“りぼんっ子”の声が藤井みほなへ届いた瞬間――『GALS!』待望の続編が生まれた奇跡

2019年3月21日、ひとつのTwitterアカウントがひっそりと誕生した。最初のつぶやきは、

“弥生美術館の次回展「ニッポン制服百年史−女学生服がポップカルチャーになった!」に参加させていただきます( ´ ▽ ` )❤”

アカウント名は、「藤井みほな」。1999〜2002年、少女マンガ誌『りぼん』(集英社)にて、コギャル3人組が活躍する『GALS!』を連載していた伝説のマンガ家だ。見た目はド派手なコギャルだが、強い正義感と自己肯定感を持つ主人公・寿蘭(ことぶき・らん)の言動やファッションは、若い読者を夢中にし、「蘭ちゃんみたいなカッコいいギャルになりたい!」と、たくさんの憧れを生んだ。

藤井は2006年以降、作品を発表しておらず、当時『りぼん』を愛読していた“りぼんっ子”なら誰しも、その後を気にしていた。

そんな思いを汲み取るように、Twitterで続々と希少な原画写真や当時のエピソードを投稿する藤井のアカウントには、ファンが殺到。約3日間で、フォロワーは5万人を突破する(※2019年12月23日現在は約8万人)。そして、このSNSでの盛り上がりが藤井の心を動かし、2019年11月、じつに17年ぶりの『GALS!』続編連載が始まった――。

平成から令和へ。元号が変わる直前から始まった“お祭り”の舞台裏で、藤井本人はどんな心境だったのだろう。「取材を受けるのなんて20年ぶり」という貴重すぎるこの機会、藤井と二人三脚で時代を駆け抜けた担当編集「とみっち」こと、前『りぼん』編集長の冨重実也氏が同席する。

扉を開けると、作品やTwitterのテンションそのままの、底抜けに明るい藤井みほな本人がいた。

取材・文/的場容子
『GALS!』第1巻。©藤井みほな/集英社
渋谷の最強コギャル・寿蘭(中央)とその親友・山咲美由(左)、星野綾(右)の高校3年間を描いた伝説的作品。トレンドのギャルファッションや恋愛模様を描く一方で、援助交際やいじめ、体罰など若者をとりまく社会問題までも取り上げ、読者から絶大な支持を得た。

17年ぶりの続編に「世界でいちばん驚いてるのが私です」

取材を受けていただいてありがとうございます! きょうは、編集部員と私、“りぼんっ子”ふたりで参りました……!
藤井 “りぼんっ子”だ!(笑)こちらこそ、私でよければ! よろしくお願いします!
藤井先生は、前作『GALS!』の連載終了時(2002年)、「いつか続編を描きたい」という気持ちはありましたか?
藤井 (食い気味に)なかったんですよ〜! もう、「終わりーー!!!!」みたいな感じでした。

でも、ビジネス的なところは全然わからないんだけど、『GALS!』はそれなりに人気があったらしいから(笑)、当時も担当の冨重さんは「続編描く?」って言ってくださってたんだよね。蘭ちゃんが高校卒業しちゃうから、「(蘭の妹の)沙夜ちゃん主人公で」とか。
そうだったんですね!
藤井 でも、「ないわ〜〜〜!!!」って思ってて(笑)。「蘭ちゃんたちが卒業したらおしまい」というのは決めていたので。
『GALS!』第10巻。第39話『FOREVER FRIENDS! FOREVER GALS!!』より。©藤井みほな/集英社
だって、コギャルって高校生じゃないですか! その上がホントのギャルで、マゴギャルは中学生。コギャルがテーマで、卒業したらコギャルじゃなくなるから「もう、ここまで!」って決めていて。だから、続編なんて考えもしなかったんですよ?
でも、連載終了から17年が経った2019年、続編となる『GALS!!』の連載が……。
藤井 そうーーー!(笑)そうなの、びっくりだね。たぶん、世界でいちばん驚いてるのが私です。マジで!
連載完結からの17年間で、『GALS!』のことを思い出すことはありましたか?
藤井 ない!!!!!(即答)もう、「描き切った!」っていう気持ちだったから、なんの後悔もなかったし、ホントに納得して終わったし、振り返ることは一切なかったんですよね。
冨重 だから、藤井先生がマンガを描くこと自体が、非常に奇跡的な状況なんですよね(笑)。

私は2018年6月に少女マンガの部署を離れて、作家さんたちの担当も基本的に後任に引き継いだんですけど、藤井先生は、私が連絡係のままなんです。二度とマンガを描くことがないだろうから、権利関係の連絡係だけはそのまま私がやることになって。だから、また藤井先生のネームが読めるとは、思いもしなかったです。
藤井 ねー!!!! ホントにびっくり!

