記事は、中国の国家心血管病センターが以前発表したデータで、中国における高血圧、冠動脈疾患、脳卒中など各種血管疾患の罹患者が3億3000万人に上っており、成人5人に1人は何らかの血管疾患を持っていることが明らかになったと紹介。一方で、日本の血管疾患罹患率は中国に比べてはるかに低いとし、その理由についていくつかのポイントを挙げて考察している。
まず1点めとして、血管疾患を「
生活習慣病」と定義し、人びとの健康な生活習慣の形成を支援することで、血管疾患の予防に努めている点に言及。減塩などの食事面でのコントロール、適度な運動の推奨、睡眠の重要性に関する啓発により、低コストな血管疾患予防の取り組みが進められているとした。
次に、日本政府が2000年より実施している「健康日本21」計画の存在を挙げ、この計画に基づく40歳以上の特定健康診断制度、血管疾患のハイリスク群に対する生活指導制度などの取り組みによって、疾患の罹患率を低減させていると伝えた。
また、診療費は原則3割負担という国民皆保険制度、診療所や小病院と大病院との間で役割分担がはっきりとしており、かつ地域における医療機関間の連携が取れていること、日常的な診療で利用される小さな診療所やクリニックの医師の多くがキャリアを積んだベテランであることなど、医療制度の充実も血管疾患の低減に大きな役割を果たしていると説明した。
さらに、充実した医療制度に加えて、海産物をよく食べる、油を多用する調理法が少ない、発酵食品を常食するといった食事面でのコントロールも、疾病のリスクを低下させていると紹介。「日本における血管疾患に対する有効なコントロールは、われわれも学ぶことができる。生活面から疾病の元を断ち切るのだ」としている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)