まず、
AirPods Proが分類される完全ワイヤレスイヤホン市場の最新の状況を確認しておこう。2020年10月の市場全体の販売台数は前年同月比147.3%と高い水準にある。その中でAppleは常に35〜50%のシェアを握っており、市場をけん引する存在になっている。
AirPodsシリーズは3モデルをラインアップしており、その中でも
AirPods Proは最上位にあたる。アップル公式オンラインストアにおける価格は税別2万7800円。これはスタンダードな「
AirPods with Charging Case」(税別1万7800円)より1万円高い。
しかし、実は
AirPods Proは
AirPods with Charging Caseよりも売れている。発売月(19年10月)から20年10月までの販売台数シェアを月次で分析すると、20年2月以降は常に
AirPods Proが上回っている状況だ。20年5月に32.6%を記録し、20年10月も22.2%の高シェアをキープしている。
AirPods Proの最大の特徴はノイズキャンセリング機能を搭載していることだ。この機能を備えた完全ワイヤレスイヤホンは
AirPods Pro以前にも存在したが、広く認知され、売れ筋になったのは
AirPods Proの功績によるところが大きい。ソニーやボーズも同様の高付加価値の製品に注力しており、販売台数を伸ばしている。
先月と今月の2回に分けて発売される「iPhone 12」シリーズが
AirPodsの販売を引っ張っているということは現時点ではないようだが、これから先に起爆剤がないわけではない。iPhone 12シリーズはアップデートでワイヤレスリバースチャージ機能に対応するという噂があるからだ。
ワイヤレスリバースチャージは、ワイヤレスチャージに対応するデバイスに、iPhoneをモバイルバッテリ代わりとして充電することができる機能だ。すでにAndroidスマートフォンでは対応しているものもあり、使ったことがあるという人もいるだろう。
ワイヤレスチャージに対応している
AirPodsは、
AirPods with Wireless Charging Caseと
AirPods Proの2モデル。スタンダードの
AirPods with Charging Caseは対応していない。もし本当にiPhone 12で新機能が使えるようになれば、上位モデルへの買い替えが促され、圧倒的なシェアがさらに盤石なものになるだろう。(BCN・大蔵 大輔)
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