Twitter開設。「日本中で100人覚えてればバンザイだ!」

続編を描くというお話は、いつ頃持ち上がったんですか?
藤井 まず、Twitterを開設したのが始まりで。きっかけをさかのぼると、2019年の春、弥生美術館で「ニッポン制服百年史」っていう企画展があって、そこでコギャルのファッションや制服の着こなしの例ということで、『GALS!』の原画を展示してもらったんですよ。
企画展でも展示された、『GALS!』第9巻カバー。©藤井みほな/集英社
冨重 時系列的には、弥生美術館さんからの依頼が2018年の終わり頃にあり、2019年の1月に先生にお話したところ、先生が敬愛する江口寿史先生がメンバーに入っていたことが決め手になって、受けていただけることになったんですよね。
藤井 そうそう(笑)。江口先生も参加されていることが決定打でした! 原稿も、もう押し入れの奥のほうにしまっちゃってて、出すのが大変だったんですけどね。

それを宣伝したり、せっかく発掘した原画の写真を上げたいというのがきっかけでTwitterを始めようと。でも最初は、展示が終わったら元の生活に戻ろうと思ってて、Twitterも閉じる予定だったんですよね。SNSって怖いっていうし、「炎上した」とかよく聞くし、私、全然やったことがなくて。
3月にできたアカウントが、ホントに初だったんですね!
藤井 そうなの〜〜! だから使い方がわかんないし、だけど期間限定だったら、なんかあってもやめちゃえばいいやと思って、そのくらいの気持ちで始めたんですよね。そうしたら、結果的にとんでもないことになってしまって(笑)。
当時のファンが歓喜してお祭りのようになり、瞬く間にアカウントが認知され、Twitterでトレンド入りしました。
藤井 こんなふうになるとはまったく想像していなくて。私はそもそも、『GALS!』の需要が今もあると思ってなかったし、私のことを覚えている人がいるとも思ってなかったんですよね!「日本中で100人が私を覚えてればバンザイだ!」みたいに思ってました(笑)。でも、初日はフォロワーが4人だったんですよ。
最初はどうしてもそうなりますよね(笑)。
藤井 もう、とにかく恥ずかしくて! 兄に連絡して「フォローして! フォローして!」ってお願いして(笑)、それでやっと5人になって。この状態が、展示が終わるまでのあと3ヶ月続くんだな〜と思ってたんだけど、でも、4人が覚えててくれてるんだったら、もう十分じゃないか!とも思ったんです。

「この4人のために私はTwitterを更新する!」という気持ちで(笑)、めげずにばんばん生原稿の写真を撮って、アップして……、4人に向けて「懐かしいよねー!」みたいな感じでやり始めたんです。
冨重 あとになって藤井先生からうかがったのは、「せっかくだから原稿見せよっかな♪」くらいの気持ちでTwitterアカウントを作って、昔のイラストを投稿していたら、非常に反響があったと。結果的に、3日間で5万人のフォロワーがついちゃった。
あれよあれよとフォロワーが雪だるま式に膨れ上がって。開設された翌日には、明らかにリツイートのケタが変わり出していましたが、藤井先生はどういう気持ちで受け止めていたんですか?
藤井 最初、兄から連絡が来たんですね。あ、今は兄が私の原稿を手伝ってくれていて、ふたりでやってるんです。
『GALS!』連載時もイラストを描いたりと、大活躍だったお兄さんが!
藤井 そう! それで兄から連絡が来て、「おまえ、Twitter見てる? トレンドに上がってるぞ」って。でも私、トレンドって何のことか知らなかったんですよ。Twitterの画面を見たら、リツイートとかいいねの数がダダダダダダッ!!って上がってて、何が起こってるのかよくわからなかった。それで「とりあえず冨重さんに連絡しなきゃ!」と。
冨重 22日が金曜だったので外で飲んでたら、携帯に『りぼん』編集部員のSNS担当から連絡が入って……。
藤井 飲んでたんかい!(笑)
冨重 はい(笑)。「藤井みほな先生がTwitterを始めたと話題になっているんですが、本人かどうか確認してもらっていいですか?」と言われ、「ええっ!! 藤井先生がTwitter!?」ってびっくりして。同時に、藤井先生からも「私、うっかりTwitterを開設したらとんでもないことになっちゃって!」とメールが届いていました(笑)。
藤井 兄が、「これは大変なことだから、うかつにツイートするな」「おまえは使い方がわかってないんだから、テンション上がって変なことをつぶやいたら大炎上する。とにかく黙ってろ」って(笑)。
お兄さん、頼もしい(笑)。SNSで目立つときって負の側面が取り沙汰されることが多いと思いますが、SNSの反応が力になることも多いですか?
藤井 フォロワーさんも“りぼんっ子”だから、みんないい子ばっかりなんですよ〜! みんなギャル魂を持ってるから、私を陥れようとかしなくて(笑)、すごく優しいんです。

109とのコラボマンガで「もしかして、まだ読みたい?」

そのTwitterでのお祭りがきっかけで、SHIBUYA109さんからコラボマンガの依頼が来た、という流れでしょうか?
冨重 そうそう。SHIBUYA109さんの誕生40周年記念ということで、藤井先生に何か協力してもらえないかという話がありました。
藤井 SHIBUYA109さんが平成から令和に切り替わるタイミングでロゴをリニューアルするということで、すっごい盛り上がってたんですよ。私も声をかけてもらって、4ページのマンガを描いて、4月末にTwitterで公開しました。

