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「元カノとのやりとりも全部把握してる」可愛い顔して裏では…“ネトスト女子”の正体
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卒業生と聞いてあなたはどんなイメージを持つだろうか。
実は、思春期を"男だらけ"の環境で過ごしてきた彼らは、女を見る目がないとも言われている。
高校時代の恋愛経験が、大人になってからも影響するのか、しないのか…。
▶前回:「知らぬは夫だけ…」医者の妻の座についた清楚系美女の恐ろしい裏切り計画
<今週の男子校男子>
名前:肇(28)
学歴:灘高等学校→東京大学理?中退→東京大学文?卒業
職業:データサイエンティスト
住所:御茶ノ水
彼女:葉月(29)・同僚
葉月と出会うまでは、そんな風に考えていた。
僕は自宅の仕事スペースでコーヒーを飲みながら、隣で仕事をしている、彼女で同僚の葉月の横顔を眺める。
彼女の真剣な顔が愛おしくて、思わずほっぺたをプニプニ触ってしまう。
「もう、今大事なところなんだから♡」
葉月はパソコンを触る手を止めると、僕の首に思いっきり抱きついてきた。
僕は元々エンジニアの集まっているシェアハウスに住んでいたが、去年の春に葉月と付き合い始めてすぐに御茶ノ水で同棲を始めた。
このご時世で他の企業よりもひと足早く在宅勤務が始まり、もう半年以上もほぼ毎日24時間一緒にいる生活をしている。
「それにしても、香港どうなっちゃうんだろう。去年小籠包を食べに行った時は想像出来なかったね」
「そうだね、また行ける日が来るといいね」
僕たちはおいしい食事のためなら時間やお金を惜しまない。
以前は、思い立ったら日帰りで沖縄そばのためだけに那覇へ行ったり、韓国にソルロンタンを食べに出かけたりしていた。
今までの恋愛は、自分中心の振る舞いのせいで長続きはしなかった。だが、葉月は特別だ。会社の同僚で、同じレベルの技術的会話ができるし、古今東西の文学や映画に造詣が深い。
―東京に来てほんま良かった。
彼女のおかげで、今はそう思える。
◆
僕の卒業した高校は“灘高等学校”だ。
大阪の枚方市出身の僕は、小さい頃から地元では神童と呼ばれていた。
だが、灘では天才と思える人間に出会うことが多かった。
一般的な「頭がいい」という言葉は、学校の試験のように既に解が存在する問題を解決することに長けている人を指している。天才の恋愛観は、やはり変わっているのだろうか?彼が選んだ女性とは…
しかし、僕はそうは考えない。見つかっていない問題を発見する能力こそが、「頭のいい」人間だ。
そして灘には、そういう人が多かった。
―文系とか理系っちゅう区別は極めてシステマチックで、無意味な分け方やな。
僕は勉強が得意と言うよりも、全方位に好奇心旺盛で「なぜ?」を考えることが好きだった。
例えば数学であれば、最短距離で答えを出すことよりも、答えに至る過程の美しさを常に考えていた。
また古典では、何百年も前から変わらない人間のエゴや本性に共感した。
灘の授業には、ただ教科書をなぞるだけの授業はなく、先生それぞれが僕たちの知的好奇心を育てる授業をしてくれていた。
だから「学校の勉強など大人になって役に立たない」という言葉は、与えられた問題にしか目がいかない想像力の欠如した人間の考えることだと思う。
進学先は、とりあえず東大理?にした。
当時校内の試験の順位が、100番以内であれば東大、30番以内であれば理?に合格する可能性が高いと言われていた。
僕は常に10番以内を維持していて、小さい頃から選択してきたように最難関と言われる進学先を選んだ。
受験勉強とは、基礎の徹底と応用の反復というルールを正しく守れば勝てる戦いだ。当然のように現役で合格し、上京することになった。
「理?の標準語は関西弁やな」
大学1年の夏、一緒に進学した灘の同級生が発した一言で、僕はハッとした。確かに理?の定員に対して灘生の占める割合が高く、見知った顔が多かった。
その事実に愕然とし、僕はなんとなく選んでしまった自分の進路選択について改めて考えた。
―俺が興味あるのは、ほんまに医学なんやろか?
