Magic Keyboardを半月使って気が付いた7つのポイント
まずは、筆者がMagic Keyboardを約半月使って得た手応えについて、7つの評価のポイントに沿ってお伝えします。
【1】
キーボードの打鍵感
とても良いと思います。長時間タイピングを続けても疲れません。筆者は、最新のMacBook Airと16インチMacBook ProのMagic Keyboardを試したことがありますが、それぞれの打鍵感に近いと思います。
筆者がふだん仕事に使っているのは、薄肉のバタフライ式
キーボードのMacBook Airです。自宅で仕事をしていると、家族に「打鍵音がうるさい」と怒られることがよくありましたが、シザー式
キーボードのMagic Keyboardを使うようになって注意を受ける回数が減りました。
キーボードの打鍵感には人それぞれの好みがあり、購入を決める際にとても重要な評価のポイントになることは承知です。できれば、Apple Storeの営業が再開したら実機で確認してみることをおすすめします。
【2】LEDバックライト
自宅では夜も電気をつけて仕事をしているので、Magic Keyboardに搭載されたLEDバックライトの恩恵を受ける機会は今はあまりありません。ですが、また以前のように照明を暗くした部屋で開催される記者会見や発表会の取材に出る機会があると、この機能が大いに役に立ってくれると期待しています。
なお、LEDバックライトはiPadOSの設定メニューからオフにできるので、部屋を暗くして
iPad Proで映画を見る時にも安心です。
【3】トラックパッド
Magic Keyboardを使い始めて半月も経つと、iPadのトラックパッドによる操作もすっかり板に付いてきました。MacBookによる仕事も、写真データを加工する時など以外はほとんどトラックパッドを使っているので、たまに
iPad ProをSmart Keyboard Folioに付け替えると、トラックパッドがないことに違和感を感じてしまいます。
トラックパッドがあると
iPad Proの画面に指で触ることが減るため、指紋汚れによるストレスからも解放されます。モバイル端末を日々使ううえでの衛生対策にも良いと思います。他のiPadシリーズ向けのトラックパッド付き
キーボードもぜひ商品化してほしいと思いました。
【4】カバーとしての堅牢性
Magic Keyboardを装着した
iPad Proを外に持ち出して使ったことがほとんどないのですが、Smart Keyboard Folioよりも堅牢性は高く、
iPad Proをしっかりと保護してくれそうです。カバーの表面はSmart Keyboard Folioと同じ素材です。
【5】ひざ打ちタイピング
Magic Keyboardは、
キーボード側のパネルがSmart Keyboard Folioよりもわずかに重く、
iPad Proを乗せてフローティングカンチレバーのポジションを固定したあとはグラつかないので、ひざ打ちタイピングも安定します。
iPad Pro自体の重さで後ろに倒れることはないと思いますが、何かに手を伸ばす際などはひざの上に置いたiPadに手を添えてゆっくりと体を動かすようにしましょう。
【6】バッテリーの消耗
Magic Keyboardの電源は、
iPad ProからSmart Connectorを経由して給電されます。テキストエディタ以外のアプリを終了し、Magic KeyboardとSmart Keyboard Folioを交互に付け替えながら、30分間に
iPad Proのバッテリーがどれほど消耗するかを本稿を書く作業で比べてみました。すると、Magic KeyobardとSmart Keyboard Folioがともに「4%減る」という同じ結果になりました。もう少し使い込んでみないと判断はしづらいところですが、今のところMagic Keyboardが
iPad Proのバッテリーを大食いする感じはありません。
【7】重さをどう評価する
12.9インチの
iPad ProにMagic Keyboardを装着すると、合わせた質量は約1.34kgになります。2020年モデルの13インチのMacBook Airとほぼ同じ質量です。筆者がふだん仕事に出る時に使っているリュックサック型のバッグに入れて近所を散歩してみましたが、負荷はMacBook Airとほぼ変わらないと思います。Magic Keyboardは
iPad Proの保護ケースでもあることを考えれば妥当な重さと言えます。もし多くの荷物があるため、iPadと
キーボードの組み合わせをなるべく軽くして出かけたい時にはSmart Keyboard Folioを選ぶとよいでしょう。