そのときも、「もう絶対、今後『GALS!』を描くことがないから、大人になった蘭ちゃんたちを描こう!」と思ったんです。
その時点ではさらなる続編のことは考えていなかったと。
藤井 そう。連載が終わったあと、みんな「彼女たちはどうなったんだろう?」「蘭ちゃんは警官になったんだろうか?」とか、すごく気になってるだろうから、そのアンサーとしてのマンガにしようと思いました。
『GALS!』第10巻。最終話『最終回ダヨ!! 全員集合!!!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 「高校生の蘭ちゃんたちが、令和という未来にタイムスリップして、今の彼女たちに会う」っていうお話だったんですけど、「今後もう、ぜっっっったいに描くことはない!」って思ってたから、この4ページにアンサーを全部描いちゃったのね。そしたら、スゴい反響が来ちゃったんですよ! 私は何の気なしに描いたのに、2,000万ビュー超えとかになっちゃって。
スゴい……!
藤井 「綾ちゃんが乙幡麗にそっくりの子どもを抱っこしてる!」とか、「美由ちゃんの子どもがけっこう大きい!」とか、大騒ぎになっちゃって。私のなかでは「えっ? 何にそんなにびっくりしてるんだろう?」って感じでした。

そこで初めて「アレ? もしかして、みんなまだ『GALS!』、読み……たいの?」みたいな感じで(笑)、ちょっとだけ、心が動いたんですよね。
読者の反応の大きさも予想外だったんですね。
藤井 連載が完結したときも「絶対に描かない」って思ってました。冨重さんに送ったメールも証拠として残ってるけど、「もう描くことはないでしょうから」って書いてます(笑)。

今の『りぼん』に載せたって、読者は『GALS!』のことを知らない子どもたちだし、コギャルのお話もちんぷんかんぷんだろうし、「続編なんて、誰が読むんだ?」という気持ちがあったから。

だから、何が決定打かっていうと、やっぱりみなさんが「続編が読みたい!」って言ってくれたことかな?
冨重 だと思いますよ。正解は藤井先生のなかにしかないですけど、私たちとしてはやっぱり、描いてほしいわけですから。弥生美術館で会期中に開催したサイン会では、ファンの方々から「あのキャラクターはその後どうなりましたか?」という質問が非常に多くて、みんなのなかで『GALS!』のキャラクターと世界はまだまだ生きてるんだなと思いましたね。
藤井 それまで、そのことを私はまったく!!!知らなかったんですよね。今、フォロワーが8万人くらいになったんですけど、この数万人を、展示が終わったからといって、「はいさよならー!」ってバッサリ切るのは、もうできなくなっちゃって。みんなを残して去るのは裏切りじゃないかと思ってしまって、何か、置き土産を残そうと思ったんですよね。

最初は、スピンオフの読み切りを手売りしようと思っていた

『GALS!』のファンやTwitterのフォロワーさんたちに、言葉や当時の原画・エピソードだけではない形で、お礼をしたかったということですね。
藤井 お礼として何かを描こうと思ったときに、『GALS!』スピンオフの読み切りにしようと決めて。でも、どこに発表するかも決まってないから、最初は自分で手売りしようと思ったの。
えー!! 藤井先生が手売りされるとなると、それはそれですごく話題になりそうですが……!
藤井 (笑)。というのも、集英社さんからの需要があるなんて思ってなくて、「私なんか」って思っていたから。だから、一応冨重さんに、「手売りしたいんですけど、権利的な部分は大丈夫ですか?」って聞いたら、「ちょっと待ってください! その案件、預からせてもらっていいですか?」って(笑)。そこから、また集英社さんで連載をしようって決めたのが、6月の終わりくらいですよね。
冨重 弥生美術館での2回目のトークショー&サイン会(2019年6月23日)が終わったときに、「描いていただく方向で、一度打ち合わせしましょう」って言って、後日渋谷で昼ごはんをご一緒したんですよね。そのあとにはもう、タピオカ屋さんに行って取材用の写真をいっぱい撮っていたので、「描いていただけるんだな」って思いましたね。
いち読者として、「Twitterで発信してくれて嬉しい」とか「続きを読みたい」という気持ちが藤井先生に届いて、実際に続編を読めるという結果になったことが素敵だなと思います。弥生美術館さんの展示とSNS、そして109さんからの依頼があって本当によかった……!
藤井 そうなんですー! フォロワーさんのおかげです。あんなにみんなが「続編が読みたい」って言ってくれなかったら、絶対描いてないですよ。
ファンレターやホームページへのメールだけだと、こうした現象にはつながりづらいと思います。ファンの熱量が可視化されるSNSがある時代に、藤井先生の背中を押す展示やコラボのお声がけがあって……という、現代の奇跡ですね。
藤井 そう、当時はファンレターしかないから、声が届く範囲が狭かったというか。私も、そんなに求められてるとは思ってなかった。SNSを始めてからはみなさんの熱意がダイレクトに伝わって、すごく刺激になりました。

