誰かと比べず、「俺は俺」というスタンスで。山崎賢人から「嫉妬」が消えた瞬間

2019年の主演映画『キングダム』は興収57億円を突破する大ヒットを記録。数々の映画で主演を務めるなど、山﨑賢人は順風満帆な俳優人生を送っているように見える。

映画『劇場』で演じるのは、空気の読めない自意識過剰の劇作家。ボサボサの長髪に無精ひげというビジュアルに、「こんな山﨑賢人は見たことがない」と思う人が続出しそうだ。

劇団を立ち上げるもうまくいかず葛藤する主人公の“弱さ”に、共感したと語る山﨑。自身もかつては、多くの同世代俳優が活躍する中、他人に嫉妬することもあったという。しかし、そこから“俺は俺”というスタイルにたどり着いた。次々と新しい作品に果敢に挑戦する、山﨑の心の内とは。

撮影/祭貴義道 取材・文/馬場英美 制作/iD inc.

吉沢 亮のスピーチを見て「ありがとう」とメールを送った

先月、映画『キングダム』で共演された吉沢 亮さんが、第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞された際、受賞スピーチで山﨑さんへの感謝の言葉を述べられていましたが、ご覧になりましたか?
全部ではないですけど見ました。感動しましたね。

お亮に「スピーチ、めっちゃよかった。ありがとう」と伝えたら「これからも一緒に戦っていこうぜ!」と返信があったので、僕も「やっちゃおうぜ!」と返しました。

お亮がいたから、僕も信(『キングダム』で演じた役柄)としていられたので、本当に感謝しています。
第39回日本アカデミー賞(2016年)では山﨑さんも新人俳優賞を受賞されていますが、今回の吉沢さんの受賞に対してうらやましく感じる気持ちはあったのでしょうか?
賞はいただけるものならいただきたいですけど…賞をもらうために演技をしているわけではないので。ただ、僕がもらうことで喜んでくれる周りの人がいるので、欲しい理由があるとすればそれだけですね。

お亮に対しても、同世代の俳優として頑張ってきたという意味で、「一緒に行きたかったね」という話はしていましたが、嫉妬はないです。
同世代の俳優といえば、山﨑さんと親交の深い菅田将暉さんが、以前ラジオで「お互いに嫉妬して仲の悪い時期があった」とお話されていましたが…。
ありましたね、そんなことも(笑)。僕が『好きな人がいること』というフジテレビ系の月9ドラマに出演していた頃なので、今から4年ぐらい前のことですね。

当時、お互いにすごく忙しくて、単純にコミュニケーション不足だったと思います。周りからも「この世代は〜」と比べられることもすごく多くて、そんな状況の中で、お互いの活躍や出演作を漠然といいなあと感じていたんだと思います。今となっては具体的に何に嫉妬していたのかわからないですね。
ほかの人に対して嫉妬を感じる機会が減ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
うーん…もともと自分に自信があるわけではなく、そこは変わっていないです。ただ、周りをシャットダウンできるようになったのかもしれません。

昔は映画やドラマをこまめにチェックしていたんですけど、最近になってふと自分が見たいと思ったものだけ見ればいいかなと思うようになったんです。仲のいい俳優が出演している作品を、付き合いだけで見るのは失礼だと思いますし。

でも、誤解のないように言っておくと、人間関係をシャットダウンしているわけじゃないですよ(笑)。今は誰かと比べるのではなく、「俺は俺」というスタンスで自分の作品に集中できればいいかなと思っています。

人と比べられることが多い表現者の葛藤に共感した

映画『劇場』は、累計発行部数が約50万部と、恋愛純文学として異例のベストセラーとなった又吉直樹さん初の恋愛小説が原作です。監督は、2001年に映画『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ、数々の賞に輝いた行定 勲さん。山﨑さんは主役の永田を演じられましたが、いかがでしたか?
僕が演じた永田は劇作家であり、演出家でもあるのですが、表現者という意味では俳優も同じだと思い、共感できる部分が多かったです。
永田は劇団「おろか」を立ち上げ、成功を信じ演出と脚本を担いますが、うまくいかずに他人に嫉妬するなど鬱々としています。山﨑さん自身はこれまで順風満帆に俳優活動を続けていらっしゃる印象がありますが、具体的にどんな部分に共感されたのでしょうか?
いえいえ、僕も順風満帆というわけではなく…。たしかに、これまで途切れることなく仕事をさせていただいていますが、すべて完璧にできたという思いはないですし、満足だと思えたことは一度もありません。

表現者はどうしても人と比べられてしまう職業ですし、そんなふうに僕も葛藤を抱えていたので、永田のうまくいっていないところや弱い部分への共感は大きかったです。
なるほど。
今は自分がいちばんやりやすいように、無理せずやっていこうと思っていますけどね。そうじゃないとキツくなってしまうので。
無理していた時期があったんですか?
高校生のときとかは、周囲の目を気にしてカッコつけたり、キャラクターを作ったりすることもありましたね。素に戻った瞬間に「ちょっと無理しちゃったな」って、萎えるみたいな(笑)。

カッコつけないのがカッコいいと思っていた時期もあったし、とはいえこの職業はカッコつけていたほうがいいんじゃないかと思うときもあるし、結局のところ、答えはよくわからないんです。ただ今は、自分が生きやすいように生きようと思っています(笑)。
そんな中、山﨑さんが出演作品を選ぶ際の基準はどこにあるのでしょうか?
ワクワクするか、しないかですね。