Smart Keyboard Folioにも良さがある
Smart Keyboard Folioも2020年モデルの
iPad Proの発売に合わせてリニューアルされています。メインカメラの形状が違うため、
iPad Proを2018年モデルから買い換えた場合はSmart Keyboard Folioも買い直す必要があります。
Smart Keyboard Folioもフルサイズの
キーボードを搭載していますが、一つひとつのキーサイズが大きく、キーストロークが安定していることやバックライトを設けていることも含めて、文字入力作業の生産性は圧倒的にMagic Keyboardの方が高いと思います。テキスト入力をメインに
iPad Proを活用するのであればMagic Keyboardをおすすめしますが、Smart Keyboard Folioは軽いだけではなく、Apple Pencilによる作業との親和性が高いことも特長に挙げられます。
iPad Proを装着しているパネルの背中を、
キーボードを搭載する側のパネルの背中に合わせてテーブルの上などに平置きができるので、Apple Pencilで絵を描いたり、静止画データのレタッチなど細かな作業をメインに
iPad Proを使う方にはこちらの専用
キーボードが向いています。欲を言えば、いずれか一方の
キーボードを先に買って、あとから余裕があればもうひとつの
キーボードも手に入れたいところ。
iPad Proによるクリエイティビティの広がりに実感が沸くと思います。
iPad ProとMagic Keyboardの組み合わせをこんな人にもすすめたい
Magic Keyboardの特徴を踏まえたうえで、筆者は以下のような方々にも
iPad ProとMagic Keyboardの組み合わせをおすすめしたいと考えています。
【1】映像コンテンツの編集作業に
iPad Proを使いたいクリエーター
先ほど、Apple Pencilを使って
iPad Proでイラストを描く作業などにはSmart Keyboard Folioの方が向いている理由を説明しました。ところが、Adobe Premiere Rushで動画ファイルの編集作業を行う場面では、Magic Keyboardの方が快適に感じました。フローティングカンチレバーにより画面の角度調整が自由にできて、斜めに傾けた画面の方がApple Pencilを使った操作にも向いていたからです。テロップの文字入力にも素速く移れます。ペン入力操作ができる分、MacBookでよりもスピード感が高まる場合もあります。
【2】NetflixやAmazonプライム・ビデオなど動画配信サービスのファン
フローティングカンチレバーに
iPad Proを装着すると、画面が宙に浮いたようなポジションになります。その効果は映像への没入感が増すだけでなく、内蔵スピーカーで再生する音の切れ味も豊かになります。
iPad Proの本体と
キーボード側のパネルが離れているため、スピーカーから出力される音の振動がテーブルなど
キーボードを置いている面に伝わって不要なノイズを生むことがないからです。ダイアローグ(セリフ)が聞きやすくなり、効果音の立体感がグンと増してきます。
【3】ビデオカンファレンスの機会が多くあるビジネスパーソン
フローティングカンチレバーにより画面の位置調整が自由にできることと、スピーカー再生による音が聞きやすくなることのメリットは、FaceTimeやZoomによるビデオカンファレンスにも効果を発揮しました。
iPad Proにはスタジオグレードのマイクも内蔵されているので、マイク付きのワイヤレスヘッドセットなどを別途用意しなくても、カンファレンスの相手にこちらの声をクリアに届けられます。
iPadシリーズのフラグシップである
iPad ProとMagic Keyboardの組み合わせは高価な買い物になりますが、直感的なタッチ操作ができ、Apple Pencilによるペン入力に最適化されたアプリとサービスが充実するプラットフォームはほかにありません。Wi-Fi+Cellularモデルの
iPad Proを選んでSIMカードを装着すれば、場所を選ばずにいつでも
iPad Proをネットワークにつないで仕事ができます。
iPadOSの登場により、
iPad Proもマルチタスクの操作性がアップして、外部USBストレージからのファイルの読み書きが容易になりました。これからハイエンドクラスのモバイルPCを買い替えたり、買い増す予定がある方は、
iPad ProとMagic Keyboardのペアも選択肢に入れて比較検討するべきだと思います。