Twitterヘッダーを美由&『ヒプマイ』の乱数にした理由

Twitter開設時のヘッダーが美由と『ヒプノシスマイク』(以下、『ヒプマイ』)シブヤ・ディビジョンの飴村乱数の2ショットだったことに驚きました……! 『ヒプマイ』がお好きなんでしょうか?
藤井 Twitterを開設した当時も今もシブヤ・ディビジョンが熱くて、しかも、イケブクロ・ディビジョンもあって……というのを知ったら、「あーーー!! 胸が熱い!」ってなって(笑)。
『GALS!』でいうところの、それぞれ渋谷と池袋で番を張る蘭たちと(本多)マミの構図ですよね!
『GALS!』第2巻。第8話『踊る!お台場大捜査線!!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 そう! 『GALS!』も『ヒプマイ』も3人が基本ユニットだし、胸アツになっちゃって、もう勝手に「コラボでしょ! コラボでしょ!」って(笑)。ボイスドラマを聴きながら、「らむちゃん(飴村乱数)と並ぶなら美由ちゃんだなー」と思ったんですよね。

現代のすごく人気のキャラクターと、勝手にだけどコラボしたら、「うわっ! 古い作家が出てきたよ〜!」っていうのがちょっと中和されるかなという目論見もあったんです(笑)。今の若い人は私のことを知らないから、コラボすることで「この人誰?」って興味を持ってくれるかもしれないし、昔の読者は「あれ、これ美由ちゃん?」って気づいてくれたらな、と思って描きました。

「自分で自分を愛していればいい」と読者に伝えたかった

『GALS!』が生まれた経緯について、最近のインタビューで「世間に指をさされてもまったく気にしないコギャルに感銘を受けた」「軽蔑されがちなコギャルの目を通して社会を描いたら、いろんなドラマが生まれるのでは」とおっしゃっていました。改めて、『GALS!』という作品を通じて、当時、藤井先生が読者に伝えたかったメッセージを教えてください。
藤井 当時コギャルって、そこにいるだけで大人に指さされて「うわ〜、また汚いのがいるよ」ってドン引きされていたんですね。あの頃の渋谷も今より全然汚くて、センター街にでっかいパチンコ屋があったり、チーマーやカラーギャングが出てきたりとかで、治安もよくなかった。
『GALS!』第1巻。番外編『中坊美由ガンガン荒れてますSP!』より。©藤井みほな/集英社
90年代末から2000年前後の渋谷って、そんな雰囲気だったんですね。
藤井 今ほど洗練された街じゃなかったんです。「あそこに行くとガラの悪いヤツらがいて、そのなかにコギャルもいる」みたいなステレオタイプがあって。

でも、実際に行ってみないとわからないだろうと思って、ウォッチングをしに渋谷に通ったんですよね。
冨重 連載中は週に1日渋谷に行って、取材されていましたよね。
藤井 そうそう。でも、実際に見たら、コギャルの子たちってホントに楽しそうなんですよ! 大人たちはみんなバカにしてるんだけど、本人たちは、なんっにも気にしてない!
『GALS!』第10巻。第37話『約束』より。©藤井みほな/集英社
藤井 自分たちは好きな服を着るし、好きなメイクをするし、大人たちに指さされてもいっこうに気にしない。それって、自己肯定感があるからですよね。「なんて言われても、私はこれでいいんだ!」っていう。それが全面に出てて、すごく感動したんです、私。
なるほど……!
藤井 コギャルたちの自信満々の表情を見て、あの自信はどこから来るんだろう?って考えたら、やっぱり、自分が好きなんだろうなって。

それで、そういうメンタリティって、じつは現代を生き抜く子どもたちに、いちばん必要なんじゃないかと思ったんですよ。

だって、当時はとにかく「人に評価されることで、自分の価値を測らなきゃいけない」っていう時代だったんです。私、第二次ベビーブーム世代で学歴社会だったから、評価といえば数字なわけですよ。
偏差値という相対評価が、将来を決めるうえで大きな力を持つという……。
藤井 そう! 出身校や、先生とか親の評価が自分のすべてを決めるという風潮が強い世代に生きていたから、そういうのを見てて、「すごく悲しいなー」と思ってたんですよね。私はあまりそういうタイプではなくて、「誰に何を言われても、私は私だから関係ないでしょ?」と思っていたのと、マンガ家になる夢があったから、何も怖くなかったんですけど(笑)。

だから『GALS!』では、とにかく子どもたちに、「まわりがなんと言おうといいじゃないか。自分の価値は自分がわかっていればいいんだ」と伝えたかったのが大きいかなあ。
『GALS!』第5巻。第18話『ギャルはいつでもマンボでサンバ!!』より。©藤井みほな/集英社
データや学歴、そして他人からの評価で自分の価値が決まるという当時の風潮と、コギャルの自己肯定感の強さが、すごく対照的に見えたんですね。
藤井 そうなんですよ。「別に勉強ができなくても、自分が自分を愛してればそれだけで十分。何があっても自分が壊れることってない」という自己肯定感って、子どものときに培われたほうがいいと思うんですよね。
『GALS!』第2巻で、成績や親の目を気にしすぎる綾に、蘭が「あたしの人生 親の所有物じゃねーもん」「誰のためでもねえ 自分のために生きるこったな!」と堂々と説教をするシーンが思い起こされます。
『GALS!』第2巻。第5話『それがコギャルの生きる道!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 あの頃、私も20代前半で、まだ全然10代寄りの気持ちだったから、「大人の言うことなんて聞くんじゃねーぞ!」くらいの反骨精神があったのかもしれないですね(笑)。