そう思った翌日、僕は退学届を出した。
たまたま読んだジャック・ラカンに関する論文がきっかけで、再受験し東大の文学部に進学した。哲学を学び、ポスト構造主義について研究した大学時代は、納得の行くまで考え抜くことができ満足した時間となった。
◆
仕事を終え、僕と葉月は『味坊』を訪れた。ここは大学時代に中国人留学生に教えてもらったお店で、独特のスパイスの効いた料理が好みだ。
「ここ初めて来た時はめっちゃびっくりしてん。こんな美味しい中華あるんやなーっ!」
葉月は黙々とラム肉の串焼きにかぶりついている。
ふとスマホを見ると、Twitterにリプライが来ている。
僕は高校時代からTwitterで技術的な話題や趣味のFPSゲームやライトノベルについて呟いている。
―このリプライめっちゃええ。おもろいな。
それは最近フォローしてきたライトノベル好きの人だった。僕は返信を送り、スマホを閉じた。
僕のいる会社は、社員の紹介で採用されることが多い。葉月もその1人だ。
大手IT企業出身でフリーランスエンジニアだった彼女を僕の上司が引き抜いてきた。
―女の人やのにプログラミング上手いんやなあ。
美人だがショートカットで中性的な雰囲気を持っている彼女を見た時、抱いた感想はそれだけだった。
付き合った理由は同じチームとなり、彼女の書くコードの美しさの虜になってしまったからだ。
一見冷たそうな見た目をしているが、実は寂しがりやでいつも僕と一緒にいたがるところも愛おしい。葉月が、肇を選んだ本当の理由とは…?
「高校の友達が子供の動画をいつもインスタにあげてるの」
葉月はそう言ってスマホで動画を見せてきた。ハイハイした子供が懸命に立ち上がろうとしては転んでいる。
「で、これが最近の動画」
次の動画では、おぼつかない足取りながらも歩き出している。
「おお〜転ばんくなってる!例えるならば、強化学習で局所最適解を迎えた感じやね!」
「ね、機械学習みたいだね。私も早く肇に似てる子供が欲しいな。肇似だと目がおっきくて、眉毛が太い子になるかなあ」
子供を欲しいと思ったことはないが、葉月がそう言うなら考えてみる余地はある。
僕は大好きな平打ち麺をすすりながら、ニコニコしながらワインをおかわりする彼女の笑顔を眺めた。
葉月の正体
私の家族は祖父が東大卒の官僚で、両親も東大の同級生で結婚した東大一家だ。
小学生の頃から圧倒的に勉強が得意だった私は、御三家の女子校に進学した。
―私もきっと東大に通うことになるんだろうな。
毎朝浜田山にある実家から井の頭線に乗って駒場東大前駅を通る時、自然とそう思っていた。
―え、不合格?
合格発表の時は何度も目を疑った。模試でも安定してA判定を取り続けていたはずなのに、そこに私の受験番号はなかった。
それから卒業までのことは、殆ど記憶にない。クラスメイトの喜びの声を横目に、ふさぎ込んでしまった。
失意のまま、私は滑り止めの早稲田の理工学部へ進学した。家族中でも妹が東大理?に合格してからは、益々肩身が狭くなってしまった。
大学のサークル文化にはあまり馴染めなかった。私は東大のプログラミングサークルに参加して、活動にのめり込んでいった。
大学名を聞くとあからさまに「凡人」のレッテルを貼られることもあるが、高校名を出すと決まって彼らの目は輝く。
「へえ、葉月ちゃんは優秀な人なんだね」
それから私は何人もの東大生と付き合った。付き合うとすぐに相手の家に転がり込み、四六時中行動を共にして共依存の生活になることばかり。
「俺、葉月がいないともう生きられないよ」
優秀な頭脳を持つ男が、私にぞっこんになる瞬間がたまらなかった。だから別れた相手に付きまとわれて、警察のお世話になったことも1度ではない。
―東大卒の男と付き合っても、私の東大コンプレックスが解決するわけじゃないのにね。
東大生には理?を頂点とする学部ヒエラルキーがある。肇は医学部に進学したにも関わらず、哲学を志して文学部に入り直した。
就職だって、外資系証券会社やIT企業からも内定をもらったのに大企業はどうもしっくりこないといって、学生時代からインターンをしていたこの会社に就職を決めたと言っていた。
周囲の評価や、常識にとらわれない、彼の生き方が好きだ。
Twitterの画面を開いた。肇はTwitterのアカウントをいくつも持っている。
データサイエンティストとしての情報発信用に、プライベートの友人用、そして趣味用の鍵アカウントがある。
―彼の全てが知りたい……。
私には趣味アカウントを教えてくれなかった。そこで彼の好きな漫画やライトノベルを全部読破し、架空の男性アカウントを作成して肇と繋がることに成功した。
―きっと今Twitterでやり取りしている人が、目の前にいるとは思っていないだろうな。
そして私は彼の高校時代からの数万件のTweetやブログの記事をほとんど記憶してる。歴代の元カノのSNSアカウントもやり取りも全て把握済みだ。
私はワインを飲んで少し頬が赤い肇の顔を見ながら、「この幸せが永遠に続くといいな」なんて思ったりした。
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