を待っている段階。閣議決定されれば、立法院(国会)に送られる。
▽台日カップルが婚姻届提出、受理されず
台日同性カップルの阿樹(アシュー)さんとAZさんは7日、婚姻の平等を推進する市民団体とともに台北市大安区戸政事務所を訪れ、婚姻届を提出したが、受理されなかった。戸政事務所は、判決の内容は理解しているものの、窓口担当者は決定を下せないと説明。2人からの申請を特別案件とし、内政部(内務省)に指示を仰ぐ方針を示した。
(劉世怡、陳?婷、呉欣紜/編集:名切千絵)