賛否両論の話も「子どものために描いてるんだ!」

蘭たちの学校の体罰教師・群青先生のエピソード(第3巻)は衝撃的でした。生徒を権力や恐怖でコントロールしようとする教師で、蘭が歯向かって殴られるけど、すぐさま蘭は先生を殴り返す、という。
藤井 先生を殴り返すことに対しては、やっぱり賛否はありましたね(笑)。
驚きました。でも因果応報でスカッとする一方で、支配していたはずの生徒たちが、ものすごく冷たい目で先生を見ているシーンもあって。じつはこの人には味方がいなかったという一面も描かれていたので、悪い大人にもバックグラウンドがあるんだと、子どもながらに感じたことを覚えています。
『GALS!』第3巻。第11話『うちらのパワーはハンパなーい!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 そう言っていただけるとすごくありがたいです。セリフに「群青先生は、じつは◯◯で◯◯でした」と書いていなくても、読者が自分で「こうなんじゃないか?」と考えるのはすごく大切なことですよね。

でも当時は、先生を殴っちゃったということで、大人からのお叱りはかなりありました。でも私は「子どものために描いてるんだ!」と、大人の意見はパーンとシャットアウトしていました。
蘭の行動や言葉に勇気をもらった読者は多いと思います。マンガ家さんは「描いているうちに、キャラが勝手に動き出す」とお話されることが多いですが、藤井先生も、自身が生み出したキャラクターの言動に救われたことはあるのでしょうか?
藤井 蘭は繰り返し「私はこういう私が好きなんだ!」と主張しますが、それは私も自分に言い聞かせていました。つねにそこを原点にして立ち戻るようにしてましたね。

子どもの心を成長させるのが『りぼん』。主観は入れない

『GALS!』では、リストカットやいじめなどシリアスなテーマを扱っているのも印象的でした。そうした社会的なテーマを描くときは、どんなことに気をつけていましたか?
『GALS!』第8巻。第29話『蘭的ムリ的!? カーネーション娘。』より。©藤井みほな/集英社
藤井 主観を入れず、感情移入しないように気をつけていましたね。『りぼん』の作品なので、偉そうに諭すのではなく、エンターテインメントとして、とにかく読者が楽しめないと意味がないと思っていて。

『りぼん』だから、読者に夢を与えることがいちばん大事で、自己満足のための表現の場ではないということはつねに気をつけていました。読者は子どもだから、子どもの目線を意識してものを作らないといけないと。
なるほど。
藤井 だから、絶対に感情移入はせずに、つねに客観的に、子どもの立場から見ることに気をつけていました。じゃないと、ホントに自己満足のための社会批判マンガになっちゃうし、それは『りぼん』に載せるマンガではないので。そういうのは大人のマンガに任せればいいわけです。

それに、冨重さんというちゃんとした担当さんがいて、行きすぎると注意してくれるので、ありがたかったですね。
若いときには、ともすると自己満足的な表現にもなりがちな気もしますが、当時20代の藤井先生のなかにそのバランス感覚が培われていることがスゴいですね。
藤井 だから私、本当に『りぼん』に育ててもらったの!

小学5年生から「りぼんまんがスクール」(当時は「りぼん漫画スクール」。誌上のまんが家育成企画)に投稿してたんだけど、そこでは「『りぼん』とは?」から始まり、「大人に向けて描くのではなく、子どもが読むことを意識しましょう」とつねに言われていて……「りぼんまんがスクール」は、すんごいレベルが高いんです!
英才教育を受けていたんですね!
藤井 『りぼん』は、まだ自己形成できてない子どもも読んで、心を成長させるもの。「私はこんな高尚な思想を持ってるんだ!」みたいなことを自分に酔ってひけらかすような場ではないんだよと、ずーっと注意されていて。

だから、恋愛でもどんなテーマでも、子どもが自分なりに考えて、自分なりに結論を出す。「このお話はこういうことかな?」「私はこう思う」という過程が、自己成長のきっかけになる。それが『りぼん』の役目だから……あっ、なんだか偉そうなこと言ってるねえ! あははは! 私、めっちゃ偉そう!(笑)
いえいえ!
藤井 だから、そこだけは気をつけていましたね。いい意味で自己成長のきっかけになるような作品でなければいけないって思ってました。
物語のなかでキャラクターが成長していくのを見て、読者も一緒に成長するという。
藤井 そう! そうした姿勢がすごく大事だということを、私は『りぼん』で学ばせてもらいました。今でもホント、頭が上がらないです。

続編制作秘話。スピンオフどころか新キャラまで……!

