今週末(4月10、11日)、国内最高峰レースのスーパーGT選手権がいよいよ始まる! 初戦の舞台は2年ぶりの開催となる岡山国際サーキット。開幕を前に岡山と富士スピードウェイで開催された2回の公式テストではホンダのNSX勢が好調な仕上がりを見せ、トヨタのスープラ勢とニッサンのGT-Rも着々と準備を進めていた。はたして2021年シーズンはどんな戦いが見られるのか。『SUPER GT+』(テレビ東京/日曜23時30分〜)のリポーターを務めるフリーアナウンサーの岡副麻希さんにレースの見どころを聞いた!
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テスト走行の現場取材をした岡副麻希さん「早く話したかった!」
2021年シーズンは新型コロナの影響でマシン開発が基本的に凍結されていることもあって、トヨタ、ホンダ、ニッサンの各メーカーのマシンは外観に大きな変化がありません。テストでは、多くのドライバーやチームの方にインタビューをしましたが、「セットアップを詰める」「セットアップをいかにコンディションに合わせるか」という言葉を何度も聞きました。
前年とマシンがほぼ変わらないので、コース特性、気温、天候などに対して細かくセッティングを合わせて、タイヤの性能を引き出せるのかがポイントになっていくと思います。
それから昨シーズンは(コロナ禍で)富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎの3カ所でしかレースが行なわれませんでしたが、今年は開幕戦の岡山、第4戦のスポーツランドSUGO(9月11、12日)、第6戦オートポリス(10月23、24日)で開催されます。復活する3つのレースはいずれもコース幅が狭い、テクニカルコースです。そこで各チーム、タイヤメーカーがどんな走りができるのかが、チャンピオン争いの鍵を握ってくると思っています。
これまでスーパーGTでは「ウェイトハンデ」制が取り入られて、レースで獲得したポイントに比例してマシンにウェイト(重り)が載せられ、速いマシンの性能を抑制し、接戦を生み出していました。そのウェイトハンデが今年からは「サクセスウェイト」と呼ばれることになります。

スーパーGT開幕前に岡山で行なわれた公式テスト photo by GTA

『SUPER GT+』のリポーターを務める岡副さん
テストでもっとも印象的だったドライバーは昨年のチャンピオン、TEAM KUNIMITSUの山本尚貴選手です。インタビューをしたときに目がキラキラしていて(笑)。すごく調子がよさそうでした。ピットで少しでも時間があればエンジニアと熱心にミーティングを繰り返していて、2連覇への意欲が伝わってきました。
開幕戦は、本来、パートナーを組むはずだった牧野任祐選手が病気で欠場するため、武藤英紀選手が代わりに出場。昨季ともに戦ってタイトルを獲得した牧野選手が戻ってきたときに万全の態勢で迎えるという強い決意を感じました。
NSX勢ではTEAM Red Bull MUGENの大湯都史樹選手もイキイキしていましたね。GT500ではルーキーとなる大湯選手ですが、岡山のテストではトップタイムを出していました。本当にいい流れに乗っているからだと思いますが、コメントも力強かったです。しかもスーパーフォーミュラでもしっかりと結果を出していますので、今ノリに乗っているという感じです。今シーズンの注目ドライバーのひとりです。
トヨタのスープラ勢は長いストレートのある富士のコースは得意としているはずなのですが、テストは飛び抜けた速さというわけではありませんでした。いろいろと試していて、「本当の力を隠しているのかな?」という印象を受けました。複数チームでドライバーの顔ぶれが変わっていたこともあり、探り探りでやっていた部分もあったのかもしれません。
スープラ勢で印象に残っているのはTGR TEAM KeePer TOM'Sです。昨年はあと一歩のところで惜しくもタイトルを逃す結果になった平川亮選手は「今年こそは!」と決意していることでしょう。新たにコンビを組むサッシャ・フェネストラズ選手は来日できず、開幕戦は阪口晴南選手が代役を務めますが、22歳と若い阪口選手もやる気がみなぎっていましたね。サッシャ選手の代役はプレッシャーもあるとは思いますが、テストではすごくいい走りをしていました。
大嶋和也選手と山下健太選手が新たにコンビを組むTGR TEAM ENEOS ROOKIEも注目です。マシンはカラーリングがカッコいいし、ドライバーのラインアップも強力です。それから脇阪寿一監督が率いるTGR TEAM SARDも雰囲気はよさそうですし、この2チームも確実に優勝争いにからんできそうです。