こんまりさん(近藤麻理恵/片づけコンサルタント)じゃないですけど(笑)、自分がときめくか、ときめかないかは大事にしています。

初めて脚本を読んだとき、ラブストーリーだと思わなかった

永田は町で偶然出会った沙希(演/松岡茉優)と恋に落ち、彼女の家に転がり込みます。まっすぐに自分を応援してくれる彼女に、永田は甘えていますが、彼の行動をどう思いましたか?
嫉妬したり、都合の悪いことから逃れようとしたり、ヒドいなと思う行動もありましたが、少し共感してしまう部分はありました。
沙希役の松岡さんと演技について相談することもあったのでしょうか?
松岡さんとは、「永田と沙希ちゃんって、じつはお互いが依存し合っているよね」という話をしていました。一見、沙希ちゃんだけが永田から負担をかけられているように見えるんですけど、沙希ちゃんも永田と一緒にいることに生きがいを感じているというか。

あと、ふたりの空気感が大事だよねと、現場で“あっち向いてホイ”をして距離を縮めてました(笑)。
(笑)。永田と沙希の恋はうまくいかない部分もありますが、ふたりが本気だからこそくすっと笑えるやりとりもありますよね。
たとえば喧嘩のシーンで笑えるワードがセリフに出てきても、それすら笑わずに言い合いを続けるのがふたりのリアルですが、それって第三者から見るとすごく滑稽ですよね。

そういった滑稽さを見せられたらというのはずっと思っていました。
これまでに参加された作品は相手を一途に愛するラブストーリーが多かったと思いますが、今回のような“こじらせ系”のラブストーリーはいかがでしたか?
この脚本を初めて読ませていただいたときに、僕はラブストーリーだと思わなかったんです。それは今の僕の意識が恋愛に向いていないということもあるのかもしれませんが、それはそれで永田っぽいというか。

そう考えると、自分で言うのも変なのですが、僕みたいなやつが永田役でよかったのかもと思うし(笑)、今の自分がやるべき役だったんだろうなと思います。

無精ひげ姿に初挑戦。生えるかどうか自信はなかった

監督の行定 勲さんとは今回が初タッグとなりますね。
『GO』や『世界の中心で、愛をさけぶ』が好きだったので、一緒にお仕事できてうれしかったです。

監督自身が舞台の演出もされているので、永田とは演出家同士でもあって。そんな監督と一緒に永田像を作っていく作業は楽しかったです。監督の発想がとても面白くて、魅力的な世界が生まれていっていることを実感しながら演技できました。
そうだったんですね。
あと、自分の演技がちょっと気持ち悪いなと思ったときに、監督は必ず「もう1回やろう」と言ってくれました。

たぶん、ほかのスタッフさんは「なぜもう1回?」と思うくらいの微妙な違いなんですが、監督はそれをすぐに察知してくださって、その感覚がスゴいなと思いました。
撮影前に何度も話し合いを重ねられたそうですね。
監督から言われて「なるほど」と思ったのは、「永田はうれしいことがあっても、思いっきり喜ばないよね」ということでした。沙希ちゃんからデートのOKをもらったときも、黙って拳を突き上げるだけとか。
ボサボサの長髪や無精ひげなど、これまで山﨑さんが演じられてきた役にはなかったビジュアルも印象的でした。
監督から、永田のアイデンティティーを表現するひとつとして、ひげを生やすのはどうかと提案があって。これまで生やしたことがなかったので、生えるかどうか自信がなかったんですけどね。

あと衣装に関しても、永田は古着っぽいものをまとっているんですけど、下北沢に住んでいるという設定だったり、人とかぶるのが嫌な永田の性格だったりが反映されていて。僕自身も古着が好きだったので、自分だけのスタイルを表現したい!という気持ちには共感できました(笑)。
ドラマ『グッド・ドクター』や『キングダム』など、次々と新しいキャラクターに積極的に挑まれていらっしゃいます。今後もさまざまな演技を見せてくれる山﨑さんに期待しています。
つねにやったことのない役を演じていきたいですし、年齢とともに演じる役も変わっていくと思うので、これからもいろんな役に挑戦していきたいです。
※タイトルが「山崎賢人」となっておりますが、「崎」の字は「﨑(たつさき)」が正式表記です。
山﨑賢人(やまざき・けんと)
1994年9月7日生まれ。東京都出身。A型。2010年に俳優デビューし、翌年公開の『管制塔』で映画初主演を飾る。2015年にはNHK連続テレビ小説『まれ』に出演し、映画『ヒロイン失格』、『orange-オレンジ-』などで第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2019年に主演を務めた映画『キングダム』は、興収57億円を突破する大ヒットを記録した。そのほか、ドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、映画『斉木楠雄のΨ難』、『羊と鋼の森』、『ヲタクに恋は難しい』など数々の作品で主演を務める。2020年には主演ドラマ『今際の国のアリス』(Netflix)も配信される。

映画情報

映画『劇場』
2020年7月17日(金)公開 & Amazon Prime Videoにて全世界独占配信
https://gekijyo-movie.com/
©2020「劇場」製作委員会

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応募方法
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受付期間
2020年4月13日(月)12:00〜4月19日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/4月20日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月20日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月23日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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