続いて、続編となる『GALS!!』の舞台を、最終回の続きである2002年にした理由を教えてください。舞台を令和にするアイディアもありましたか?
『GALS!!』第1話、『プーギャル蘭ぴょん町田初上陸!!①』より。©藤井みほな/集英社
藤井 最初に手売りしようと思っていたときは、「読み切りで、スピンオフで、このカップルが主人公で、ここだけ切り取って……」みたいに、ファンのみんなが読みたいものを読ませてあげたいな〜って考えてたんですよね。

時系列とかも関係なく、カップルマンガを描きましょう!みたいな感じで、同人誌的なノリだったんです。だけど、実際にプロットを描き始めると、ポンポコポンポコいろんなキャラクターが入ってくるんですよ!
ほかのキャラクターもどんどん勝手に登場してくる。
藤井 そう、別のカップルの話なのに蘭が首突っ込んできたり、ほかのキャラクターと会っちゃったりと、どんどん話が広がって、まとまらなくなってきたんですよね。それで、スピンオフ的な読み切りを描こうと思ってたのに、「あ、これできないわ!」ってなって(笑)。かえって普通に、そのまま蘭たちの卒業後を描いたほうがわかりやすかった。

すでに109さんのマンガで、それぞれのキャラのたどる道は出ていて、みんなそれを知ってるわけですよね。だから、乙幡くんと綾ちゃんの恋模様を描くにしても、変にこねくり回すよりも、そのまま続きを描いたほうが伝わりやすかったんです。
あるキャラを描こうと思っても、結局すべてに触れざるを得ないんですね。
藤井 それなんですよー!!! 結局、全キャラクターがわちゃわちゃ出てくるから、読み切りにする必要ないな!って。蘭ちゃんが警察官の採用試験を受けるところあたりまで描ければいいや、くらいに思ってたんですけど、話がどんどん広がっちゃって、ちょっとどうしよう……。
タツキチ(黒井達樹。蘭の彼氏)の幼なじみという新キャラまで登場しましたね。
『GALS!!』第1話、『プーギャル蘭ぴょん町田初上陸!!②』より。©藤井みほな/集英社
藤井 それな!!!(大爆笑)「幼なじみ出しちゃったよ〜! これ、すぐ終わんないヤツや〜!!」って感じ(笑)。
久しぶりに、〆切が来る生活に入って、いかがですが?
藤井 もうね、なんか身体が覚えてるんだよねー。もともと、ネームを描くときもガチャっと(気持ちを)切り替えるほうで、「マンガ家としての私」になってモードチェンジするんです。
じゃあ、久しぶりに「マンガ家の自分」になったわけですね。生活は一変したんじゃないですか?
藤井 一変どころの騒ぎじゃないですよ〜!!!! これまでの生活がもう消滅ですよ。「朝起きて、朝ごはん作って、食べる」みたいな、すごくまっとうな生活してたのに、もう逆戻りです(笑)。

小3から「絶対『りぼん』のマンガ家になる!」と思っていた

たしかに、藤井先生の作品をデビュー単行本『START!』までさかのぼってみると、作品ごとに雰囲気が全然違って、「モードチェンジ」という言葉は、すごく納得がいきます。
『START!』(1992年) ©藤井みほな/集英社
藤井 きゃははは! 『START!』描いてたときって、私、現役高校生だからね! デビュー作(『無邪気なままで』)は16の終わりとかで。

……私、ずーっと『りぼん』に憧れていて、とにかく“りぼんっ子”だったの。小学1年生ぐらいのときからずっと読んでて、3年生で「私は絶対『りぼん』の作家になるんだ!」って決めて、ずっとがんばってきたんですね。
そうだったんですね。
藤井 だから、デビューして最初の頃は、“りぼん色”の作品を描いてて、もうすっごい幸せでしたね。
読者だった頃、いちばん憧れていた作品は?
藤井 そりゃあ『ときめきトゥナイト』(作/池野恋)ですよお〜〜〜!(うっとり)もう、大好き!大好き!大好き! あとは、本田恵子先生とか、『星の瞳のシルエット』(作/柊あおい)にもめっちゃハマってたし。だって真壁くん(『ときめきトゥナイト』の登場人物)のこと、好きになりませんでした?
なりましたーーー!
藤井 ですよねーーー!? もう、「何で私は蘭世(『ときめきトゥナイト』のヒロイン)じゃないの?」って思ってました(笑)。
あのロマンティックさは脳を焼かれました。
藤井 焼かれましたよねー? だから今も、「乙幡麗くんを好きすぎて、綾ちゃんにすっごく嫉妬しちゃいます」みたいな話を読者さんから聞くと「わーかーるー!!!」みたいな(笑)。“りぼんっ子脳”っていうのかな、少女マンガの男子キャラクターをホントに好きになっちゃうのって、ものすごくわかります!
『りぼん』以外だと、どのような作品がお好きなのでしょうか?
じつはどちらかというとマンガよりも小説を読むことが多くて、海外の本を読むのが好きです。エピソードのつなげ方など、ストーリーの流れが勉強になりますね。小説以外にも、プラトンとか古典を読んだり。
プラトン…! さまざまなジャンルからインプットされているんですね。では、“りぼん”色の作品から『スパイシー★ガール』をはじめとした、ギャル路線にシフトチェンジされたのは?
『スパイシー★ガール』(1994年) ©藤井みほな/集英社
藤井 『START!』を描いてた当時は、もうバリバリの少女マンガが描きたかったんですが、都内の短大に通い始めた頃、ちょうどジュリアナ東京とかがはやって、ギャルブームになって。で、私ももれなく、ね?(笑)
イケイケになって(笑)。
藤井 ギャルになりたくて! ソニアリキエルのイヤリングとか、もう着けたくて着けたくてしょうがなくて、おしゃれが楽しすぎる時期で「毎週伊勢丹!」みたいな。原稿料は全部服とかアクセサリーに消えていき(笑)。
そうだったんですね(笑)。
藤井 それで、私も現役のギャルのお姉さんたちに混ざってたから、「次描くなら絶対ギャル!」と思って、『スパイシー★ガール』っていう、イケイケのギャルが主人公のマンガを描いたんです。
当時の最先端のギャル文化を背景にした、気の強い女の子が元気に活躍するハイテンションラブコメディの路線ですね。
藤井 そう、自己肯定感の強い子ね。で、『スパイシー★ガール』はすごく評判がよかったらしいんです。
当時は衝撃でした! 主人公のリカ(沢口里香)が「キープ君50人」とかすごくイケイケで、正直なところ子どもが読んでいいものかとも思ったのですが……。
藤井 あはははは。そう、当時の『りぼん』では問題視されたんだけど、あの頃、冨重さんの前の担当だった今井(英)さんが、彼もあのときはまだまだ若かったから、「やっちゃおうぜ!」となって(笑)。
「驚かせてやろうぜ!」と(笑)。
藤井 そうそう。そのあたりから、「私はこういうキャラを描くのがいいかも」と気づいたんです。描きやすいし、楽しいし、向いてるのかもって。そのへんから、ギャルとかイケイケの女の子を主人公にする路線ができてきたのかな。