ニッサンのGT-R勢はコンビを組んで9年目となるNISMOの松田次生選手とロニー・クインタレッリ選手は、今年もやってくれそうです。それ以外のGT-R勢はテストではあまり目立っていませんでしたが、TEAM IMPULで平峰一貴選手のパートナーとなる松下信治選手は楽しみな存在です。
松下選手は国際舞台に長く戦ってきた自信がドライビングに表れていて、物怖じしないというか、ルーキーとは思えない堂々とした走りをしていました。
GT500では、去年のテストはスープラ勢が飛び抜けて速いという感想を持ちましたが、今年はNSX勢が全体的に底上げされ、仕上がりがよさそうだなと感じています。山本選手が所属するTEAM KUNIMITSUだけでなく、それ以外のチームも雰囲気がよかったですね。そこにスープラ勢とGT-R勢ではNISMOが僅差で続いているという印象でした。
昨季の最終戦・富士は、山本選手のNSXと平川選手のスープラが激しいバトルを演じ、最終ラップの最終コーナーでタイトルが決着するという劇的な幕切れとなりました。今年の開幕戦・岡山では、TEAM KUNIMITSUのNSXとTGR TEAM KeePer TOM'Sのスープラのバトルの続きが見られるかもしれないと期待しています。
一方で開幕戦の岡山は2年ぶりの開催になりますし、狭いコースなので、荒れた展開になる可能性もあります。なかなか予想が難しいですが、何が起こるのかがわからないのがスーパーGTの魅力。見逃せないレースになりそうです。
GT300に関しては、昨年のチャンピオンチームであるKONDO RACINGの藤波清斗選手とJP・デ・オリベイラ選手のコンビが今年も強いと思います。富士のテストはトップタイムを出していましたし、ピットにいってもスタッフからは余裕と貫禄を感じました。あとはタイヤ戦術が上手なK2 R&D LEON RACINGも絶対に上位に入ってくるだろうし、新型のスバルBRZを投入したR&D SPORT、埼玉トヨペット Green Braveなどもタイトル争いにからんできそうです。
注目ドライバーはARTAの佐藤蓮選手です。実は、佐藤選手のことは、彼がカートに参戦していた時代に一度インタビューさせてもらっていました。
今シーズン、ケガから復帰した大ベテランの高木真一選手とコンビを組む佐藤選手ですが、昨年はフランスのF4で大活躍して、今年日本に戻ってきました。海外でいろんなことを吸収したようで、すごく成長していて感激しました。佐藤選手はスーパーフォーミュラ・ライツ第2戦でも優勝しています。それにパートナーが、ベテランで懐が深い高木選手というのも心強いですよね。すごく楽しみな存在です。
もうひとりの注目はarto Ping An Team Thailand300から参戦するジュリアーノ・アレジ選手。元F1ドライバーのジャン・アレジさんと後藤久美子さんの息子です。彼も本当に気さくで、真っすぐな好青年。3月上旬に岡山のテストで最初に話したときは、こちらが日本語でも問題なく聞き取れるようですが、日本語で話すほうはまだ単語を並べるような感じで、スムーズではなかったんです。それが、2週間後の富士では日本語を流暢に話していて、ビックリしました(笑)。おかげでインタビューも日本語でできました。
本人は今、「周りに日本人しかいないので頑張って日本語を勉強している!」と話していましたが、日本が大好きで、チームでもみんなに可愛がられているようです。カッコいいですし、日本のレースを盛り上げてくれるんじゃないかと期待しています。
現在、角田裕毅選手がF1デビューして、モータースポーツ全体の注目度が上がってきています。スーパーGTにも角田選手と同世代の選手たちがいます。GT300には佐藤選手やアレジ選手、GT500には坂口選手、大湯選手、松下選手らの若い才能がたくさん参戦していますので、たくさんの人がスーパーGTに興味を持ってほしいです!
【profile】
岡副麻希 おかぞえ・まき
フリーアナウンサー。1992年7月29日、大阪府生まれ。早稲田大在学中より、テレビ番組のキャスターなどとして活動をスタート。現在は、テレビ番組『SUPER GT+』(テレビ東京系列)などに出演。特技は水泳、ピアノ。趣味はストレッチ。
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かんだゆうこ●ヘア&メイク hair&make-up by Kanda Yuko
田名部敦士●スタイリング styling by Tanabe Atsushi