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今回の実演では、視覚障がい者も
アプリ利用者として協力し、西早稲田駅2番線ホームの中央部分から北改札方面(和光市寄り)に進み、2番出口に抜けるルートで移動する。青いベストを着た歩行指導員が少し離れて付き添う中、
アプリ利用者はホームドアすぐ手前の点字ブロックに沿って、片手にiPhone、片手に白杖を持ちながら階段まで歩いた。
このとき、iPhone端末から音声ガイドが流れているのが聞こえたため、点字ブロックに貼られたQRコードを読み取りながら進んでいることがわかる。
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点字ブロックには、直線の道に設置された線状ブロックと、交差点をはじめ立ち止まる場所を知らせる点状ブロックがある。「shikAI」のQRコードは点状ブロックの平らな部分に貼られてあり、点状ブロックにさしかかるごとに端末のカメラでQRコードを読み取り、次の地点への案内が読み上げられる。
ホームから階段へ進んだら、次は階段を昇り終えたところから改札口に向かって進む。途中で改札・ホーム・トイレの3方向にブロックが分かれているが、ここでは改札をめざすため、左折。今回は階段から改札に向かうため、左に曲がるように案内が行われたが、逆に改札から階段へ向かう場合は、右に曲がるように案内される。同じ地点のQRコードでも、読み取る向きによって指示される方向が変わるのだ。
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最後に、改札口を出てから2番出口に向かう様子を実演。駅構内の点状ブロックすべてにQRコードが設置されており、改札を出場してからも、端末を地面と水平に保ちながらQRコードを読み取り、点字ブロックに沿って歩いていく様子を見ることができた。
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「shikAI」
アプリの実演を取材した後、報道関係者らも
アプリを体験した。「shikAI」
アプリは、iPhoneの音声を読み上げる機能(VoiceOver機能)を有効にしてから操作する。最初のメニュー画面で「ナビゲーション」を選択すると、ナビゲーションメニューが表示されるので、このときに端末を地面と平行にし、カメラでQRコードを読み込む。続いて目的地の選択画面が表示されるので、出口・ホーム・トイレなど選択し、音声ガイドを開始する。
「shikAI」
アプリでは、項目の選択・決定はスワイプとダブルタップで行う。ボタンを1回タップするとそのボタンを読み上げるので、項目を決定するにはボタンをダブルタップする。パソコンのマウスをダブルクリックするのと同じ要領だ。
音声ガイドに従って駅構内を進む際、正面・左右・後方のいずれかに何メートル進むように音声案内が読み上げられるので、iPhoneを地面と平行に持ちながら、その経路に従って進む。階段では、一番下(または上)までの段数と、途中に踊り場がある場合はその数も案内する。次の点状ブロックの地点にも同じようにQRコードが設置されているので、端末のカメラで地面のQRコードを読み取り、音声ガイドに従い、点字ブロックに沿って進む。これを繰り返し、今回は改札前まで進んだ。
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万が一、進む道を間違えた場合でも、移動先のQRコードを読み込み、間違えたことを音声と振動で案内するとともに、元の経路に戻る方向とその距離も教える。もう一度案内を聞く場合は、画面下の黄色い「リピート」をダブルタップする。音声を読み上げるスピード、文字の大きさ、案内の細かさは
アプリ内の設定画面で調整可能となっている。
なお、実際の利用時はiPhone端末で
アプリをダウンロードおよびアカウント登録した後、別途送信される利用案内メールに従い、実際の駅で歩行指導員の説明を受け、
アプリの認証キーを受け取る必要がある。音声読み上げ機能が最初から備わっており、視覚障がい者の多くがiPhoneを利用していることから、現在、「shikAI」はiPhone端末のみ公開されているが、将来的にAndroid版の対応も検討されている。
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実演後には、報道公開に参加した視覚障がい者が取材に対応した。感想を聞いたところ、歩行が苦手で、QRコードを読み取りながら歩くのも初ということで心配な面があったものの、「shikAI」を使ってみて「ジャストナウなのですよね。右と言ったらここから右に曲がる、左に5mと言ったらここから左に曲がる。iPhoneを平行に持っていれば的確に教えてくれるので、そういう『今』というポイントがすごいと思いました」と評価した。
東京メトロから企業価値創造部課長の大原恭子氏、リンクスから代表取締役会長の小西祐一氏が取材に対応。「shikAI」の実演を通しての感想を聞かれ、大原氏は「長い年月、(リンクスと)一緒に開発してきて、ようやくここまで来ました。ただ、ここからがスタートという新たな気持ちです」とコメント。小西氏は「我々が一生懸命継続できたのは、
東京メトロの支援と、当事者(視覚障がい者)の皆さんが応援してくれたから。ここまで来られたのは本当に感無量です」と語った。
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視覚障がい者がより安全に駅を利用できるようになる一方で、視覚障がい者に対する晴眼者の理解が深まることも重要。駅以外でも言えることだが、たとえば点字ブロックの上で立ち止まったり、荷物や自転車などを置きっぱなしにしたりしないこと。とくに自転車は、視覚障がい者の白杖や体が当たったときに倒れる可能性があり、危険だ。点字ブロックを頼りに歩いている人を見かけた場合は、ブロック上とその左右の道を開けることが望ましい。
その上で、可能であれば「どうされましたか?」「お手伝いしましょうか?」など、手助けの声をかけることも、参加者いわく「全員がそうとは限らないが非常にうれしい」とのこと。今回公開された「shikAI」
アプリが、視覚障がい者にとっては安全に駅を利用できるツールに、晴眼者にとっては視覚障がい者の現状に目を向けるきっかけになってほしいと思う。