じゃあ同じ路線で、今度はエリカや八純(やずみ)っていうイケイケのモデルの女の子たちをメインにした『パッション・ガールズ』を描こう、となって。
『パッション・ガールズ』(1994〜1996年、全5巻) ©藤井みほな/集英社
このあたりの2作品の主人公が、蘭の原型のようにも感じます。
藤井 そう、里香とかエリカみたいな元気キャラが、蘭の土台になってると思います。
そのあと、『龍王魔法陣』でファンタジーを描き、『雪の花びら』や『秘密の花園』でロマンティック路線に行き、そして『GALS!』に至るという。
藤井 そう、ときどきね、少女マンガモードに戻るんですよ(笑)。ガーって派手にやりすぎると、その反動で「やっぱり私は“りぼんっ子”!」となって、またモードチェンジして、『りぼん』脳に戻りたくなるんです。

『GALS!』の連載が始まってからは、そういう少女マンガ的なパートは綾ちゃんが担ってくれるので、そこでちゃんとバランスが取れた面はありますね。
『GALS!』第9巻。第35話『寿蘭、1発芸に命をかけて!!』より。©藤井みほな/集英社
『GALS!』第9巻。第36話『ココロのカタチ』より。©藤井みほな/集英社

人気投票のベスト5は全部女の子キャラだった

連載当時、蘭が最初に出てきた男の子・乙幡くんではなく、3巻で登場したタツキチと付き合ったことにびっくりしました。タツキチは少女マンガのヒーローキャラとしては異色の「3枚目のギャル男」ですが、読者から「相手は乙幡くんじゃないの!?」という反応はありませんでしたか?
『GALS!』第3巻。第12話『アーチーチー!DEクリスマース!!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 ありましたよ〜。だけどそれ以前に、蘭ちゃんが恋愛で「キュンキュン」とか、「ドキーン!」みたいな反応をすることが望まれていたか?というところなんですよね。
たしかに!
藤井 どちらかというと蘭ちゃん自身が男みたいなキャラで、女の子がややもすればキュンとしちゃうようなカッコよさを持ってる。だからむしろ、「蘭ちゃんをタツキチにとられた」とか、「蘭ちゃんには恋愛してほしくない!」っていう声のほうが多かったです。
冨重 そうそう。当時キャラクターの人気投票で、ベスト5が全員女の子キャラだったんですよ。

そこで改めて、『GALS!』は、ヒロインが男の子の誰とくっつくかということが、読者の興味の最優先じゃないと感じたんです。私も長いこと少女マンガの編集をやっていて、1番目に出てきた男キャラとヒロインがくっつかなかったマンガってたぶん『GALS!』だけですね。
『GALS!』第1巻。第1話『コギャルは天下のまわりもの』より。©藤井みほな/集英社
藤井 でもそうだよね、だいたいみんな1話目でフラグが立ってるから「絶対こうなる!」って思うよね。
少女マンガとして型破りな作品でしたが、続編では乙幡くんと綾ちゃんのやりとりがとっても甘く、キュンキュンします。『GALS!』の男子キャラでは乙幡くんと、蘭の兄・大和くんが大人気でしたね。
藤井 そうですね(笑)。乙幡麗は当時なんだかんだ人気だったんだけど、みんな成長したら「大和くんが好きー!」ってなって、大和くんがダントツ人気になっちゃいました。
みんな、「結婚するなら」という目線で見てるのかもしれませんね。
『GALS!』第7巻。第27話『教師中西、汗と涙の奮闘記!』より。©藤井みほな/集英社
『GALS!』第9巻。第32話『トコナツ全開パラソル全開 ついでにおサルはペダルを全開!!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 でも、そういうふうに感情移入してくれるって、マンガ家としてはすごく嬉しいです。

続編が始まってからは、「大和くんが好きだったけどやっぱり乙幡くん…♡」という読者が増えて、そういう反応もすごく面白いですね。
読者がみんな、藤井先生の手の平で転がされている感じがします(笑)。乙幡くんの綾ちゃんに対する“ガラスケース発言”には、「そんなこと言うキャラなんだ!」とびっくりしました。
『GALS!!』第2話、『ドンカン蘭ぴょんどこへゆく!?②』より。©藤井みほな/集英社
藤井 あはははは! あれにやられて大和派から完全に乙幡派になった子も多いみたい(笑)。

でも、感情移入して「この子がいい、いやあの子のほうがカッコいい!」ってあれこれ言えるのって、少女マンガの醍醐味だよね。『りぼん』時代の感覚が蘇ってきて、すごく楽しいです。
続編では、結婚した美由と大和のラブラブなシーンも描かれていますね。これほど踏み込んだ描写は、前の連載時には見られなかったと思います。
藤井 そうなんですよーーー! この前やっと美由と大和くんが一線を越えましたけど、今回掲載されるのは『りぼん』じゃなくて『マンガMee』なので、そういう場面も描けるのがすごく楽しいですね。

キャラたちも大人になってくるし、ちょっとラブやきわどいのも多めにはするつもりだけど、でもやっぱ“りぼんコード”は守ります(笑)。
『GALS!!』第2話、『ドンカン蘭ぴょんどこへゆく!?②』より。©藤井みほな/集英社
綾ちゃんと乙幡くんのように、まだ結婚してないふたりだと、キスまでくらいですか……?
藤井 ふふふ! どうかな、どうかな♪

続編では、読者のギャルスピリットを蘇らせたい

『GALS!』で藤井先生は、自分を愛することの大事さと、「今」を全力で楽しむ若者の強さやまぶしさを伝えてくれました。改めて、続編の『GALS!!』を通して、藤井先生が届けたいと考えていらっしゃるメッセージを教えてください。
藤井 自分のなかで、“ギャル精神”とか“ギャル魂”という言葉が最近できてるんですけど(笑)、ギャルの精神というのは、大人になっても変わらないんです。1回ギャルの魂を宿した人は、大人になっても、精神がギャルであればギャルなんですよ。

それはやっぱり、誰になんて言われようと「自分の好きな服を着るんだ」とか「自分の好きなように生きるんだ」という気持ち。そのスピリットさえ持ってれば大丈夫。だから、「おまえたちも、一度はギャルスピリットを宿したんだろ? なら、大人になってもお前はギャルだ」。そういう感じです(笑)。
読者のなかの“ギャル魂”をもう一度蘇らせたり、知らない子には灯したいと。
藤井 そう。『GALS!』を読んでくれてたときは、みんな「蘭ちゃんみたいになりたい!」とか「ギャルになりたい!」と思ってくれてたわけです。それはもう「ギャルスピリットがお前に宿ったぞ」っていうことなんですよ。1回宿ったものは、大人になっても絶対に自分のなかにあるから、そのギャルスピリットを蘇らせてほしい。
『GALS!』第3巻。第11話『うちらのパワーはハンパなーい!』より。©藤井みほな/集英社
藤井 当時の読者で今大人になった子たちは、バリバリ働いていたり、結婚したり、ママさんになっていたりする。だから、今度は自分が若い子たちを、“ギャル魂”で守って導いてあげてほしい。当時「汚い」と思ってたような大人に、自分がなってしまわないように。
蘭ちゃんのように、1本まっすぐ筋が通った、自分に自信を持って生きる大人になって、もっと若い世代にもそれを伝えていってほしいと。すごく素敵ですね。
藤井 はい、子どもたちの世代にも教えてほしい。……って、そこまで描けたらいいけどね! 今描いてる蘭ちゃんたちだって、まだ18歳で子ども。だから少しずつ、成長していく過程を描けたらいいなって思ってるんですよ。
ゆくゆくは「就職」「結婚」など、「成人した女性の人生」にもフォーカスして描いていくのでしょうか?
藤井 蘭ちゃんや綾ちゃんの進路、結婚した美由ちゃんの主婦としての悩みや子どものことなど、ちょっとでも踏み込んで描いていければ、と思っています!

ライブドアニュース編集部が選ぶ「寿蘭の名シーン」5選!!

藤井みほな(ふじい・みほな)
11月12日生まれ。東京都出身。O型。1990年、『りぼんオリジナル秋の号』で『無邪気なままで』で雑誌デビュー。その後、デビュー単行本『START!』ののち、『スパイシー★ガール』『パッション・ガールズ』を執筆。1999年から連載が始まった、3人組のコギャルをメインキャラにした『GALS!』は人気となり、アニメ、ゲーム化などメディアミックスもされた。ほかの著作に『竜王魔法陣』『秘密の花園』など(すべて集英社)。集英社の少女マンガアプリ『マンガMee』にて、『GALS!』の続編となる『GALS!!』を連載中。

作品情報

『GALS!!』
アプリ「マンガMee」にて配信中

サイン入り色紙プレゼント

今回インタビューをさせていただいた、藤井みほなさんのサイン入り色紙を抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年1月20日(月)20:00〜1月26日(日)20:00
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月27日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月30日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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